仮想通貨はどこへ向かうのか?GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長 グループ代表 熊谷正寿氏が描く未来

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仮想通貨はどこへ向かうのか?GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長 グループ代表 熊谷正寿氏が描く未来

昨年に比べビットコイン(BTC)の価格が回復した2019年、市場の動きだけではなく、仮想通貨・ブロチェーン業界ではさまざまなニュースが飛び交いました。そこでグループ会社に、仮想通貨交換業を営むGMOコイン株式会社を持つ、GMOインターネット株式会社代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏に、今年の仮想通貨業界の振り返りと未来、そしてGMOインターネットグループが開発するステーブルコイン「GYEN」について聞きました。

世界はデジタル通貨発行へ

コインチョイス編集部(以下、編):まず2019年を振り返って仮想通貨・ブロックチェーンの気になった3つの出来事をお聞かせください。

熊谷正寿氏(以下、熊谷氏):一番気になったのはリブラで、すごく動向を注視していました。二つ目は、中国の政府の方向転換。中国政府が仮想通貨の発行を立案し、なおかつマイニングを除く禁止産業リストなどといった中国政府が姿勢を転換させたことです。そしてマイニングマシンメーカーのCanaan がNASDAQ上場を承認されたこと。この3つの出来事というのが、この1年間で印象的なことでした。

編:リブラをきっかけに動き始めた会社が多いようなイメージですが、どう思いますか。

熊谷氏:遅いと思います。GMOインターネットグループでもステーブルコインの発行を準備していましたので。ただ、リブラが出てきて競合が来たかとは思いましたが、あえなく話がしぼんでしまいました。リブラの最大の功績は「世界中の政府が、真剣に考えるきっかけになった」ということです。まだ始まったばかりでこれからどうなるか分かりませんが、多くの国が真剣に考えるきっかけとなったのは、インターネット・仮想通貨の産業史に残る出来事だと思います。

そもそも通貨発行権は国の権益で、国がやはり通貨発行権を以て国を治める形になります。それにとって代わるような思想や発想があると、リブラのように責め立てられる形になってしまいます。仮想通貨は「通貨」なのか、それとも「金」のような存在なのかという議論ですが、あくまで「金」であるとしていれば、このようにはなっていなかったでしょう。

編:中央銀行のデジタル通貨について、リブラをきっかけにさまざまな政府が考えるようになったように見えましたが、各国のデジタル通貨発行についてはどのようにお考えですか?

熊谷氏:全てそうなるでしょう。世界中の通貨はスマホで決済できるようになります。何年スパンで考えているかという話であって、世界はその方向に向かっています。リブラや中国が先にやっていることは関係なく、世界は遅かれ早かれそうなります。民間が出しているものを国が持っていってしまうかもしれないし、どうなるかは分かりません。

GMO熊谷氏

GMOのステーブルコインの発表は?

編:さきほどのお話しの中にも出てきましたGMOインターネットグループで発行予定のステーブルコイン「GYEN」について現在はどのような段階なのでしょうか?

熊谷氏:発行準備は概ね整っており、年内にはプレスリリースという形で情報を公開します。

編:「GYEN」は日常決済をメインとしたものなのでしょうか?

熊谷氏:まず、仮想通貨の業界は大きく分けて、マイニング・取引所・決済に関わる3つだけです。「GYEN」の発行は決済領域のところです。そして、イメージとしてはOSのような感じで、それをどう使うかはエンジニアさんたちが考えることだと考えています。基本的に、インターネットというのは、ユーザーを誘導するという考えは上手くいかないので、ユーザーに任せるしかありません。

これまでGMOインターネットグループは、インターネットの世界でツール提供という形で関わってきました。「GYEN」もそれと同じく、サービスインフラを提供する形です。お客様が自由に使ってもらえるという考え方で、お客様に「こうしたほうがいい」と言うことはありません。

編:仮に日本政府がデジタル通貨を作り始めると、お金の流れが分かるなど、今にはない変化が起きると思いますが、その影響はどのようなものがあると思いますか?

熊谷氏:日本が実際デジタル通貨を発行するのは世界で最後になるかもしれませんが、いずれ発行するでしょう。影響としては、悪いことやさまざまな問題も起こるかもしれませんが、概ね皆ハッピーになるでしょう。銀行もデジタル通貨になると店舗が要らなくなり、必要な人員が減るかもしれません。政府が銀行の機能を持つようになることだって考えられます。世の中良くなりますよ。世の中が悪くなる方向には、ITのテクノロジーは成長しませんから。

兵器が開発された時代、世の中が悪くなる方向にテクノロジーが活用されましたが、ITに限っては、小さな問題点はあるものの、人が幸せになるためにテクノロジーは使われています。

私が見ているのは、波打ち際に立って波を見ているわけではなく、天空から潮の流れを見ている感じです。波は防波堤で止めたり変えたりできますが、潮の流れは止めることも変えることもできません。デジタル通貨に変わるというのは、潮の流れの話です。

リブラですらさざ波の話で、「GYEN」はさらに小さなものですが、その時々では役に立ち、世の中を変えるきっかけになるかもしれません。だから「GYEN」をやるしかなく、政府も必ずや独自のデジタル通貨を発行すると思っています。

GMO熊谷氏

仮想通貨業界の今後

編:仮想通貨業界においてマイニング・取引・決済の他に、これから何が必要になるのでしょうか?

熊谷氏:この3つは基本的なことなので、ここから派生するビジネスは山のようにあります。インターネット産業も、ドメインやサーバーなどのサービスの上に構築されているので、それと同じようになると思います。

「GYEN」をリリースしたら「誰が使う」のかは分かりませんが、「誰かは使う」という話です。日本政府がデジタル通貨を発行して、それを世界にオープンにしたときに「GYEN」の役割も終わるのかもしれませんが、それでいいとも考えています。

編:マイニング事業に関してですが、現在マイニング以外でもステーキングの仕組みがありますが、そのようなステーキングサービスなどは考えられたことはあるのでしょうか?

熊谷氏:現在はビットコインやビットコインキャッシュのマイニングにのみ対応していますが、今後どうしていくかはまだ考えていません。ただ、調達している電力はリーズナブルかつクリーンな電力を使っており、さまざまなものに応用できます。データセンターなどにも活用できるので、さまざまなサービスに活かしつつマイニング事業を継続していこうと考えています。

編:最後に2020年の抱負をお聞かせください。

熊谷氏:2020年はビットコインの半減期でもあり、またオリンピックの時期も重なっているという大きな節目の年です。個人としてはビットコインの価格や交換所、マイニングがどのように変化するという予測はありますが、それが現実になるかどうかが楽しみですね。ひとまずは二十年先まで読んだ上で何をすべきか、自分の経営者としての能力を試す場だと思っています。

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