イーサリアム(ETH)のステーキングプールのステークハウンド(StakeHound)は、イーサリアム2.0でステーキングしている38178ETH、時価84億円相当のETHを将来的に引き出す秘密鍵の一部を保管委託先が紛失したと発表した。
StakeHoundのETH2秘密鍵紛失
StakeHoundはイーサリアム2.0のステーキングを依託するコントラクトを提供しており、2021年6月現在536.6万ETHがステーキングされている全体のうち約0.7%ほどのシェアを有する。StakeHoundを利用することで得られるETHを将来的に引き出す借用書トークンとして発行される「StakeHound Staked Ether」を略してstETHとしているため、53.6万ETHがステーキングされている最大手のLidoと混同されることがあるが全くの別ものだ。
今回紛失したShards Withdraw Keyは、イーサリアム2.0の開発がフェイズ2に移行した際にETHをイーサリアム2.0の分割チェーンであるShard Chainに引き出すときに必要となる。マルチシグとして4つに分割されており、引出しには4つのうち3/4必要でそのうち2つを紛失したとしている。
カストディアンFireblocksへの依託
StakeHoundによるとSharding引出し鍵の2つをカストディアンのFireblocksへ依託しており、Fireblocksが紛失したと発表している。Fireblocksは保管していた引出し鍵の
1)該当データの秘密鍵
2)バックアップの秘密鍵
を有していないとしており、対象の秘密鍵を復元できない状態となっているという。StakeHoundはこの問題に対応するためにFireblocksと共同で対処したものの解決できなかった。
Fireblocksの訴訟と主張
Fireblocksはイスラエルのカストディ企業で、StakeHound以外にも多くのプロジェクトが秘密鍵などの管理依託を行っている。訴訟は22日付けでイスラエル高等裁判所に提起された。
Fireblocksの主張によると、「秘密鍵はクライアントによって生成され、Fireblocksプラットフォーム外で保管されている。弊社ガイドラインで示しているように、バックアップは顧客が自身の責任で第三者サービスなどで保管しなければいけなかった」としている。
StakeHound側の主張では今回の紛失はFireblocks社員による「ヒューマンエラー」とされており、このバックアップを受取って保管する企業「Coincover」は該当の秘密鍵が正常に開くことができるかを守秘義務契約から確認できなかったという。
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