2018年1月から2月にかけての大きな価格変動や、国内外に問わず流出事件が発生している中でも、暗号資産(仮想通貨)に対する世間の関心は止まることがない。今後どうなるのかわからない仮想通貨を信じて保有している人は増加を続けている。
2018年2月末日、弊社スタッフは日々新しいサービスを生み続ける暗号資産(仮想通貨)交換所のうちの1社である、1月にサービス開始したばかりの「DMM Bitcoin」の代表 田口仁氏に、暗号資産(仮想通貨)が目指す未来はどういったものなのかを聞いてみた。
DMM Bitcoinが考える仮想通貨の今後とは?
田口社長:DMM Bitcoinが考える暗号資産(仮想通貨)というよりも、業界が考える暗号資産の未来ですね。暗号資産はいずれ法定通貨のように扱われることを目的としています。暗号資産が通貨になる可能性が高いということが、暗号資産に取り組んでいる人を熱狂的にさせているのだと感じています。
そもそも、通貨というのは国が信認を与えているものですが、なぜ日本の通貨は信頼できるのでしょうか?
米国の場合、国に対する信認は国の経済力や資産力(資源がとれる、国土が肥沃…等)、新しいイノベーションを起こすようなパワーがあって、それに対して投資家が資金を投げ込むだけの重力や吸引力であったり、いわゆる「財」と呼ばれるものが集まるという重力を持っています。その重力を源泉にして、米ドルは信認を持っていますので、もしかしたら日本もそうなのかもしれません。
ここからは、暗号資産をやっていく上で知っておいたほうがいいことをお話ししますね。通貨が国のソフト(またはハードな)パワーで信認を得るようになったのはいつからか知っていますか?
昔は金で信認を得ていたんです。いわゆる小判ですね。昔とはいっても200年前とまではいかないくらい。その時代は通貨っていう信認を金に基づいていました。
日本円の紙幣には番号を振って管理していますが、偽装しやすいといった問題があります。その番号に対しても、いつ誰が持っていたなどの記録ができないという弱点もあります。
暗号資産はその弱点を克服できるという発想で、通貨を超える通貨になることが出来るというのが、もともと暗号資産を創った人の野心です。記録がずっと残り続けて、その通貨が偽物じゃないということをみんなに証明されていくほうが、信頼が高いので、通貨よりも信認性が高いものが、暗号資産で創られるに違いないと考えられているのではないかと思います。
現在、国際的に流通している基軸通貨は5~6種くらい(米ドル、ユーロ、豪ドル、日本円・・など)しかありません。そこに暗号資産が殴り込みにいこうとしているようなものなので、1000種以上ある通貨が全部そうなるはずがなく、通貨として扱われるといってもせいぜい2~3種類くらいが限界ではないかと、個人的には感じたりします。
暗号資産(仮想通貨)が「通貨として振るまう」その意味とは?
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田口社長:では、暗号資産が通貨のような振るまいをするとはどういうことなのでしょうか?
例えばある暗号資産が基軸通貨になりました。ではこの暗号資産の時価総額はどれくらいでしょうか?
例えば日本円には時価総額という概念は無く、流通量や発行量という概念があり、GDP(国内総生産)がそれに等しいです。日本のGDPは約600兆円で、米国はその2.5倍~3倍くらいです。米ドルを中心に5~6種くらいの基軸通貨と呼ばれるものが支配しているわけですが、そこに仮想通貨が参入する(このシェアの一部になる)ということです。
現在(2018年2月末時点)のビットコインの時価総額は20兆円ほどですが、この金額規模で、世界のGDP合計の数割程度の取引を循環させるのかとても困難なのは理解できると思います。
では、世界GDPが年間9000兆円だとします。この場合、基軸通貨であるならば1~2割は欲しいです。GDPの半分は消費財と言われています。もう半分は設備や耐久財などに使われています。
一般の人が生活する時に様々な支払いに使っているような日々のコストは1/3くらいなので、全体の2割くらいということになります。そうすると1800兆円くらいという計算に。これを1つの仮想通貨でまかなうのか、3つでまかなうのかはまだわかりません。
もし1つの通貨でまかなうのであれば約2000兆円必要です。3つの通貨でまかなうのであれば約600兆円ずつくらいですかね。ビットコインであれば、1BTCあたり約3000万くらいになる計算です。
暗号資産に熱心な人は、「時価総額600兆円~2000兆円になること」を目指しているわけです。
みんなが使うものに、いつかはなるはずだからと。それが暗号資産の未来です。
いつ頃その未来はやってくるのか?
田口社長:暗号資産が通貨になるということに多くの企業は賭けているし、投資をしているのではないかなと思います。いつ頃その未来はやってくるのかということよりも、暗号資産が通貨と同様な信認を得るまでに、そのために残された時間、別の言い方をするなら、みんなの関心が途切れることなく維持できる期間は長くみて5年、短くみたら、例えば東京オリンピックまでのあと2年程度というような気もします。
それまでに、暗号資産が通貨と同じ振るまいをする確実さが、みんなの目からみて明らかになっていくことができるのであれば、おのずと、暗号資産が通貨と同様の振るまいをするようになっていくと思っています。
かつて、通貨が金と紐つくことで信認を得た時代があり、米ドルがオイルの決済通貨として確固たる地位をもつことで信認を得た時代があるように、暗号資産も、誰の目から見ても価値がある実物資産や財と紐づかなければならない、しかも残された時間はそれほど長くない可能性がある、という試練に立たされているととらえています。
誰の目からみても価値がある実物資産や財との紐づきをいかに早く作ることができるかが、将来通貨と同じような振るまいをする権利をえる暗号資産の選択のポイントと思います。
>>第二弾へ続く・・