ビットコインは逆風で立ち往生、グラスノードは11万ドルを予測

ビットコイン(BTC)は5月1日以来はじめて、56,700ドル(約913万4,000円)レベル以下にまで価格を下げました。現在アメリカの政治不安など、ビットコインは強い逆風の中にあり、20%近い価格下落は投資家の不安をあおっています。

ビットコイン価格下落の要因は?

ブルームバーグ(Bloomberg)の最新レポートによると、投資家はバイデン大統領の選挙戦離脱を重く見ているようです。共和党のトランプ氏が暗号資産(仮想通貨)に歩み寄る中で、新たな民主党候補者が反対の立場に立つ可能性があるからです。

デジタルアセット・キャピタルマネジメント(Digital Asset Capital Management)の共同創業者リチャード・ガルビン(Richard Galvin)氏は、短期的なビットコインの弱気に影響する、仮想通貨不支持の民主党候補者の登場もあり得ると見ています。

もう1つの不安要素は、10年近く前に起こったマウントゴックス(Mt.Gox)社の破綻事件に関して、被害者に弁済を始める計画があることです。この原資は80億ドル(約1兆2,890億円)分のビットコインと見られており、その中からどの程度が売却されるのかは不透明ですが、大規模な売りは価格にも影響するでしょう。

トレーダーは、アメリカ政府とドイツ政府による、ビットコイン資産の売却リスクにも注目しています。アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)のデータでは、ドイツ政府は押収したビットコインの一部7,500万ドル(約121億円)相当を、7月4日に複数の取引所へ送金した模様です。

さまざまな要素によるビットコイン市場へのインパクト

一方ビットコインのブロックチェーンを維持するマイナーも、依然として半減期による資金リスクに直面しており、報酬が減少する状況が続いています。

クリプトイズマクロナウ(Crypto is Macro Now)のニュースレターを担当するノエル・アチソン(Noelle Acheson)氏は、一部のマイナーが保有資産を部分的に売却していて、それがビットコインに対する売り圧力になっていると主張します。

彼はアメリカ経済のデータが弱気に向かえば、米国連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策緩和の期待が高まり、市場心理が急激に変化する可能性も指摘しています。

前向きな話題では、イーサリアム(ETH)現物ETFの承認が、市場の雰囲気を大きく変えるという意見もあります。またアメリカの政治が、時と共に転換する可能性も低いとは言えません。

ビットワイズ(Bitwise)の投資部門責任者マット・ホーガン(Matt Hougan)氏は、民主党の候補者交代が仮想通貨にとって良い方向に作用するという見解です。彼はこの1年間で、デジタル資産に対するアメリカ政府の態度が、ポジティブに変化している点を強調しています。

グラスノードは強気の展開を予測

グラスノードの共同創業者であるヤン・ハペル(Jan Happel)氏とヤン・アレマン(Yan Allemann)氏は、強気の主張を維持しており、市場がピークに達する前にビットコインは110,000ドル(約1,772万円)に届くと予測しています。

彼らは現在の持ち合い状態を、前回の史上最高値エリアへのリテスト段階と見ています。ビットコインは今後64,000ドル(約1,031万円)と70,000ドル(約1,128万円)のキーレベルを突破する必要があり、そのためには市場の展開と価格動向の活性化が不可欠だという見解です。

クロプトクアント(CryptoQuant)のジュリオ・モレノ(Julio Moreno)氏は、ビットコインの適正価格を割り出す「メトカーフの法則(Metcalfe Price Valuation)」を用いて、ビットコインの重要なサポートラインを56,000ドル(約902万円)と算出しました。彼は、もしもこのキーレベルの維持に失敗すると調整がさらに強まり、市場により深刻な影響をもたらすと推測しています。

日本時間の7月5日正午時点で、ビットコインは直近24時間で6%ほど値を下げ、55,400ドル(約892万5,000円)レベルにあります。すでにモレノ氏の予測を下回っていますが、果たしてこの状況を覆す材料があるのでしょうか。

参考
Glassnode: Bitcoin $110,000 Target Holds, Breaking These Key Levels Crucial To Avoid Crash

【こんな記事も読まれています】
ビットコイン価格は1年後に5倍に!?アナリストたちが描くシナリオとは
イーサリアムETF承認はなぜETH価格高騰に影響してないのか?
ビットコイン1億円時代の到来を予想、バーンスタインの一流アナリスト

おすすめの記事