アメリカ最大の金融機関JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)のレポートは、ビットコイン(BTC)現物ETFのカナダやヨーロッパにおける先例が、アメリカでの展開を予測するヒントになると報じています。さらに大型アップグレードにより、業界の興味はイーサリアム(ETH)に移行するとも予測しています。
最大のテーマは規制の枠組みづくり
JPモルガンのアナリストは、2024年が明けてすぐにアメリカ証券取引委員会(SEC)が、申請中の13のビットコイン現物ETFを承認した場合、その商品パフォーマンスは精細を欠くだろうと推測しています。しかもビットコイン半減期の影響はすでに価格に反映しており、今後の影響は限定的だとも述べています。
レポートの予測は、SECの承認後ビットコインに巨額の資金流入がある、という強気の意見を信奉する暗号資産(仮想通貨)関係者の心理に基づくものです。さらにレポートでは、ビットコイン現物ETFが成功裏にローンチしても、先物ETFやマイニング、グレースケール(Grayscale)ビットコイン信託(GBTC)など、既存のビットコイン関連商品から資金が移動するだけであることも指摘されています。
GBTCに関しては、もしも現物ETFへの資金移動が現実化すると、グレースケールの長年の顧客が現金化を急ぎ、およそ27億ドル(約3,840億円)の売り圧力を誘発する可能性があるとのことです。
仮想通貨プラットフォームのヴィチェーン(VeChain)CEO(最高経営責任者)であるサニー・リュー(Sunny Lu)氏は、ビットコイン半減期よりも規制構築のほうが、市場への影響力が大きくなる可能性を指摘しています。その上でリュー氏は、「すべての仮想通貨市場が現物ETFの進展に注目しており、これはビットコインと仮想通貨にとって、最大の歴史的重大事になるかもしれない」とも述べて、SECの判断を軽視すべきではないことを強調しています。
2024年にはイーサリアムも動く
JPモルガンのアナリストは、「イーサリアムが仮想通貨エコシステム内で、改めて存在感を高め市場シェアを拡大することを我々は信じている」とコメントし、2024年にはビットコインとその現物ETFをしのいで、イーサリアムが躍進すると見ています。
その根拠は今後実行される予定の技術的アップグレード「EIP-4844」にあり、このアップグレードがプロト・ダンクシャーディング(レイヤー2での処理能力向上)に関わるもので、ガス代の削減とスループットの向上に貢献する点を評価しているようです。
SECのビットコイン現物ETF承認を期待する声が高まる中で、JPモルガンのリサーチャーたちはやや異なる見解を共有しています。その一方で最近SECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、この話題に関わる質問を避けているようですが、専門家たちは承認が時間の問題だと考えているようです。
参考
・JPMorgan: Bitcoin ETF’s impact overstated, Ethereum set to surprise skeptics
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