アメリカ政府は、暗号資産(仮想通貨)のマイニングに関して、エネルギー消費と炭素排出量を減らすための政策提言を起草する予定です。その中ではマイニングにおける利益と損失から、エネルギー消費量、騒音公害、カーボンフットプリント(CFP)までを詳細に検証し、またプルーフオブワーク(PoW)とプルーフオブステーク(PoS)との比較も行われるようです。
ホワイトハウスが目を光らせるエネルギー問題
この提言は8月までには準備される見通しで、バイデン大統領による大統領令に従った最初の調査になる可能性があり、ビットコイン(BTC)を含めた仮想通貨マイニングの監視を、連邦政府に促すものになるでしょう。バイデン政権は、仮想通貨マイニングにおけるエネルギー消費量と炭素排出量を削減するための政策提言を準備中です。この詳細な調査により、未だ理解度の低いマイニング業界の実状が明らかになるでしょう。
アメリカ合衆国科学技術政策局の主任アシスタントディレクターであるコスタ・サマラス(Costa Samaras)氏は、6月2日にブルームバーグの取材に対して「この提言が我々の金融システムにとって意味あるものになるのなら、責任を持って開発し炭素排出量を最小限に抑えることが重要になるだろう。我々がデジタル資産について考える時には、必ず気候とエネルギーについても考えなければならない」と述べています。
さらにこの提言はバイデン政権に、仮想通貨業界とマイニングの仕組みや重要性について、一層の理解を促す役割を果たすでしょう。実際にアメリカ合衆国環境保護庁にはマイニングに関する情報が欠不足しており、炭素排出量を管理する上での力不足に議会からは批判の声が上がっています。
利益率が減少するBTCマイニング
提言の担当チームは、マイナーのコストと利益の関係、使用するエネルギー源についても調査を進めます。最近のあるレポートによれば、アメリカ国内の多くのマイナーが、エネルギー源を再生可能エネルギーにシフトしているそうです。
カリフォルニア大学バークレー校の助教授でニューヨーク州北部でのマイニング事情に関するレポートを執筆したマテオ・ベネトン(Matteo Benetton)氏は、まずアメリカ政府は仮想通貨業界の規模について言及すべきだと考えています。マイナーはマイニングファームを設置する場所として、電力が安く冷涼な気候の土地を選びます。それによりエネルギー消費量を減らせるからです。
コンパス・マイニング(Compass Mining)のレポートによると、マイナーの一部が保有するビットコインを売りに出し始めたそうです。さらに、マイニングの難易度が上がりビットコインの価格が下がったことで、マイナーの利益に深刻な影響が現れているようです。ビットインフォ(Bitinfo)のデータでは、ビットコインのマイニング利益は、2020年半ば以降で最低レベルにまで落ち込んでいるそうです。
参考
・More Trouble For Crypto Miners As White House Eyes Energy Curbs
【こんな記事も読まれています】
・低迷する仮想通貨市場でも揺るぎないビットコイン(BTC)のドミナンス
・イーサリアム2.0、実現までの具体的な道のりは?
・テラの崩壊から改めて学ぶ仮想通貨のこと