さくっと分かる!イーサリアムのマージ(The Merge)についてのQ&A

いよいよイーサリアムの超大型アップデートであるマージ(The Merge)の日程が迫ってきました。今回はイーサリアムファウンデーションに掲載されているマージに関するよくある勘違い一覧などを元にサクッとわかる10のQ&Aを紹介します。

マージ(The Merge)って何?

イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムをプルーフオブワーク(PoW)からプルーフオブステーク(PoS)に変更するアップグレードを指します。プルーフオブステーク(PoS)になることで電力消費量の観点でより環境にやさしくなり、今後のアップデート(シャーディングなど)を実現する準備ができます。

イーサリアムマージのイメージ
出典:Ethereum Foundation

結局マージはいつ起きるの?

マージのタイミングは日本時間の9月15日~16日前後になる予定です。なお、Googleを使って英語で The Mergeと検索するとカウントダウンが表示されるので、こちらも参考にしてみてください。元々英語のマージには合体(合併)するという意味があり、シロクマと黒いクマ(PoWチェーンとビーコンチェーン)が合体してパンダ(新しいイーサリアム)になるというミームからくるクマさんたちもかわいいですね。

イーサリアムマージカウントダウン

マージの後、DEXやNFTのマーケットプレイスやイーサリアムチェーンは使えなくなる?

マージの後もアプリケーションはこれまでと同じように動き続け、これまでのオンチェーン上の履歴も消えません。また、マージはダウンタイムなしで移行できるように設計されているのでイーサリアムチェーンが使えなくなることはありません。

イーサリアムが分裂してエアドロップが貰えるって本当?

巷ではマージの際にイーサリアムファウンデーションからエアドロップが貰えるという詐欺が流行っていますが、引っかからないように気を付けてください。怪しいウェブサイトではウォレットの接続も控えましょう。

マージの後、レイヤー2のソリューションの需要はなくなる?

マージはより多くのトランザクションを処理できるシャーディングに向けた一歩ですが、イーサリアムはL2を排除しようとしているわけではありません。イーサリアムファウンデーション自体も、L2のソリューションがスケーラビリティの問題を解決してくれるとの考えを述べています。例えばポリゴン(Polygon)は公式ブログで「イーサリアムの将来のアップデートもスケーラビリティを実現するには十分ではない。イーサリアムのパフォーマンス向上はPolygonにとってはメリットがありPolygonがやろうとしていることを促進してくれる」と述べています。

マージってガス代が安くなるんだっけ?

残念ですが、マージはガス代を安くするものではありません。マージはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)の使用を廃止し、コンセンサスのためのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行しますが、ガス代に影響を及ぼすネットワークの容量やスループットに直接影響を与えるパラメータに大きな変更はないため、ガス代は安くなりません。

マージってトランザクションが早くなるんだっけ?

トランザクションは多少早くなるものの、イーサリアムを使っているユーザーが体感できる程の変化はないと言われています。

プルーフ・オブ・ワークでは約13.3秒をターゲットに新しいブロックの生成が行なわれていました。ビーコンチェーンではスロットは12秒ごとになっているので、このペースでバリデータがブロックを公開することができます。ほとんどのスロットにブロックが存在しますが、必ずしもすべてのスロットに存在するわけではありません(バリデータがオフラインの場合など)。プルーフ・オブ・ステークに変わったら、プルーフ・オブ・ワークの時代よりもブロックの生成頻度が10%程度高くなりますが、ユーザー体験の中で気づけるほどの変化にはならないようです。

マージの後はイーサリアムのステーキング報酬が3倍になる!?

マージのあとステーキング報酬の年換算利回り(APR)は上がると予想されていますが、さすがに3倍にはならないと予想されます。報酬が増えるのは、トランザクション手数料がマイナーではなくバリデータに渡るようになるからで、ユーザーによる手数料の支払いが多ければ多いほど、バリデータはより多くの手数料を受け取ることになります。

イーサリアムファウンデーションのQ&Aでは次のように説明されています。最近のブロックチェーンの動きから、現在支払われている全てのガス代の約10%がチップのような形でマイナーに渡り、残りはバーンされています。少し古くなって信頼性が下がりますが、過去の予測をベース(ネットワーク使用量が史上最高だったときの計算)では、この割合はもっと高いと推定されています。10%という数字を最近の平均的なネットワーク活動だと推定すると、ステーキングのAPRはベースのAPR(2022年6月時点)より約50%高い、〜7%に上昇すると推定されます。

マージの時にユーザーがやらないといけないことはある?

ユーザーがやらないといけないことは特にありません。ETHを持っている人、NFTやERC20トークンなどイーサリアム上の資産を持っている人、ノードを運用せずステーキングに参加している人は何もしなくて大丈夫です。

もしも「ETH2にアップグレードするためにETHをここに送ってください」という案内を見かけたら詐欺を疑いましょう。

参考
Ethereum Foundation
Ethereum Merge FAQ and Common Misconceptions

====
#
この記事はstakefishからコンテンツ協力を得て提供しています。stakefishは暗号資産ユーザー向けのステーキングサービスを提供しています。Ethereumをはじめとした様々なノード運用の実績を元にサービスを提供しており、ユーザーは秘密鍵を渡すことなくステーキングができます。stakefishによるステーキングサービスの詳細を知りたい方は是非下記のリンクをご参照ください。

参照:https://stake.fish/ja/

おすすめの記事
ビットコイン・暗号資産相場動向の振り返り、店舗決済キャッシュレス化に関して:DMM Bitcoin代表(田口 仁)
仮想通貨ニュース
ビットコイン・暗号資産相場動向の振り返り、店舗決済キャッシュレス化に関して:DMM Bitcoin代表(田口 仁)
「仮想通貨・ブロックチェーンの普及拡大」=「ビットコインの普及拡大」とならないことがやっと浸透してきたように感じています。2018年7月までのビットコイン相場の振り返り、LINE(ライン)、ヤフー・ソフトバンクの店舗決済キャッシュレス化加速、ポイント・ギフト券の分散台帳技術を利用したトークンに関する可能性などに関して書きました。
【墨汁速報】米SEC 今年2度目の仮想通貨取引所クラーケン提訴「未登録の証券取引所」
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】米SEC 今年2度目の仮想通貨取引所クラーケン提訴「未登録の証券取引所」
米国証券取引委員会(SEC)は、米老舗仮想通貨取引所のクラーケン(Kraken)の親会社であるペイワード社とペイワード・ベンチャーズ)を提訴した。クラーケンの提訴は今年2月にイーサリアムなどのステーキングサービスを証券であるとしてされており、今年で2回目となる異例の事態である。