イーサリアムのマージ(The Merge)でどう変わる?DeFiやNFTへの影響は?

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。

イーサリアム(Ethereum)はローンチ前から予定していたマイニングを有するプルーフ・オブ・ワーク(PoW)から32ETHをステーキングするプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への完全移行を行う「The Merge(マージ)」という近年稀に見る大型アップデートを今夏に控えています。このマージは技術的に理解が難しく、イーサリアム投資家やイーサリアム上のNFTアート、DeFiトークンなどの多くの保有者のなかでもどのような影響があるのかを把握している方も多くはないのではないでしょうか。

本稿ではマージによってイーサリアムネットワークはどのように変わるのかを、エンジニアではなく投資家向けに分かりやすく解説します。

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マージ(The Merge)でイーサリアムはどう変わる?

イーサリアムのマージでどのように変わるかを結論から述べると、「基本的に今の体制とほとんど変わらない」と言えます。

この理由として現在のイーサリアムは、

イーサリアム1.0→DeFiやNFTマーケットプレイスが動いているProof of Workネットワーク

イーサリアム2.0→32ETHをステーキングするProof of Stakeネットワーク

という並行した2つのネットワークが動いており、マージではその名前の通り、こ2つのイーサリアムネットワークを統合して1つにする大型アップデートということです。イメージとしてはマージの際にイーサリアム1.0がプルーフ・オブ・ステークのイーサリアム2.0に取り込まれることにより、ETHのマイニング終了という結果になるということです。

イーサリアム1.0はeth1エンジンへ

このマージでは現行のDeFiやNFTマーケットプレイスが動いているイーサリアム1.0を「ブロックチェーンではなく、イーサリアムを構成する1つのエンジンとしてそのまま活用する『ETH1エンジン』とする」という大きな変更があります。

しかしこれは技術的な面のみであり、DeFiの利用やNFTアートなどはそのままであるため投資家やユーザーには一切の影響を与えません。その代わりに「個別のブロックチェーン」ではなくなるため、マイナーはマイニングをすることができなくなり、完全にイーサリアム独自のプルーフ・オブ・ステーク「キャスパーFFG(Casper FFG)」へと移行し、32ETHをステーキングするかリド(Lido)のようなステーキングプロジェクトを利用する必要があるということになります。

ビーコンチェーンがイーサリアムの監視塔へ

現行のイーサリアム1.0はスワップしたりNFTアートを発行したりするイーサリアムにとってエンジンのような働きをする代わりに、イーサリアム2.0のビーコンチェーン(Beacon Chain)はイーサリアムネットワーク全体を動かす脳のような監視塔の役割を果たします。

主にビーコンチェーンでは

  • バリデータの登録や管理
  • ブロックの提案(生成)とバリデータ間の合意形成(フォークチョイスルール)
  • ETHの新規発行

というような、今までイーサリアム1.0で行われていたことをバリデータとともに行うため、PoSへの完全移行となるのです。

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ETH価格への影響

今までのマイニングを必要としていたイーサリアムにとって、マージはマイナーへの大きな影響を与えることになります。今までイーサリアムがコントラクトを実行するにはマイナーがPCパーツのグラフィックカード(通称GPU)を購入し、その計算力をマイニングプールに持ち寄ってブロックを生成し、報酬を分け合っていました。

つまりここで新規発行されるETHは基本的に「売る」という選択肢にしかならなかったことになります。一方でイーサリアム2.0ではマイナーのようにネットワークに参加するには基本的に「32ETHを購入または保持」する必要があり、今までGPUやPCを購入するというキャッシュ・フローがETHに流れるということになります。

つまりマイナーが一方的に売っていたETHは供給のみであったのに対し、イーサリアム2.0では需要と供給で変動して価格を上げる可能性があるということになります。またイーサリアム1.0で発行していたETHの年間総数に対し、イーサリアム2.0では大幅に減少させられるため、マージによるマイニング終了後にはETHの供給量が大きく下がるという影響もあります。

イーサリアムにおける一大イベントのマージ(The Merge)はイーサリアム投資家にとっても重要なイベントとなるため、注目しておきましょう。

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