米国司法省は11月16日、オンラインの仮想通貨貸付プラットフォームであるビットコネクト(BitConnect)から押収した約5,600万ドル(約64億円)の詐欺収益の清算を認めたことを発表した。今回の清算は、米国における仮想通貨詐欺の単独回収額としては、最大規模となる。
個人投資家から2,300億円を詐取
米国証券取引委員会(SEC)は9月1日、ビットコネクトと同社のサティシュ・クンバニ(Satish Kumbhani)創業者、およびその米国トッププロモーターとその関連会社に対し、デジタル資産を含むプログラムへの投資を世界的に不正かつ未登録で提供し、個人投資家から20億ドル(約2,300億円)を詐取したとして提訴したことを発表した。
ニューヨーク南部地区の米国地方裁判所に提出されたSECの訴状によると、被告らは2017年初頭から2018年1月にかけて、ビットコネクトが提供する貸付プログラムへの投資という形で、詐欺的かつ無登録の証券の募集・販売を行ったという。投資家の預託金を利用して、法外に高いリターンを得ることができるなどと虚偽の説明をしていた。
SECは、投資家の資金をトレーディング・ボットと称する取引のために使うのではなく、投資家の資金を自分たちや米国でのトッププロモーターであるグレン・アルカロ(Glenn Arcaro)などが管理するデジタルウォレットのアドレスに送金して、自分たちの利益のために吸い上げたと主張している。
SECのニューヨーク地域事務所のララ・シャロフ・メラバン(Lara Shalov Mehraban)副地域長は、「これらの被告は、デジタル資産への関心を利用して、世界中の個人投資家から数十億ドルを盗んだ」とし、「我々は、デジタル資産分野で不正行為を行った者を積極的に追求し、責任を追及する」とのコメントを発表している。
政府が仮想通貨を売却し被害者への返還を行う予定
今回の清算の経緯としては、米国司法省およびカリフォルニア州南部地区連邦検事局が、グレン氏から押収した約5,600万ドル(約64億円)を清算するよう求めていたことにある。
政府は、仮想通貨を売却して米ドルで収益を確保し、これらの資金を使って判決時の裁判所による将来の返還命令に従って被害者への返還を行う予定。なお、グレン氏は2022年1月7日に判決を受け、最高で懲役20年の刑に処せられる。
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