オンチェーン・データを提供するクリプトクアント(CryptoQuant)によると、3月9日時点でビットコイン(BTC)マイナーのウォレットに保有される資産は、およそ183万BTC(約4兆9,990億円)であり、2022年10月12日に記録した191万BTC(約5兆1,730億円)以来の低水準に落ち込んでいます。
保有資産を放出するマイナーの動き
クリプトクアントは機械学習(ML)技術を用いて、マイナーのウォレット・アドレスを特定し、彼らの資産を分析しました。これらのウォレットはマイナーもしくはマイニング・プールのもので、ビットコインの蓄積が目的です。
これらのウォレットに蓄積された資産は、「マイナー・リザーブ(マイナー保有資産)」と呼ばれ、ビットコイン価格を予測する重要な指標になっています。この指標が上昇すると、マイナーがより多くのビットコインをウォレットに貯めようとしていることを意味し、指標が下落すると、マイナーが売りに出していることが分かります。
一般的には、現在のように指標が売りに傾いている場合、ビットコイン価格は下落傾向にあります。マイナーが保有しているビットコイン量が多いため、指標のパターンが暗号資産(仮想通貨)市場に大きなインパクトを与えるからです。
マイナーを動かした直近の価格上昇
クリプトクアントの分析では、いくつかのオンチェーン測定指標が上向きのトレンドを見せているのに対し、マイナー・リザーブ指標は弱気のトレンドを示しています。指標が記録的な低水準に落ち込んでいることは、特に重要なポイントです。
マイナー・リザーブ指標は、仮想通貨価格が上昇を始めて以来下落を続けています。おそらくマイナーは、価格上昇をチャンスとしてとらえ、市場の低迷で減少していた利益を、この機会に取り戻そうと考えたのではないでしょうか。
マイナーは電気代などの運用コストを捻出するために、資産の一部を売りに出すことがあります。一方で大規模な安売りは、彼らが事業を続けるための苦肉の策である可能性があります。
コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)のデータでは、ビットコイン価格は年初から45%以上値上がりしました。この短期的な強気相場を利用して、マイナーは世界的なエネルギー価格の高騰と、深刻なネットワーク状況に対するコストを支払うため、保有する資産を大量に売りに出すという苦渋の決断に至ったのでしょう。
参考
・Bitcoin miner reserves drops, bearish signs emerge
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