イーサリアムはArrow Glacier(アロウグレイシャ)ハードフォークを実装したGeth v1.10.12を公開。今回の大型アップデートとなるハードフォークではマイニングを廃止する「The Merge」は含まれず、DeFi(分散型金融)やNFTが動いているイーサリアム1.0が対象となり12月8日前後を予定している。
Arrow Glacier(アロウグレイシャ)とは?
イーサリアムの大型アップデートArrow Glacier(アロウグレイシャ)とは、2021年8月に実装したロンドンアップデートのEIP-3354をさらに調整するハードフォーク。EIP-3354では「ディフィカルティボムを12月1日まで延期」という調整がされている。ディフィカルティボムとは、ハードフォーク時にマイナーやコミュニティ、プロジェクトが新規チェーンに移行するためのインセンティブ設計プロトコルを指す。
Arrow Glacierはロンドンアップデートの次に予定されていたシャンハイハードフォークではなく、このディフィカルティボムの調整のみのアップデートだ。
EIP-4345:ディフィカルティボム調整
Arrow Glacierに含まれるEIP-4345は、「2021年12月1日をターゲットとしたディフィカルティボムの発動を2022年6月まで延期する」というものだ。
本来はマイニングを廃止し、ETH1とETH2を統合する「The Merge」の移行インセンティブとして12月1日が設定されていたが、The Mergeの実装を来年の夏までに行うことを考慮した調整ということになる。The MergeはPithosテストネットが公開されており、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムを変更する「超大型アップデート」であるため当初の予定より慎重を期す必要があるだろう。
Arrow Glacier(アロウグレイシャ)はいつ?
イーサリアム1.0のArrow Glacier実装はブロック13773000に設定されており、2021年12月8日前後を予定している。イーサリアムの主要クライアントはGethやNethermind、Erigonなどの5クライアントがあるが、現在は
・Geth v1.10.12
・Nethermind v1.11.7
の2クライアントがArrow Glacierを実装している。Geth v1.10.12では主要テストネットであるロプステンの代替えとなるSepoliaテストネットのサポートも同様に行っている。32ETHを自己ノードでステーキングしているバリデータや、イーサリアムノード、関連サービスは12月8日以前にアップデートしておく必要があるため注意だ。