「Trust Wallet」アップストアから一時的に削除

トラストウォレット(Trust Wallet)が3月21日、アップストア(App Store)で使用できなくなりました。翌日同社のプロジェクトチームは、この問題を可能な限り迅速に解決すると説明し、暗号資産(仮想通貨)はブロックチェーン上に保管され、アプリのサービスはデジタル資産へのインターフェースとしてのみ機能しているため、ユーザーの資産は保全されることを保証しました。その後同社は24日、公式ツイッターアカウントで問題が解決したことを発表しています。

アップルの強引なポリシーに抵触した可能性

ユーザーは一時的に、アプリのアップデートや再インストールできませんでしたが、この問題はアンドロイドユーザーには影響はありませんでした。

しかしすでにiPhoneからアプリを削除して、再度アプリにアクセスする方法を模索しているユーザーや、リカバリーフレーズを失って途方に暮れる一部ユーザーなどは仮想通貨を失うのではないかと不安に駆られたようです。

6デイズ合同会社(Six Days LLC)により創設されたトラストウォレットは、2018年に大手取引所のバイナンス(Binance)に買収されました。トラストウォレットでは仮想通貨決済と送金、サービスパートナーを通じた通貨の購入、NFTトークンの保管、また多様な分散型プラットフォームへのアクセスが可能です。

しかし分散型アプリへのアクセスは、ウォレットのブラウザ、しかもアンドロイドの端末を通じてしかできません。アップストアのガイドラインに準拠し、iOS上でサービス提供を続けるために、トラストウォレットの分散型アプリへのアクセス機能は、2021年のiOSバージョンで削除されました。iPhoneのユーザーは、ウォレットコネクト(WalletConnect)を通じてのみ、NFTやDeFiにアクセスできます。

突然のアップストアからの削除について公式には説明されていませんが、専門家はアップストアのポリシーに違反した可能性、特にサードパーティーの決済に属する部分に抵触した可能性が高いと見ています。

トラストウォレットの公式サイトでは、このアプリでは仮想通貨を販売せず、ユーザーはサードパーティープロバイダーの方にリダイレクトされると説明されており、これがアップルのポリシーに合わなかったようです。

トラストウォレットに代わる選択肢

トラストウォレットとバイナンスが、アップルに対してどのような対応をを取るのかどうかは分かりません。しかし最新のiOSユーザーが、トラストウォレットのアプリを一時的にダウンロードできなかったことは明らかです。

代わりにどのウォレットを使うべきか悩むユーザーや、今使っている別なウォレットにも問題が飛び火することを案じるユーザーは、アップルストアから削除されるリスクがないアプリを探す必要があります。つまりそれは、サードパーティーの決済システムを含まず、決済と仮想通貨取引に関わるすべての機能が、ウォレット開発者によって提供される必要があるということです。

参考
Apple Removes Trust Wallet from Its App Store. Here’s Why

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