ステーブルコインとは?基本を30秒で理解
ステーブルコインとは、価格の安定性を実現するために設計された暗号資産の一種です。
「Stable(安定した)」と「Coin(コイン)」を組み合わせた名称の通り、米ドルや日本円などの法定通貨と価値が連動(ペッグ)するよう設計されています。
2026年4月時点で、ステーブルコインの世界市場規模は約3,200億ドル(約48兆円)に達しています。
コインテレグラフらが発表した業界幹部へのアンケートでも「ステーブルコインはすでにPMF(プロダクトマーケットフィット)済みで、決済インフラとして重要な地位を確保した」という認識が主流であり、2026年はさらなる「インフラ定着」の年になると見られています。
ビットコインとの違い
| 項目 | ビットコイン | ステーブルコイン |
|---|---|---|
| 価格変動 | 大きい(年間で数十%変動も) | 小さい(連動通貨と同等) |
| 主な用途 | 投資・資産保全 | 決済・送金・取引の基軸通貨 |
| 価値の裏付け | なし(需給で決定) | 法定通貨・国債等の準備金 |
| 発行上限 | あり(2,100万枚) | なし(需要に応じて発行) |
ビットコインは1日で10%以上変動することもありますが、米ドル連動のステーブルコインは常に1コイン≒1ドルを維持します。
この安定性により、決済手段や暗号資産取引の基軸通貨として広く利用されています。
ステーブルコインの基本的な仕組みや種類についてはステーブルコインの基本・種類・日本対応まとめもご参照ください。
ステーブルコインの種類と仕組み
ステーブルコインは価格安定の仕組みによって大きく4種類に分類されます。それぞれリスクと特徴が異なるため、用途に応じた選択が重要です。
① 法定通貨担保型(最も普及)
法定通貨(米ドル、日本円など)を準備金として保有し、発行額と同等の資産で価値を裏付ける方式です。現在市場に流通するステーブルコインの大半がこのタイプです。
発行額の100%以上を現金・国債等で保有します。1コイン=1ドル(または1円)で常時償還可能で、定期的な監査で準備金の透明性を確保しています。代表例はUSDT・USDC・JPYCです。
② 暗号資産担保型
ビットコインやイーサリアムなど、他の暗号資産を担保として発行する方式です。
担保資産の価格変動リスクに対応するため、過剰担保(150%以上)が一般的です。スマートコントラクトで自動的に担保率を管理し、中央集権的な発行者が不要な点が特徴です。代表例はDAI(MakerDAO)です。
③ アルゴリズム型(リスク高・要注意)
準備金を持たず、アルゴリズムによる供給量調整で価格を安定させる方式です。担保資産が不要なためキャピタル効率が高い一方、市場の信頼が崩れると急激にペッグが外れるリスクがあります。
2022年5月、アルゴリズム型ステーブルコインのUSTは1ドルのペッグを維持できず、10セント台まで暴落しました。約3兆円の価値が消失し、市場全体に深刻な打撃を与えました。
年利約20%を約束していた「Anchor Protocol」への集中も崩壊を加速させた一因です。現在、日本を含む多くの国でアルゴリズム型の発行は規制されており、GENIUS法でも無担保型の発行は認められていません。
④ コモディティ担保型
金や原油など、商品(コモディティ)を裏付け資産とする方式です。代表例はPAX Gold(PAXG)やTether Gold(XAUT)などがあります。
主要なステーブルコイン一覧【2026年4月版】
2026年4月時点のデータによれば、ステーブルコイン市場全体の時価総額は約3,200億ドルを超え、USDTとUSDCで市場全体の約83%を占めています(CoinGecko・DeFiLlama調べ。データソースにより若干差異あり)。
米ドル連動型ステーブルコイン
| 銘柄 | シンボル | 時価総額(目安) | 発行元 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Tether | USDT | 約1,836〜1,960億ドル(約27〜29兆円)※ | Tether Limited | 世界最大、市場シェア約60%。流動性抜群だが透明性に一部懸念。2026年4月時点で約29兆円(CoinMarketCap調べ) |
| USD Coin | USDC | 約706〜783億ドル(約11兆円)※ | Circle Internet Group(日本流通はSBIとの合弁「Circle SBI Japan KK」経由) | 前年比72%成長(Q4 2025決算)。米国規制準拠・月次監査公開。2025年6月NYSE上場(CRCL)。機関投資家に人気 |
| USDe | USDe | 約56億ドル | Ethena Labs | 合成ドル型の第3位。デルタヘッジ戦略で安定化。高い利回りが魅力 |
| DAI | DAI | 約70億ドル | MakerDAO | 分散型、暗号資産担保。国内ではコインチェックで取り扱い |
| PayPal USD | PYUSD | 約5,000億円規模 | Paxos(PayPal提携) | PayPalエコシステムで利用可能。ショッピファイなど加盟店拡大中 |
※時価総額は2026年2〜4月のデータ参照。CoinGeckoとCoinMarketCap等データソースにより数値が異なる場合があります。
日本円連動型ステーブルコイン
| 銘柄 | シンボル | 発行開始 | 発行元 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| JPYC | JPYC | 2025年10月27日 | JPYC株式会社 | 国内初・金融庁承認の電子決済手段型。銀行振込で発行可能。千房やコンビニでの実店舗決済が2026年4月から開始 |
USDTは流動性・普及率で圧倒的優位(取引ペア数200以上、DeFi以外で強い)。
USDCは前年比72%成長(Q4 2025決算・時価総額ベース)で規制対応・透明性が最高水準。
発行元のCircle Internet Groupは2025年6月にNYSE上場(ティッカー:CRCL)し、四半期決算開示・監査義務を負う上場企業となりました。
GENIUS法施行後は規制準拠のUSDCへの機関資金流入が加速しています。
なお、2026年の取引量ではUSDCが一時USDTを上回った期間もあり、用途による使い分けが進んでいます。
日本国内で正規購入できるのはUSDCのみです。
日本のステーブルコイン規制と最新動向【2026年版】
日本の最新の規制情報については金融庁の規制動向もご確認ください。
日本の規制フレームワーク
日本は世界に先駆けて、2023年6月の改正資金決済法施行によりステーブルコインの法的枠組みを整備しました。
2026年4月現在、日本におけるステーブルコインは一般向け商品としてだけでなく、国家の金融インフラとして位置付けられるフェーズに入っています。
電子決済手段として認められるには、法定通貨と連動した価格での発行・額面での償還保証・発行者は銀行・資金移動業者・信託会社に限定、という3条件を満たす必要があります。発行者には裏付け資産(円建て預金・国債等)の保有と分別管理も義務付けられています。
2025〜2026年の主な動向
ステーブルコイン関連の主要動向(2025〜2026年)
| 時期 | 主な出来事 | 関連記事 |
|---|---|---|
| 2025年3月 | SBI VCトレードでUSDCの一般向け取り扱い開始(国内初)。 CircleとSBIが合弁会社を設立し運営。 |
日本のステーブルコイン完全ガイド |
| 2025年6月 | 改正資金決済法が成立。信託型ステーブルコインの資産管理の柔軟化、仲介業の創設。 | 金融庁のステーブルコイン規制動向 |
| 2025年10月27日 | 国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」が正式発行開始。 | JPYCの使い方・発行方法ガイド |
| 2025年11月〜 | メガバンク3行がProgmatとプロジェクトを開始。B2B向けステーブルコイン発行を拡大。 | 金融庁、暗号資産・ステーブルコイン課を新設へ |
| 2025年12月 | ソニー銀行が米企業と提携し、ドル建てステーブルコイン発行を検討。 | — |
| 2026年3月 | SBI VCトレードがUSDCレンディング提供開始。年率10%(期間限定)、通常5%前後。 | USDCレンディング年率10%のチャンスと注意点 |
| 2026年4月 | JPYCが実店舗決済に対応(千房・家電量販店)。日銀がトークン化預金に言及。 | JPYC決済の仕組みとお得度 トークン化預金とは? |
米国の規制動向(GENIUS法)
2025年7月、米国でステーブルコイン規制法「GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins Act)」が成立しました。
| GENIUS法の主なポイント | 内容 |
|---|---|
| 準備資産要件 | 銀行口座・短期米国債など流動性の高い資産を100%保有義務 |
| 情報開示 | 毎月の準備資産開示が必要。500億ドル超の発行者は年次監査報告書を提出 |
| アルゴリズム型の禁止 | 無担保型(アルゴリズム型)の発行は認められない |
| 利回り禁止条項 | ステーブルコイン保有者への利息・利回りの提供を禁止 |
GENIUS法は「規制が成長を阻害するのではなく、促進する」効果をもたらしており、制定後にUSDCの時価総額は前年比72%成長を記録。日本市場への波及として、国内のUSDCレンディングや決済サービスの信頼性向上につながっています。
日本で買えるステーブルコイン【2026年版】
USDC(米ドル連動)
取り扱い取引所はSBI VCトレードです。2026年3月からはレンディングサービスも開始され、年率5%前後の利回りが期待できます(開始記念は年率10%・12週間限定)。購入の流れは「SBI VCトレードで口座開設・本人確認→日本円を入金→販売所でUSDCを選択して購入」です。イーサリアム版USDCに対応しており、取引上限は公式サイトで要確認です
JPYC(日本円連動)
発行・償還プラットフォームは「JPYC EX」です。JPYCの使い方や発行方法の詳細はJPYCの使い方・発行方法ガイドをご覧ください。
実際の決済事例についてはJPYCの実際の決済事例も参考になります。
対応チェーンはEthereum・Polygon・Avalanche。発行・償還手数料無料、1回の発行上限100万円(第二種資金移動業の制限)。
裏付け資産は国債8割・現預金2割。2026年4月から実店舗(千房・有楽町の家電量販店など)での決済が開始されました。クレジットカード「Nudge」(VISA加盟店1億5,000万店超)の返済、NFTマーケットプレイス、DeFiサービスでも利用可能です。
JPYCとその他の円ステーブルコインの比較については円ステーブルコイン比較もご参照ください。
DAI(暗号資産担保型)
取り扱い取引所はコインチェックです。DAIは暗号資産を担保とした分散型ステーブルコインで、DeFiでの活用に向いています。
ステーブルコインのメリット・デメリット
メリット
① 価格の安定性:ビットコインのような価格変動がなく、法定通貨と同等の安定性を持ちながらブロックチェーンの利点を活用できます。
② 高速・低コストな送金:従来の銀行送金では数時間〜翌営業日かかる国際送金も、ステーブルコインなら数分以内で完了します。手数料は従来の2〜7%から0.5%未満に削減できます。
③ 24時間365日取引可能:銀行の営業時間に関係なく、いつでも送金・決済が可能です。
④ プログラマビリティ:スマートコントラクトと連携することで、支払いや報酬の自動化が実現できます。
⑤ 暗号資産取引の基軸通貨:価格変動リスクを抑えながら暗号資産市場に資金を置いておけるため、取引のタイミングを待つ際に便利です。
⑥ 利回りを得られる(DeFiやレンディング):AaveなどのDeFiプロトコルや国内取引所のレンディングで年利4〜5%程度の利回りを得ることが可能です。ただしリスクも伴います。
デメリット・リスク
① 発行者リスク(カウンターパーティリスク):発行者が破綻した場合、準備金が返還されないリスクがあります。信頼性の高い発行者を選ぶことが重要です。
② 規制リスク:各国の規制変更により利用が制限される可能性があります。GENIUS法の利回り禁止条項なども影響しえます。
③ ペッグ崩壊(ディペッグ)リスク:市場の信頼が損なわれると価格が乖離する可能性があります。テラUSD暴落が代表例です。
④ ハッキングリスク:DeFi利用時にスマートコントラクトの脆弱性を突かれるリスクがあります。
⑤ 為替変動リスク:ドル建てステーブルコイン(USDC等)は円高時に評価額が下落します。
