ダボス会議:2018年のテーマとは?仮想通貨の悪用に各国要人が懸念表明

7104

ダボス会議イメージ

2018年世界経済フォーラム年次総会(Davos:以下、ダボス会議)が2018年1月23日~26日、スイスのダボスで開かれた。今年の特徴の1つは、仮想通貨の爆発的人気に伴うマイナス面、つまりマネーロンダリング(資金洗浄)やハッキングなど不法行為に重大な懸念が表明されたことである。

米国のムニューシン財務長官は、仮想通貨がこれら犯罪に利用されないような国際的規制を呼びかけ、英国のメイ首相は、ビットコインやその他仮想通貨の利用取り締まりに「非常に真剣に取り組む必要がある」と語った。

ムニューシン財務長官が、仮想通貨の不法な利用を警告

ムニューシン財務長官は会場で、「仮想通貨について私の一番の関心事は、それがデジタル通貨あるいはビットコインであれ、不法行為に決して利用されないようにすることである」と、次のように語った。

「米国はフィンテックを促し、イノベーションを推奨しているが、金融市場のすべてが安全であることを確かなものにしたいと考えている。G20諸国の多くがすでにこの考え方を共有し、同じような規制を持っている」

米国では、ビットコインはじめ仮想通貨に対するプラットフォームは、マネーロンダリング規制法の順守を義務づけており、約100の関連プラットフォームがマネロンルールネットワーク(FinCEN)に登録して、疑わしい金融活動に関する報告書を提出するとしている。

仮想通貨はマネーロンダリング指標?

ビットコインは2017年に、記録となる1700%以上も上昇して、変動幅の大きい仮想通貨が投資家のリスクになるとの不安が高まった。韓国、中国などいくつかの国は、仮想通貨取引を抑止する政策を取り、その反動によって17年末から18年にかけて、規制強化への懸念が広がり、ビットコインが半値にまで下落する局面もあった。

関連記事:韓国が規制強化の緊急措置、投機の過熱防止や安全対策へ

国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、仮想通貨市場の規制の是非と規制のあり方を決定するに当たり、関連するリスクと利益の両面を考慮すべきだと強調した。

「匿名性と透明性欠如そしてマネーロンダリングとテロ資金調達を隠蔽したり、保護するようなやり方は容認できない。それを考慮に入れる必要があり、その後にそうした動きから新しい考え方が生まれるだろう」

世界最大手アセットマネジャーのブラックロック(Black Rock Inc.)のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨は世界的に処理すべき「システミック脅威」があり、「仮想通貨産業は投資の対象なるかもしれないが、それ以上にマネーロンダリングの指標になる」と語った。

仮想通貨規制問題はダボス会議からG20の議題(?)に持ち越し

ノーベル経済学賞を受賞(2013年)した米国のロバート・シラー教授(イェール大学)は「私はどちらかと言えば、ビットコインを興味ある経験として考えるが、生涯持つべき商品とは思わない。われわれはビットコインを強調しすぎており、他に様々なアプリケーションがあるだろうブロックチェーンに広げて見るべきだ」と総括した。

シラー教授はまた「ビットコインが悩ましいのは、あなた方が目にする熱狂的関心は投機バブルのようなもので、利己的であることだ」と断言する。

仮想通貨の批判勢力はもっと厳しい。Facebookの創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、仮想通貨を陰で支える非集中化技術であるブロックチェーンの将来性は認めている。しかし、ビットコインは安定性の欠如から、すべての人が納得していないと指摘する。Facebookは1月30日、仮想通貨関連の広告掲載を止める意向を明らかにした。

関連記事:Facebookのザッカーバーグ氏が暗号通貨への関心について語る

ダボス会議は、仮想通貨の規制問題に限って言えば、賛成が反対を上回る意見に終始した。これが国際機関による初の討議であることかとから、議論は3月のG20に持ち越される可能性が大きくなった。

関連記事:ビットコイン規制問題が次期G20(2018年開催)の議題に

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
INDEPENDENT
Bloomberg