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日本のIEO案件は本当に儲からない? 投資リターンの実態と失敗しない参加戦略【2025年最新版】
結論: 2024年以降の国内IEOでは「公募割れ」が珍しくなく、投資家保護・情報開示・供給管理(ロックアップ等)が改めて問われています。一方で、全案件が不調というわけではなく、取引所の実績・プロジェクトの実需・需給(抽選倍率と配分)・相場地合いを押さえれば、リターンを狙える余地は残っています。直近のFanpla(FPL)は申込倍率9.06倍、申込口座28,523、申込総額90.6億円と関心を集め、本日(11/11)正午に上場。取引初日の価格推移は変動が大きく、確定データの集計が出揃い次第の精緻な検証が必要です。3つの重要ポイント
- 日本のIEOは公募割れが常態化:2024年以降、公募価格を割る案件が散見。初値は伸びても早期に売り圧力で失速するケースがあり、上場日・上場直後の戦術が明暗を分ける。過去実績は下表参照。
- 海外主要IEOとの格差:海外大手は強い需給を作りやすい一方、国内は市場規模・参加者層の違いから平均ROIが伸びにくい傾向。設計(配分・ロックアップ・情報開示)で改善余地。
- 2025年は制度面の転換期:ELFで国内初のロックアップ導入が確定事項として残り、金融庁ワーキング・グループでも暗号資産制度の見直しが継続。銀行グループや証券系の参入・規制見直しの議論が続く。
1|日本のIEO投資リターンの現状(2021–2025)
要約: 国内IEOは2021年のPLTで大成功を収め注目が集まったものの、2023–2024年は公募割れや伸び悩みも増加。2025年11月のFPLは申し込み時点の数字(口座数・倍率・総額)で関心の高さを示しましたが、実際の初値・終値や数時間後の評価は速報が出揃ってからの確定が望まれます(本稿は上場初日の可用情報を反映)。【速報】Fanpla(FPL)のIEO販売と上場(2025/11/11)
- 申込口座数:28,523(販売口数10万口のうち、「1口確定」28,523口/残りは抽選)
- 申込総額:90.6億円、申込倍率:9.06倍
- スケジュール:10/21受付開始 → 11/4受付終了 → 11/5受渡 → 11/11上場(取引所・販売所)
国内IEO主要実績(抜粋)
| トークン | 実施 | 公募 | 初値 | 最高値 | 評価 | 参考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PLT(パレット) | 2021/07 | 4.05円 | 6.00円 | 94.80円 | 成功 | CoinDesk Japan / CoinPost |
| FCR(FC琉球) | 2022/04 | 2.20円 | 1.99円 | 1.99円 | 公募割れ | CoinPost |
| FNCT(フィナンシェ) | 2023/02 | 0.41円 | 2.07円 | 2.80円 | 成功 | Coincheck解説/ CoinPost |
| NIDT(ニッポンアイドル) | 2023/03 | 5.00円 | 1.83円 | 23.5円(後日) | 初値割れ→後日反発 | CoinPost |
| ELF(エルフ) | 2024/02 | 12.5円 | 約同値 | — | 伸び悩み | bitFlyer開示(ロックアップ導入) |
| BRIL(ブリリアンクリプト) | 2024/05 | 21.6円 | 76.6円 | 99.66円 | 成功 | CoinPost |
| JOC(Japan Open Chain) | 2024/12上場 | 参考30円(報道) | 31.03円 | — | 微増 | CoinPost/PR |
| FPL(Fanpla) | 2025/11 | 1.0円 | 上場初日:変動大 | — | 要検証 | Coincheck/ CoinPost/ CoinDesk Japan |
2|なぜ日本のIEOは儲からないのか? 5つの構造的要因
- ① 規制・審査の厳格さ:金融庁認可の交換業者のみが実施可能で、JVCEA+金融庁の二重の審査。安全性は高まる一方で、高成長だがリスキーな案件の参入ハードルも上がりやすい。
- ② 供給管理(ロックアップ)の設計課題:ELFで国内初のロックアップ契約が導入され、以降の案件にも波及の兆し。ただし解除スケジュールや総量管理の設計が甘いと、上場直後の売り圧になりうる。
- ③ 市場規模と流動性の制約:国内は参加者層・資金量が限定的で、初値形成後の厚みが不足しやすい。大口の寄せで価格が振れやすく、板・出来高を見た戦術が必須。
- ④ 実需・収益モデルの弱さ:トークンのユースケースが限定、サービスのトラクションと価格の連動が弱い案件は上場後に評価が伸びにくい。
- ⑤ 投機化と短期資金比率の高さ:抽選倍率が高くても短期利確に偏ると需給が崩れやすい。抽選設計・配分設計・コミュニティの質で結果が左右される。
3|取引所別 IEO 実績の要点
Coincheck:PLT・FNCT・BRILに続く第4弾がFPL。PLT(最高約23倍)とBRIL(約4.6倍)のヒットで実績豊富だが、案件により初値割れ・伸び悩みも発生。 bitFlyer:ELFで国内初ロックアップを採用。安全性重視の姿勢を示したが、短期の価格面では伸び悩み。 GMOコイン:FCRは公募割れ、一方でNAC(NOT A HOTEL COIN)では20億円の満額調達と大型事例を実現。今後の上場後パフォーマンス検証が課題。4|失敗しないIEO参加戦略(実務ガイド)
A. プロジェクト選定:5つの必修ポイント
- トークン配分とロックアップ:チーム+初期投資家合計は30%以下目安、1年以上の拘束+段階解除。解除スケジュールと解禁時期は必ず確認。
- ホワイトペーパーの実需:ユースケース/KPI/ロードマップ(実装時期・指標・テスト運用)を明記。抽象論だけは警戒。
- 発行体の信用:資本関係・開示姿勢・既存事業の実績。上場企業グループや大型提携があると加点。
- 市場タイミング:BTCトレンド・出来高・センチメント。「強気相場のIEO成功率は相対的に高い」のは過去事例が示唆。
- 抽選倍率と需給:倍率の高さは需給の締まりに寄与するが、参加者の保有意向次第で初値後の失速リスクも。
B. 資金管理:配分とルール
推奨目安:IEO全体=余剰資金の10〜20%、1案件=IEO枠の30%以内。事前に利確・損切りラインを定義し、初値<公募−20%で撤退も検討、初値≥公募×2で一部利確(30〜50%)などの事前ルールを徹底。C. 上場日の立ち回り:初値前後の硬直と急変
- 板寄せ直後のボラ:初値形成から1〜2時間は乱高下が常。成行突入は避け、価格帯と出来高を見て段階指値で。
- 解禁イベント:ロック解除・ステーキング報酬開始などマイルストーン前後は需給変化に注意。
5|2025年以降の制度動向と注目領域
制度面:金融庁の暗号資産制度ワーキング・グループでは、開示・登録・取扱いルール等の見直しが継続。銀行グループの参入拡大や規制緩和の示唆も報じられ、投資家保護と市場活性の両立が焦点。 大型IEOの芽:RWA(不動産・アート等)、GameFi、DePINなど実需接続型の案件が台頭。NOT A HOTEL COIN(NAC)は20億円満額調達で注目(上場後の実需連動が検証ポイント)。日本の主要仮想通貨取引所
BitTrade(ビットトレード)
特徴
- 豊富な暗号資産銘柄を取り扱い(29銘柄)
- 高度なセキュリティシステム
- 初心者から上級者まで対応のUI/UX
主要手数料
- 売買手数料:販売所スプレッド、取引所0.05~0.2%
- 入金手数料:銀行振込無料
- 出金手数料:330円
- 送金手数料:銘柄により異なる
最小購入額:販売所500円、取引所0.001BTC 積立サービス:対応 スマホアプリ:高機能アプリあり セキュリティ:コールドウォレット、2段階認証 向いているユーザー:多様な銘柄への分散投資を検討している方
SBI VCトレード
特徴
- SBIグループの信頼性と実績
- 業界最低水準の手数料体系
- 充実したレンディングサービス
主要手数料
- 売買手数料:無料
- 入出金手数料:無料
- 送金手数料:無料(業界最高水準)
取扱銘柄:23銘柄 最小購入額:500円 積立サービス:毎月500円から レンディング:年率最大8% セキュリティ:金融庁認可業者の高度なセキュリティ 向いているユーザー:手数料を最小限に抑えたい初心者から中級者
Coincheck(コインチェック)
特徴
- 国内最大級の暗号資産取引所
- 初心者にも分かりやすいシンプルな操作性
- NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」運営
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所無料
- 入金手数料:銀行振込無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料:407円
- 送金手数料(BTC):0.0005BTC
取扱銘柄:29銘柄 最小購入額:500円 積立サービス:月1万円から(14銘柄対応) 特別サービス:Coincheck NFT、IEO実施経験 向いているユーザー:暗号資産初心者、NFTに興味がある方
bitbank(ビットバンク)
特徴
- 全暗号資産取引量国内No.1の実績
- 高度な取引ツールとチャート機能
- Maker手数料マイナス(報酬システム)
主要手数料
- 売買手数料:Maker -0.02%、Taker 0.12%
- 入金手数料:無料
- 出金手数料:550円/770円(3万円以上)
- 送金手数料(BTC):0.0006BTC
取扱銘柄:38銘柄(国内最多クラス) 最小購入額:0.0001BTC 積立サービス:なし(現在) セキュリティ:コールドウォレット、マルチシグ対応 特殊機能:リアルタイム入金、高度な注文機能 向いているユーザー:取引量の多いアクティブトレーダー、上級者
OKJ(オーケージェー)
特徴
- 世界大手OK Groupの日本法人による運営
- 業界トップクラスの狭いスプレッド
- 高利回りFlash Dealsやステーキングサービス
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所Maker -0.01%/Taker 0.02%~(キャンペーン時)
- 入金手数料:無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料:400円
- 送金手数料:銘柄により異なる(IOSTは格安)
取扱銘柄:47銘柄 最小購入額:500円 積立サービス:対応 スマホアプリ:高機能アプリあり セキュリティ:コールドウォレット、2段階認証 独自サービス:Flash Deals(年率最大100%超の実績)、マルチチェーン対応 向いているユーザー:スプレッドを重視する方、多様な銘柄に分散投資したい方、レンディングに興味がある方
bitFlyer(ビットフライヤー)
特徴
- ビットコイン取引量9年連続国内No.1
- 創業以来ハッキング被害ゼロの高度なセキュリティ
- 1円から取引可能な初心者に優しい設計
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所0.01~0.15%(取引量により変動)
- 入金手数料:住信SBIネット銀行無料、その他銀行330円
- 出金手数料:三井住友銀行220円/440円、その他550円/770円
- 送金手数料(BTC):0.0004BTC(XRP、MONA、XLMは無料)
取扱銘柄:38銘柄 最小購入額:1円 積立サービス:対応 レバレッジ取引:bitFlyer Lightningで最大2倍(BTC、ETH対応) セキュリティ:マルチシグ、コールドウォレット、2段階認証 特別サービス:bitFlyer クレカ(利用額の0.5~1.0%がBTCで還元)、ビットコインをもらう、IEO実績 向いているユーザー:少額から始めたい初心者、取引量の多いアクティブトレーダー、レバレッジ取引に興味がある方
FAQ
Q1. 「公募割れ」を避ける最重要チェックは?
A. トークン配分・ロックアップ・実需・市場地合い・抽選配分設計の5要素。特にロックアップと解禁スケジュールは価格形成に直結(ELFのケースで制度設計の前例)。Q2. どの取引所が有利?
A. 実績面ではCoincheck(PLT・FNCT・BRILのヒット)だが、案件次第で結果は変動。bitFlyerは安全設計志向、GMOコインは大型調達の前例(NAC)。各社の手数料・抽選方式・配分情報の開示を比較。Q3. 海外IEOほど伸びないのはなぜ?
A. 参加層・資金量・配分慣行・上場戦略(同時多市場上場など)の違い。国内は慎重な制度と閉鎖的需給が初値後の持続性を損ねやすい。改善には情報開示・ロックアップの標準化と、プロジェクトの明確な実需接続が鍵。まとめ|国内IEOで勝つための3箇条
- 案件選定の徹底:ホワイトペーパー、配分、ロックアップ、実需を精査(定量KPI・ロードマップ重視)。
- 資金管理の厳守:IEO枠=余剰資金の10〜20%、1案件上限=IEO枠の30%以内。事前ルールで利確・損切り。
- 需給と地合いの見極め:抽選倍率・配分、BTCトレンド、出来高、解禁イベント前後の需給を読む。
参考資料・出典
- CoinPost「国内IEO実績一覧・事例」ほか特集・ニュース(PLT/FCR/FNCT/NIDT/BRIL/JOC・FPL関連)
- CoinDesk Japan「FPL IEO開始・国内IEO動向」ほか
- Coincheck 公式開示(FPL販売結果・FNCT解説)
- bitFlyer 開示(ELF:ロックアップ契約合意・実施)
- 金融庁(FSA)ニュースレター/WG開催情報(暗号資産制度の検討)
- Reuters / Nikkei報道(銀行グループの参入・制度見直し検討)