ブロックチェーン技術は難民が直面する問題をどう解決するのか

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ブロックチェーン技術は難民が直面する問題をどう解決するのか

UNHCRの統計によると、世界中には戦争や紛争などにより故郷を離れざるを得なかった難民が6,800万人以上存在しています。彼らは亡命した国家でさまざまな問題に直面します。本稿では難民が抱える問題をいくつか示して、それらをブロックチェーンによって解決する事例について紹介したいと思います。

難民が直面する問題

問題①:身元を証明できず、さまざまなサービスを受けられない

難民が今までの住居を強制的に追放されると、出生証明書や結婚証明書、身分証明書などの大事な書類を失ってしまうケースが多いです。それらは、亡命してから回収することはほとんど不可能に近く、NRCの調査では、シリア難民のおよそ70%は、基本的な身分証明書および不動産所有権に関する書類が不足していることが明らかになっています。難民が身分を証明することができないと、銀行口座の開設などのさまざまなサービスを受けることが難しくなるため、問題は非常に深刻です。

問題②:支援資金の使われ方が不透明であるが故に、十分な寄付を受けられない

NGOや国際機関からの毎日の支援を必要とする難民は、2,250万人存在しているといいます(UNHCR調べ)。ただし、彼らに対して援助された資金の使い道は不透明で、寄付者は本当に自分たちの資金が難民によって正しく使われているのか疑問を持っています。そのため、難民は十分な寄付を受け取ることができないという問題があります。自分たちの資金がどうう使われるか分からない以上、寄付に二の足を踏んでしまう気持ちは十分に理解することができます。

難民の抱える問題をブロックチェーンによって解決する事例

事例①:難民がデジタルID書類を入手するのを支援

BitNation Emergency Responseは、2015年9月の欧州難民危機の際に緊急サービスと人道支援を促進して、提供するためのプロジェクトです。このプロジェクトは、難民がデジタルID書類を手に入れることを助けます。ブロックチェーンのIDを信頼するために、複数のソーシャルメディアアカウントを確認して、パスポートなどの書類にリンクします。

事例②:ブロックチェーンを利用したバウチャー交換

国連世界食糧計画(WFP)は、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンを利用して、数千人のシリア難民に資源を配布しました。市場で償還できるブロックチェーンに基づいたバウチャーが難民には与えられて、不正行為やデータの管理ミスを減らしながら支援を実現しました。店舗では、アイスキャン・ハードウェアを利用してユーザーの身元を確認して、バウチャーを交換する仕組みです。

結論と考察

世の中にはまだまだたくさんの難民が存在しています。そして、ブロックチェーンは彼らの抱える問題を解決するために有効に活用する可能性を秘めています。企業などの営利活動を活発にするためにブロックチェーンを利用することももちろん大切ですが、国際援助のような非営利活動にもブロックチェーンを使ったユースケースが増えることを願うばかりです。

(文・五月雨まくら)

参考
Bitcoinist.com
World Economic Forum

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