
米国投資家は逃げているのか?仮想通貨市場で進む「静かな買い増し」の正体
目次
結論
2026年2月、ビットコインが一時6万ドル近辺まで下落する局面で、「米国の機関投資家が市場から逃げている」との見方が広がりました。
現物ビットコインETFでは資金流出が続き、1月下旬には大規模な流出が相次いだと報じられています。
表面的なデータだけを見れば、撤退の動きにも映ります。
しかし、オンチェーンデータが示す実態は、それとは異なる様相を見せています。
価格下落と弱気な見方が広がる中で、長期保有を前提とした「蓄積アドレス」への流入が増加しています。これは短期売買ではなく、継続的な買い増しを行う傾向を持つアドレス群を指します。
ビットコインでは2025年後半から段階的な増加傾向が続き、直近では過去数年でも目立つ流入が観測されました。イーサリアムでも同様の傾向が確認されています。
恐怖感が強まる局面で資金が流入していることは、偶然とは言い難い状況です。
つまり、市場が弱気に傾く局面でも、長期視点の資金は着実に積み上がっている可能性があります。
今後の市場動向に備えるうえでも、安全性や使いやすさを重視した取引環境を整えておくことが重要です。
3つの重要ポイント
① 撤退ではなく「資金の質の変化」が起きている
② 米国の制度資金が市場の主導権を強めつつある
③ 恐怖相場の中で供給は長期保有層へ移転している
数字の裏にある二極化
ETFからの資金流出は事実ですが、その内訳を見ると状況は単純ではありません。
流出の多くは短期トレーダーやレバレッジを伴う投機資金によるものとみられています。
一方で、ブラックロックのIBITやフィデリティのETFには資金流入が続いています。
有名金融サイトの情報によると、2月10日には米国のビットコインETFが約1か月ぶりに2日連続の純流入を記録し、合計6億1,600万ドルが流入しました。
また、アブダビの政府系ファンドは2025年第4四半期にIBITの保有を積み増していたと報じられており、長期資金の姿勢は必ずしも弱気ではありません。
機関投資家の動きは一枚岩ではありません。短期志向の資金が退く一方で、長期目線の資金は押し目での積み増しを続けています。
JPモルガンは2月のレポートで、機関投資家の資金流入が今後の市場回復を支える可能性を指摘しました。
採掘コストの低下に伴うマイナーの降伏が進み、弱い売り圧力が整理されたことで、構造的な買いが機能しやすい環境が整いつつあるとの見方を示しています。
ウォール街とオフショアの温度差
市場構造にも変化が見られます。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物は、現物価格に対して相対的に高いプレミアム水準が観測されており、米国機関投資家の需要の強さを示唆しています。
一方、オフショア取引所では未決済建玉の縮小が進み、レバレッジポジションの解消が目立っています。
価格下落に伴う強制清算や損切りにより、短期の投機マネーが市場から退出した可能性があります。
この結果、規制下にある米国内資金の影響力が相対的に高まりつつあります。
これは暗号資産市場が、無秩序な投機主導の市場から制度金融に近い構造へと移行しつつある変化とも解釈できます。
蓄積が進む時間帯
過去のサイクルを振り返ると、ビットコインの大きな上昇局面の前には、方向感を失った停滞期が存在してきました。
価格が動かず、悲観的な見通しが広がり、短期投資家が疲弊する中で、供給は徐々に長期保有層へ移転していきます。
この供給移転が次の上昇トレンドの基盤となります。
現在も同様の動きが確認されています。
Fear & Greed指数が恐怖圏に入る中、蓄積アドレスへの流入は続いています。
Coinbase InstitutionalとGlassnodeの調査では、機関投資家の約7割がビットコインを割安と判断していると報じられています。
価格下落局面でも、長期的な確信に基づく押し目買いを継続する姿勢がうかがえます。
セイラーの戦略は変わらない
ストラテジー社は2月17日、さらに2,486BTCを追加購入しました。
CoinDeskによれば、総保有数は約71万7,000BTCに達し、平均取得コストは約7万6,000ドルとされています。
今回の購入額は約1億6,800万ドルにのぼります。
会長マイケル・セイラーは、価格変動に左右されず定期的に購入を続ける姿勢を維持しています。
短期的な価格変動ではなく、数年単位の時間軸で価値を捉える戦略です。
長期投資家にとって、現在の価格は通過点の一つに過ぎません。
ETF流出が意味するもの
ETFからの資金流出は、市場の成熟過程の一側面と見ることもできます。
これまでビットコイン価格は、オフショア市場の高レバレッジ取引に大きく影響されてきました。
しかし現物ETFの定着により、実需に基づく資金が価格の下支えとして機能し始めています。
投機的資金が整理されることで、市場の底値は固まりやすくなります。
短期的な流動性は低下する可能性がありますが、急激な変動リスクは抑えられる可能性があります。
一方で、規制環境の影響力が高まることで、米国の政策や金融動向が価格に与える影響が強まる可能性も指摘されています。
分散型資産としてのグローバルな価格決定構造が変化するリスクは残っています。
底固めの兆候
オンチェーン指標を見る限り、構造的な蓄積は続いています。流入増加が直ちに底値を保証するわけではありませんが、売り圧力が吸収され続ければ、下落エネルギーは徐々に弱まっていきます。
価格調整とセンチメント悪化の局面こそ、長期資金はポジションを構築する傾向があります。短期参加者は価格を動かす存在ですが、長期保有者はサイクルそのものを形作る存在です。
恐怖の中で仕込み、歓喜の中で手放す。人は本能的に逆の行動を取りやすいものです。しかしデータが示しているのは、長期資金はその逆を実行しているという現実です。
群衆は価格に反応します。
構造的資金は時間に投資します。
現在の蓄積データは、後者の動きが強まっていることを示しています。恐怖が市場を支配する局面こそ、資金の質が分かれる瞬間です。長期視点を持つ投資家は価格ではなく構造を見ています。そしてその構造は、静かに、しかし着実に変化しています。
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Q&A
Q1. ETFから資金が流出しているのに、市場は強気と言えるのでしょうか?
A. 流出の多くは短期的な投機資金とみられています。一方で長期資金は押し目での積み増しを続けており、市場全体としては資金の性質が変化していると考えられます。
Q2. なぜ価格が下がっているのに買い増しが進むのですか?
A. 長期投資家は短期的な価格変動よりも、供給構造や市場成熟度などの要因を重視します。価格下落は、長期視点では取得コストを下げる機会と捉えられることがあります。
Q3. 米国資金の影響力が高まると、市場はどう変わるのでしょうか?
A. 規制下の資金が主導することで価格の安定性は高まる可能性があります。一方で、米国の政策や金融環境が価格に与える影響が強まる可能性も指摘されています。
まとめ
ビットコイン価格の下落とETF資金流出だけを見れば、市場から資金が逃げているように映ります。
しかし、オンチェーンデータや機関投資家の動向を重ね合わせると、実態はより複雑です。
短期の投機資金が市場から退く一方で、長期保有を前提とした資金は静かに蓄積を続けています。
オフショア市場のレバレッジ解消が進む中、規制下にある米国資金の影響力が相対的に高まり、市場構造そのものが変化しつつある兆候も見られます。
過去のサイクルにおいても、停滞と不安が広がる局面で供給は長期保有層へ移転し、その後のトレンド形成の土台となってきました。
今回も同様に、恐怖が支配する局面で資金の質の違いが際立っています。
価格は日々変動します。しかし市場の構造変化は、より長い時間軸で進行します。短期的な動きに惑わされるのではなく、資金の流れと供給構造の変化を読み解くことが、現在の市場を理解するうえで重要と言えるでしょう。
参考資料(記事末尾用)
- CoinDesk
https://www.coindesk.com/ - Yahoo Finance
https://finance.yahoo.com/ - Glassnode(オンチェーン分析)
https://glassnode.com/ - SoSoValue(ETF資金フロー)
https://sosovalue.com/ - CME Group(先物市場データ)
https://www.cmegroup.com/