竹中平蔵に聞く、国や銀行にとっての仮想通貨

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政府にとって仮想通貨はどんな存在?

編:政府の立場から見ると仮想通貨はどのような存在なのでしょうか?

竹中:日本の場合、政府は割と早く対応したと思います。2016年に、これを決済通貨として認めたわけですよね。法律では割とそういう点では無難に「インターネット上で取引等々ができるような財産的価値」と書かれています。

仮想通貨は国が認めようが認めまいが止めることができない性質のものですから、積極的に取り入れようとしていたり、抑制するわけでなく、必要な規制をかけていこうとう姿勢ですね。
しかし、最近は中国が仮想通貨を禁止したと報道され、価格も大きく動きましたね。仮想通貨は為替管理をしている当局としては大変恐ろしい存在でもあります。

中国は外貨管理をして、人民元を持っている人は簡単にドルなどに替えさせないようにしていますが、仮想通貨ならできてしまいます。それを恐れて禁止をしたというわけですけれど、これは中国にとって長期的なマイナスなのではないでしょうか。

中国の長期的な経済発展にとっては、やはりその社会主義自由市場経済ということで、無理をして矛盾したことをしてる国なので、その部分が最先端の仮想通貨に現れてきているということだと思いますね。

仮想通貨を受け入れることは銀行にとって自己否定?

竹中:仮想通貨の取引所に投資している銀行もありますが、ある意味これは銀行の自己否定になるのではないでしょうか。フィンテックを定義するならば、お金に関するビッグデータを取り扱うテクノロジー企業だと思います。

サービスを提供するにあたって銀行である必要は全くないです。ですので、銀行がフィンテックと騒いでいることに対して、本当に自己否定ができるのだろうかと少し冷ややかに見ています。

銀行も賢いのでフィンテックを取り入れて生産性を上げようとしていますが、フィンテックのプロジェクトには現場の仕事にとって代わるようなものもあるので、現場の人には不都合かもしれませんね。それでもやはりこの問題に対し、正面から向き合わざるを得ないような技術的局面を迎えています。

そもそも、それこそ第四次産業革命、人工知能ロボット、IOTビッグデータ、等々と組み合わさることによって、今の職業の約半分はなくなるといわれています。

そのなくなる職業の中には銀行の融資係が入っています。融資係が全くゼロになるとは言いませんが、今行っている業務のかなりの部分はデータベースと置き換えられますよね。

同じように会計士の仕事もなくなると言われているわけですね。最終的な判断をする人は残るでしょうけども、今行われている仕事の大半の部分は、やはり置き換えられて行く。だからそういうトレンドの中に、銀行があると考えれば自然なことかもしれないですね。私は大学の教師もなくなると思ってます(笑)。

答えの出ない絶対的な正解がないものに対してああでもないこうでもないと、全員が参加して議論するような授業には必要だと思いますけども、経営学の教科書に書いてあるような基本的な知識を教える仕事なんて人間がやる必要は全然ありません。

それで実は一番成功してるのが、Webで授業をしている東進ハイスクールですよね。

編:とはいえ、今の立を手放したくない人っていうのが結構いるわけで、その人は全力で変化を阻止したいというモチベーションがやっぱりあるのですよね。

竹中:その通りですね。こういうイノベーションは何でもそうですけど、そのメリットは薄く広く行き渡ります。

例えば送金手数料が100円から10円になったというと、利用者にとって安くなったのは90円だけです。でも、ほとんど全員に行き渡るものなので社会全体として物凄く大きな利益があるはず。

一方で、銀行業界が失う利益は深いんですよね。この人たちは徹底的に反論します。例えば話題になっている加計学園の問題や、過去の郵政民営化だって、既得権益を失う人たちは少数でも失うものが大きいので、徹底的に抵抗してきました。

改革をする方はほとんど応援団がいませんが、実はこれ全てに通じていると思います。

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