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ビットコイン9万ドル割れで投資家に懸念広がる理由と今後の見通し
この記事の結論
2025年11月18日前後、ビットコインは10月の約12万ドル超の高値から一転して一時9万ドルを割り込み、年初来の上昇分をほぼ吐き出す急落となりました。背景には、利下げ期待の後退によるリスクオフ、ビットコインETFからの資金流出、テクニカル面での売り加速が重なったことがありますが、現時点では「長期トレンドの終わり」ではなく、過去サイクルでも見られた大きめの調整局面とみる専門家も多い状況です。短期的にはボラティリティが非常に高いため、レバレッジを抑え、分散投資と資金管理を徹底したうえで、自分に合った取引所を選ぶことが何より重要になります。
3つの重要ポイント
- 2025年10月の史上最高値約12万ドルから、11月には一時8万7,000ドル台まで下落し、ドローダウンは30%超と2022年以来の大きさ。
- FRB利下げ期待の後退や、ブラックロックのビットコインETF「IBIT」からの過去最大の資金流出などが重なり、センチメント悪化とリスクオフが進行。
- 一方で9万ドル割れ前後では押し目買いも入り、節目水準を挟んだ攻防が続いており、長期投資家の一部は「調整局面」として中長期目線を維持している。
1. ビットコインは今なにが起きているのか:9万ドル割れの事実整理
要約: 10月の史上最高値からわずか1〜2カ月で30%超の急落となり、9万ドルを割り込む局面が出現。短期投資家の投げ売りやレバレッジ解消が一気に進んだ。
2025年10月、ビットコイン(BTC)は約12万ドルをつけ、暗号資産市場は再び強気ムードに包まれていました。しかし11月に入ると流れは一変し、11月18日前後には一時9万ドルを割り込み、8万7,000ドル台まで下落する場面も見られました。これは約7カ月ぶりの安値圏であり、10月高値からの下落率は30%超に達しています。
国内外のレポートによれば、9万ドル割れ前後ではレバレッジ取引のロスカットや短期保有者の投げ売りが増えた一方で、長期保有者や機関投資家の一部は押し目買いに動いており、節目水準を挟んだ売り買い攻防が続いているとされています。
詳細:価格推移とセンチメントの変化
- 10月初旬:プロクリプト政権への期待などから、ビットコインは約12万ドル台の史上最高値を更新
- その後数週間:米長期金利の上昇や株式市場の調整が進み、リスク資産全体が軟調に転換
- 11月18日前後:ビットコインは一時約8万9,000ドル台まで急落し、9万ドルを明確に割り込む場面も発生
- その後数日:8万7,000〜8万8,000ドル近辺でのレンジ推移を経て、再び9万ドル前後へと反発する動きも見られる
このように、短期間で大きく乱高下していることから、「怖くてチャートを見ていられない」という投資家心理が強まり、ニュースでも「懸念広がる」といった見出しが目立つ状況になっています。
2. 暴落の主な原因:マクロ環境・ETF・テクニカルの三重苦
要約: 金利高止まりによるリスクオフ、ビットコインETFからの資金流出、価格チャートの崩れが同時に発生し、下落が自己増幅した形。
ここでは、ビットコインが9万ドルを割り込むまでの主な要因を3つに整理します。
2-1. FRB利下げ期待の後退とリスクオフ
- 予想を上回る米経済指標の強さにより、「早期利下げ」期待が後退
- 金利の高止まり観測から、株式・暗号資産を含むリスク資産全体で調整が進行
- ビットコインは、10月以降の上昇が急だった分、利益確定売りやレバレッジ解消が集中しやすい状態だった
2-2. ビットコインETF(IBITなど)からの資金流出
- ブラックロックのiShares Bitcoin Trust(IBIT)から、1日で5億ドル超の過去最大の資金流出が発生
- ETFからの資金流出は、裏側で現物ビットコインの売りにつながる可能性があり、下落圧力を高める要因に
- 「ETFに資金が入り続ける限り上がり続ける」という単純な強気ストーリーが崩れ、市場の楽観が急速に冷え込んだ
2-3. テクニカル要因:重要ライン割れで売りが加速
- 9万3,000ドルや9万ドルといった節目を次々に割り込み、ストップ注文・ロスカットが連鎖
- RSIが20台まで低下し、「売られすぎ」シグナルが点灯する一方で、短期勢はポジション調整に追われる展開
- 一部アナリストは8万〜7万4,000ドルゾーンを次の重要サポートとして注視している
これら3つの要因が重なった結果、9万ドル割れという急落局面が生まれ、個人投資家の不安を一気に高める形となりました。
3. 下落局面で個人投資家が取るべき具体的アクション
要約: 「なぜ下がったか」を追うよりも、「自分のルールが機能しているか」を確認することが重要。レバレッジ抑制・分散投資・時間分散の3点を徹底する。
3-1. 今すぐやめるべき危険行動
- 損失を取り返そうとしてレバレッジを上げる
- 感情的になってナンピンを繰り返し、ポジションサイズが膨らむ
- SNSの煽り投稿だけを根拠に売買する
どれも、過去の暴落局面で多くの投資家が損失を拡大させてきた典型パターンです。
3-2. 守るべき3つの基本ルール
- レバレッジは控えめにする
初心者〜中級者は、レバレッジ取引を避けるか、1〜2倍までに抑えるのが無難です。 - 資金を一度に入れない(時間分散)
一括で買うのではなく、数週間〜数カ月に分けて少額ずつ積立することで、暴落直前に集中投資してしまうリスクを減らせます。 - ポートフォリオ全体でリスクをコントロールする
ビットコインだけに資産を集中させず、現金・債券・株などと組み合わせて、全体として許容できる最大損失を事前に決めておきましょう。
3-3. 実践ステップ:いま何をすればいいか
- 現在のポジションと含み損益をすべて洗い出す
- 「最大どこまで損失を許容できるか」を金額ベースで定義する
- その範囲を超えるポジションは、一度整理して身軽にする
- 新規の買い増しは、あらかじめ決めたルール(積立額・頻度・上限)に従って行う
感情ではなく、あらかじめ決めたルールに沿って淡々と行動することが、ボラティリティの高いビットコイン市場ではとくに重要です。
4. 取引所選びのポイントと日本の主要取引所比較
要約: 急落局面では、スプレッドや手数料だけでなく「約定力」と「システムの安定性」も重要。自分の投資スタイルに合う取引所を選ぶことが、長期的な成果を左右する。
4-1. まずは診断から始める
「どの取引所が自分に合っているか分からない」という方は、
[30秒診断:あなたに最適な仮想通貨取引所をチェック]
といった診断ツールからスタートするのがおすすめです。
- 投資スタイル(短期トレードか長期積立か)
- 重視するポイント(手数料・銘柄数・アプリの使いやすさ・少額対応など)
これらの回答から、自分に合った候補を2〜3社に絞り込めると、比較がかなり楽になります。
4-2. 取引所選びのチェックポイント
- 手数料・スプレッド
- 取扱銘柄数と主要銘柄の充実度
- スマホアプリの使いやすさ・安定性
- 積立・自動購入・貸暗号資産などのサービス有無
- セキュリティ対策(コールドウォレット・マルチシグ・二段階認証など)
- 国内での運営実績・金融庁登録状況
日本の主要仮想通貨取引所
BitTrade(ビットトレード)
特徴
- 豊富な暗号資産銘柄を取り扱い(46銘柄前後)
- 高度なセキュリティシステム
- 初心者から上級者まで対応のUI/UX
主要手数料
- 売買手数料:販売所スプレッド、取引所 無料
- 入金手数料:銀行振込無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料:330円
- 送金手数料:銘柄により異なる
最小購入額:販売所500円、取引所0.00001BTCかつ2円
積立サービス:対応 スマホアプリ:高機能アプリあり
セキュリティ:コールドウォレット、2段階認証
向いているユーザー:多様な銘柄への分散投資を検討している方
SBI VCトレード
特徴
- SBIグループの信頼性と実績
- 業界最低水準の手数料体系
- 充実したレンディング/ステーキング/積立
主要手数料
- 売買手数料:無料(現物)
- 入出金手数料:無料
- 送金手数料:無料(ネットワーク手数料相当は別途)
取扱銘柄:36銘柄 最小購入額:1円〜(取引所)/販売所は銘柄により異なる
積立サービス:毎月500円から レンディング:年率は募集時条件により変動
セキュリティ:金融庁認可業者の高度なセキュリティ
向いているユーザー:手数料を最小限に抑えたい初心者〜中級者
Coincheck(コインチェック)
特徴
- 国内最大級の暗号資産取引所
- 初心者にも分かりやすいシンプルな操作性
- NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」運営
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料(スプレッドあり)、取引所は銘柄ごとに設定(BTC/ETHは無料対象)
- 入金手数料:銀行振込無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料:407円
- 送金手数料(BTC):0.0005 BTC
取扱銘柄:35銘柄 最小購入額:500円
積立サービス:月1万円から(対応銘柄は拡充傾向)
特別サービス:Coincheck NFT、IEO実施経験
向いているユーザー:暗号資産初心者、NFTに興味がある方
bitbank(ビットバンク)
特徴
- 全暗号資産取引量 国内No.1の実績(媒体報道)
- 高度な取引ツールとチャート機能
- Maker手数料マイナス(報酬システム)
主要手数料
- 売買手数料:Maker -0.02%/Taker 0.12%
- 入金手数料:無料(クイック入金等は条件あり)
- 出金手数料:550円/770円(3万円以上)
- 送金手数料(BTC):0.0006 BTC
取扱銘柄:国内最多クラス(40銘柄以上) 最小購入額:0.0001 BTC
積立サービス:定期購入あり(最小100円〜、販売所)
セキュリティ:コールドウォレット、マルチシグ対応
特殊機能:リアルタイム入金、高度な注文機能
向いているユーザー:取引量の多いアクティブトレーダー、上級者
OKJ(オーケージェー)
特徴
- 世界大手OK Groupの日本法人による運営
- 業界トップクラスの狭いスプレッド
- 高利回りFlash Dealsやステーキングサービス
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所 Maker 0.07%/Taker 0.14%(基準) ※取引量で優遇あり
- 入金手数料:無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料(日本円):100万円未満 400円/100万〜1,000万円未満 770円/1,000万円以上 1,320円
- 送金手数料:銘柄により異なる(例:IOSTは低コスト)
取扱銘柄:50銘柄(2025年11月時点、MEME上場反映) 最小購入額:500円
積立サービス:対応 スマホアプリ:高機能アプリあり
セキュリティ:コールドウォレット、2段階認証
独自サービス:Flash Deals(高利回りの実績)、マルチチェーン対応
向いているユーザー:スプレッド重視、多様な銘柄に分散投資、レンディング/ステーキングに興味がある方
bitFlyer(ビットフライヤー)
特徴
- ビットコイン取引量9年連続 国内No.1
- 創業以来ハッキング被害ゼロの高度なセキュリティ
- 1円から取引可能な初心者に優しい設計
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料(スプレッドあり)、取引所0.01~0.15%(取引量により変動)
- 入金手数料:住信SBIネット銀行 無料、その他銀行 330円(クイック入金)
- 出金手数料:三井住友銀行 220円/440円、その他 550円/770円
- 送金手数料(BTC):0.0004 BTC(XRP・MONA・XLM等は無料)
取扱銘柄:39銘柄(現物) 最小購入額:1円
積立サービス:対応 レバレッジ取引:bitFlyer Lightningで最大2倍(BTC、ETH対応)
セキュリティ:マルチシグ、コールドウォレット、2段階認証
特別サービス:bitFlyer クレカ(利用額の0.5~1.0%をBTC還元)、ビットコインをもらう、IEO実績
向いているユーザー:少額から始めたい初心者、取引量の多いアクティブトレーダー、レバレッジ取引に興味がある方
5. よくある質問(FAQ)
Q1. ビットコインの9万ドル割れは、規制強化や制度変更が原因ですか?
A. いいえ、現時点では規制ショックというより、マクロ環境とポジション調整による下落が中心とみられます。
2025年11月時点での下落は、米国の強い経済指標を背景とした利下げ期待の後退や、ETFからの資金流出、レバレッジ整理などが主因と報じられています。特定の規制強化や法改正が直接の引き金になったわけではなく、リスク資産全体の調整の一環としてビットコインが大きく動いた形です。
Q2. 暴落局面では、どのコストを特に意識すべきですか?
A. 売買手数料だけでなく、スプレッドとロスカット時の滑り(スリッページ)も要注意です。
急落時は板が薄くなり、提示価格と約定価格の差が広がりやすくなります。販売所形式ではスプレッドが急拡大することもあるため、「普段のコスト」だけでなく、「相場が荒れたときの約定力やスプレッドの拡大具合」も、取引所選びの重要なポイントとなります。各社の約定力やシステム障害履歴などは、日々のレポートやお知らせ欄で確認するようにしましょう。
Q3. セキュリティ面で最低限チェックすべき点は?
A. 金融庁登録済み業者かどうか、コールドウォレット管理と二段階認証の有無は必ず確認しましょう。
日本国内で暗号資産交換業を行うには、金融庁・財務局への登録が必要です。登録事業者であってもリスクはゼロではありませんが、
- 顧客資産の分別管理
- コールドウォレットによるオフライン保管比率
- マルチシグやSOC監査などのセキュリティ態勢
といった情報は、各社の公式サイトやディスクロージャー資料で確認できます。自分の側では、必ず二段階認証(2FA)を設定し、パスワード管理も厳格に行いましょう。
Q4. 初心者は今のタイミングからビットコイン投資を始めても大丈夫?
A. 一括投資ではなく、少額の積立から始めるならリスクを抑えながら学びやすいタイミングともいえます。
価格が高値圏から調整している局面は、ボラティリティは高いものの、「安く買える可能性がある」タイミングでもあります。ただし、短期の値動きを当てるのはプロでも難しいため、初心者は
- 生活資金とは完全に切り離した余剰資金のみで
- 時間を分散した少額積立(ドルコスト平均法)を利用し
- レバレッジ取引には手を出さない
といったルールを守ることが大前提です。そのうえで、まずは自分に合った取引所を選ぶために、取引所診断ツールを活用するとよいでしょう。
6. まとめ:感情ではなくルールで動くために
ビットコインが9万ドルを割り込むといったニュースは、どうしても感情を揺さぶります。しかし、長期的な視点で見れば、暗号資産市場では過去にも同規模、あるいはそれ以上の調整が何度も発生してきました。
今回のポイントを整理すると、次の3点に集約できます。
- 9万ドル割れは、マクロ環境・ETF資金流出・テクニカル要因が重なった「典型的な調整局面」とも解釈できる
- 個人投資家にとって重要なのは、「なぜ下がったか」を追い続けることではなく、「自分のリスク管理ルールが機能しているか」をチェックすること
- そのうえで、自分の投資スタイルに合った取引所を選び、積立・分散投資・レバレッジ抑制といった基本を徹底することが、長期的な成果につながる
最後にもう一度だけ、行動のきっかけを用意しておきます。
感情に振り回されるのではなく、情報とルールに基づいて、一歩ずつ落ち着いて判断していきましょう。
参考資料・出典
- SBI証券「暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月20日〜11月26日)」
- Bloomberg Japan「恐怖が市場を覆う、ビットコイン9万ドル割れで負の連鎖懸念」
- Reuters「Bitcoin drops below $90000, then rebounds」およびIBIT資金流出に関する報道
- 楽天ウォレット「ビットコイン、ついに9万ドル割れ!セリングクライマックスは近い?」
- フィスコ「BTC下げ止まる、9万ドル割れの押し目買い」