香港規制当局による仮想通貨取引所規制の最新動向【2025年8月版】
香港規制当局による仮想通貨取引所規制の最新動向【2025年8月版】

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目次

香港規制当局による仮想通貨取引所規制の最新動向【2025年8月版】


冒頭の直接回答

香港の証券・先物取引監察委員会(SFC)は、2025年8月15日に暗号資産取引プラットフォーム(VATP)の保管基準を厳格化する新通達を発表しました。現在11社が正式ライセンスを取得し、ステーブルコイン規制も8月1日から施行されており、香港はアジア最大の暗号資産ハブを目指しています。

要点

  • SFCが2025年8月15日に暗号資産取引所の保管基準を厳格化
  • 正式ライセンス取得済み取引所は11社(OSL、HashKey等)
  • ステーブルコイン規制が2025年8月1日から施行開始
  • 申請中の取引所は9社(Crypto.com、Bybit等)
  • アジアの暗号資産ハブ確立に向けた積極的な規制整備を推進

SFC(香港証券先物委員会)による規制体系

基本的な規制枠組み

香港の仮想通貨取引所規制は、SFCが所管する仮想資産サービスプロバイダー(VASP)ライセンス制度を中心に構築されています。2023年6月から本格的に開始されたこの制度により、香港で営業する暗号資産取引プラットフォームは正式なライセンス取得が義務付けられました。

2025年8月15日の新通達内容

SFCは暗号資産取引プラットフォームに対する新たな最低基準を設定しました:

保管要件の厳格化

  • 顧客資産の98%をコールドストレージで保管義務
  • 独立した第三者による月次監査の実施
  • 顧客資金と企業資金の完全分離管理

ガバナンス強化

  • 上級管理職レベルでの責任体制確立
  • リスク管理システムの高度化
  • 透明性向上のための定期報告義務

SFC公式ライセンスリスト


正式ライセンス取得済み取引所一覧【2025年8月最新】

第一世代ライセンス(2020-2022年)

OSL Digital Securities Limited

  • ライセンス取得日:2020年12月15日
  • プラットフォーム名:OSL Exchange
  • 特徴:香港初のSFC認可暗号資産取引所
  • 対象:機関投資家・プロ投資家向けサービス

Hash Blockchain Limited

  • ライセンス取得日:2022年11月9日
  • プラットフォーム名:HashKey Exchange
  • 特徴:個人投資家向けサービスも提供
  • 取扱銘柄:ビットコイン、イーサリアム、ソラナ等

2024年新規認可(4社)

Hong Kong Virtual Asset Exchange Limited(HKVAX)

  • ライセンス取得日:2024年10月3日
  • 特徴:香港本土系取引所

2024年12月一括認可(4社)

  • HKbitEX(Hong Kong Digital Asset EX Limited)
  • Accumulus(Accumulus GBA Technology)
  • DFX Labs(DFX Labs Company Limited)
  • EX.IO(EXIO Limited)

2025年新規認可(4社)

PantherTrade(2025年1月27日認可)

  • 正式名称:Panthertrade (Hong Kong) Limited
  • 特徴:新興取引プラットフォーム

YAX(2025年1月27日認可)

  • 正式名称:YAX (Hong Kong) Limited
  • プラットフォーム名:YAX

Bullish(2025年2月18日認可)

  • 正式名称:Bullish HK Markets Limited
  • 特徴:Block.oneが設立した取引所

BGE(2025年6月17日認可)

  • 正式名称:Hong Kong BGE Limited
  • プラットフォーム名:BGE

申請中・審査中の取引所【2025年8月現在】

大手国際取引所

Crypto.com

  • 申請日:2024年2月9日
  • 運営会社:Foris DAX HK Limited
  • ステータス:みなしライセンス取得済み

Bybit

  • 申請日:2025年6月6日(再申請)
  • 運営会社:Spark Fintech Limited
  • 特徴:以前の申請は撤回、再チャレンジ中

Matrixport HK

  • 申請日:2024年2月26日
  • 運営会社:Flying Hippo Technologies Limited
  • 特徴:シンガポール系デジタル資産サービス

WhaleFin

  • 申請日:2024年2月21日
  • 運営会社:Whalefin Markets Limited
  • 特徴:Amber Group系列

その他申請中取引所

BitMart

  • 申請日:2025年6月27日
  • 運営会社:Spread Technologies Hong Kong Limited

Bixin.com

  • 申請日:2024年1月24日
  • 運営会社:NewBX Limited

bitV

  • 申請日:2024年2月6日
  • 運営会社:HighBlock Limited

Nebulas Exchange

  • 申請日:2024年10月25日
  • 運営会社:Nebulas Hong Kong Limited

VDX

  • 運営会社:Victory Fintech Company Limited
  • 特徴:既存のオプトイン制度下での申請者

撤回・拒否された主要取引所

大手取引所の撤回事例

OKX

  • 撤回日:2024年5月24日
  • 申請日:2023年11月16日
  • 理由:申請撤回

Huobi HK

  • 撤回日:2024年5月14日(2回目)
  • 申請日:2024年2月26日
  • 特徴:2回申請するも両方とも撤回

Gate.HK

  • 撤回日:2024年5月22日
  • 申請日:2024年2月28日
  • 理由:申請撤回

申請返却事例

Bitcoin World Technology Limited

  • 返却日:2024年10月10日
  • 理由:申請書類の不備・基本的問題未解決

ステーブルコイン規制の施行【2025年8月1日開始】

規制概要

香港金融管理局(HKMA)によるステーブルコイン条例が2025年8月1日から施行されました。法定通貨を基準とするステーブルコイン発行者は、HKMAからのライセンス取得が義務付けられています。

主要要件

  • 1対1の準備金保有:発行量と同等の法定通貨準備
  • 定期監査:独立監査人による透明性確保
  • KYC義務:全保有者の実名認証実施
  • 運用透明性:定期的な財務報告

申請状況

40社を超える大手金融企業・テクノロジー企業がライセンス申請を提出済みです。

HKMA ステーブルコイン規制ガイダンス


香港の競争優位性と投資家保護

税制上の優遇措置

キャピタルゲイン税なし

米国(最大20%)、英国(最大20%)、オーストラリア(最大45%)と異なり、香港では暗号資産取引によるキャピタルゲインに税金が課されません。

付加価値税(VAT)なし

EU諸国で暗号資産サービスに課される20%前後のVATが、香港では完全免除されています。

競争力のある法人税

香港の地域限定課税制度により、現地利益のみに16.5%の法人税を適用。これはシンガポール(17%)、米国(21%)、EU平均(21.3%)より低い税率です。

コモンロー制度による投資家保護

契約執行の予測可能性

香港高等法院によるMantra Dao事件(2024年)では、以下の重要原則が確立されました:

  1. 財務透明性義務:暗号資産事業体も従来企業と同等の財務説明責任を負う
  2. DAO法的責任:分散型組織であっても法的責任は免れない

厳格なカストディ要件

  • 顧客資産98%のコールドストレージ保管義務
  • 月次準備金証明監査
  • 顧客・企業資金の完全分離

比較表・規制要件一覧

アジア主要金融センター比較表

項目 香港 シンガポール 日本 韓国
個人取引許可 ✓許可(規制下) ×制限的 ✓許可 ✓許可
広告規制 適格性審査必要 禁止 一部制限 制限あり
キャピタルゲイン税 なし なし あり(20%) あり(最大22%)
ライセンス制度 VASP MAS 暗号資産交換業 特定金融情報法
規制当局 SFC MAS 金融庁 金融委員会

香港VASPライセンス要件

要件分類 具体的要件 遵守必要度
資本要件 最低300万HKD 必須
保管要件 顧客資産98%コールドストレージ 必須
監査要件 月次準備金証明 必須
KYC/AML FATF勧告準拠 必須
分離管理 顧客・企業資金分離 必須
保険要件 サイバーセキュリティ保険 推奨
技術要件 システムセキュリティ基準 必須
報告義務 疑わしい取引の届出 必須

取引所紹介

日本国内でも香港規制下の暗号資産取引所の動向は注目されており、以下の日本の取引所で関連銘柄を取引できます。

BitTrade(ビットトレード)

香港市場でも注目される主要暗号資産を豊富に取り扱う国内取引所です。国際的な規制動向を踏まえた銘柄選定が特徴です。

主な特徴

  • 取扱銘柄数:国内最多クラス
  • 国際銘柄:香港関連銘柄も対応
  • 取引手数料:競争力のある料金体系
  • セキュリティ:国際基準準拠

BitTrade公式サイト

SBI VCトレード

SBIグループの信頼性と香港などアジア市場への深い理解を活かした暗号資産サービスを提供しています。

主な特徴

  • 運営母体:SBIグループ
  • アジア展開:香港・シンガポール等にネットワーク
  • 手数料:各種手数料無料
  • 法人対応:機関投資家向けサービス

SBI VCトレード公式サイト

Coincheck(コインチェック)

国内最大級のユーザー数を持ち、香港市場で注目される銘柄も積極的に取り扱っています。

主な特徴

  • ユーザー数:国内最大級
  • 取扱銘柄:主要暗号資産を幅広くカバー
  • サービス:積立投資、NFT取引対応
  • アプリ:直感的で使いやすいUI

Coincheck公式サイト

bitbank(ビットバンク)

高機能な取引ツールと競争力のある手数料で、香港関連の暗号資産投資にも対応しています。

主な特徴

  • 取引ツール:TradingView搭載
  • 手数料:マイナス手数料制度
  • セキュリティ:コールドウォレット管理
  • 流動性:国内屈指の取引高

bitbank公式サイト

GMOコイン

GMOインターネットグループの信頼性と技術力で、香港などアジア市場の動向を踏まえたサービスを提供しています。

主な特徴

  • 親会社:GMOインターネットグループ
  • 取引形態:現物・レバレッジ対応
  • 手数料:各種手数料無料
  • 国際展開:アジア市場への理解深い

GMOコイン公式サイト

BITPOINT(ビットポイント)

独自の銘柄ラインナップで香港市場でも注目される新興暗号資産を積極的に上場しています。

主な特徴

  • 独自銘柄:他社にない銘柄も取り扱い
  • キャンペーン:新規登録特典充実
  • 国際性:海外市場の動向を反映
  • サポート:充実したカスタマーサポート

BITPOINT公式サイト


よくある質問(FAQ)

Q1. SFCとは何ですか?どのような権限を持っていますか?

SFC(Securities and Futures Commission:証券・先物取引監察委員会)は香港の金融監督機関で、暗号資産取引プラットフォームの認可・監督権限を持ちます。2023年6月からVASPライセンス制度を本格運用し、香港で営業する仮想通貨取引所は必ずSFCの認可を取得する必要があります。無認可での営業は違法行為となり、厳しい処罰の対象となります。

SFC公式サイト | VASPライセンス制度詳細

Q2. 2025年8月15日に発表された新通達の内容は何ですか?

SFCは暗号資産取引プラットフォーム(VATP)の保管基準を大幅に厳格化しました。主要な変更点は:①顧客資産の98%をコールドストレージで保管義務、②独立した第三者による月次監査実施、③上級管理職レベルでの責任体制確立、④顧客資金と企業資金の完全分離管理です。これらの措置は、FTX崩壊などの過去の事例を踏まえた投資家保護強化が目的です。

CoinDesk Japan 最新報道

Q3. 香港でライセンスを取得している仮想通貨取引所は何社ありますか?

2025年8月現在、11社が正式なVASPライセンスを取得しています。最初期のOSL(2020年12月)、HashKey(2022年11月)から始まり、2024年に4社、2025年に4社が新規認可されました。最新の認可はBGE(2025年6月17日)です。また、9社が申請中で、Crypto.com、Bybit、Matrixport HKなどの大手取引所も含まれています。

Q4. ステーブルコイン規制はいつから始まりましたか?

香港のステーブルコイン規制は2025年8月1日から正式に施行されました。法定通貨を基準とするステーブルコイン発行者は香港金融管理局(HKMA)からのライセンス取得が義務付けられ、1対1の準備金保有、定期監査、KYC義務、運用透明性などの要件を満たす必要があります。40社を超える企業がライセンス申請を提出済みです。

BeInCrypto ステーブルコイン規制解説

Q5. 香港の暗号資産規制の特徴は何ですか?

香港の規制は「投資家保護と市場発展の両立」が特徴です。シンガポールが個人取引を制限的に扱うのに対し、香港は適格性審査の下で規制された個人参加を認めています。また、キャピタルゲイン税なし、VAT免除、競争力のある法人税(16.5%)など税制面でも優遇されています。コモンロー制度による予測可能な契約執行も大きな魅力です。

Law.asia 香港規制解説


まとめ

香港は2025年8月15日のSFC新通達により、世界で最も厳格な暗号資産取引所保管基準を確立し、投資家保護を大幅に強化しました。現在11社の正式ライセンス取得済み取引所と、Crypto.comやBybitなど9社の申請中取引所により、アジア最大の暗号資産ハブとしての地位を確立しています。

8月1日から施行されたステーブルコイン規制と合わせて、香港は規制の明確性、税制優遇、法的安定性を兼ね備えた世界有数の暗号資産拠点として発展を続けています。

投資判断は個人の責任で行い、最新の規制情報を必ず確認してください。


出典

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