イーサリアムの手数料モデルを変更し、ETH価格の高騰と手数料緩和が期待できるEIP-1559のコミュニティ会議が26日に行われた。今回のコミュニティ会議ではイーサリアムマイニングプールやマイニング行うハードウェア”ASIC”の開発企業のCTOなどが参加しお互いの意見を共有した。
イーサリアムマイナーを呼んだEIP-1559の実装コミュニティ会議が開始しました。EIP-649、EIP-1234以来の重要な議論の場になります。マイナーはF2poolやFlexpoolが参加https://t.co/CH0fdcko5x#イーサリアム #Ethereum #仮想通貨 #暗号資産 #ETH #EIP1559
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) February 26, 2021
EIP-1559コミュニティ会議の参加者
イーサリアムファンデーションのHudson氏によると、今回の会議はイーサリアムエコシステム参加者の意見交換の場であり、EIP-1559の実装の決定には影響しないとしている。今回の参加者は
・マイニングプール(マイナー代表)
・ASIC開発企業
・クライアントデベロッパー
・リサーチャー
となっている。
マイナー視点のEIP-1559への意見
中国初のイーサリアムマイニングプールであるF2PoolのCEO Wang Chun氏は、
「2016年のThe DAOフォークによりイーサリアムクラシックを支持したのは間違いであり、EIP-1559でさらに第二のイーサリアムクラシック誕生となるようなマイナーによるフォークは成功しない。イーサリアムに価値があるのはマイナーによるものではなく、使用するユーザーとDeFiのようなプロジェクトによるものだ。」
と述べている。2016年当時、F2PoolはThe DAOフォークに反対したもののそれらを”失敗”とし、マイナーはマイニング報酬と引き換えにイーサリアムネットワークの判断に従うべきだとしている。F2Poolは2017年にビットコインのバグ修正と実質的なブロックサイズ引き上げのSegWit導入にいち早く賛成した過去を持つ。
ASIC開発企業Innosiliconの意見
Innosiliconは2013年からイーサリアムやビットコインのマイニング用機器”ASIC”の開発を行っており、Innosilicon A10 Pro ETH Minerなどの発売をを行っているマイニング機器メーカーだ。同社CTOのRoger Mao氏は
「EIP-1559の導入による手数料収入の減少は、Innosiliconユーザーの反感を買うと考えられる。だがマイナーはイーサリアムのサポートを続けると考えている」
としている。Roger氏の見解ではイーサリアムASICのハッシュレートはネットワーク全体の10%ほどであり、影響は少ないと考えられるがEIP-1559の導入が決まったとしてもサポートを続けるとしている。
イーサリアムセキュリティに対する過剰な手数料
リサーチャーのGeorgios Konstantopoulos氏は現在の高いガス代について”イーサリアムネットワークのセキュリティを確保するために、手数料を払いすぎているか、少ないか”という視点が重要だとしている。
「イーサリアムネットワークはETH保有者と使用者の利益のために存在しており、現状の高い手数料からセキュリティに高いコストを裂きすぎているとし、EIP-1559がこれらの過剰な手数料を正常に戻す」
と述べている。これらのセキュリティに対する手数料の高さは、2017年のビザンチウムや2019年のコンスタンティノープルでマイニング報酬が合計で60%減少させたときの判断基準でも使用している。あくまでイーサリアム利用者とマイナーの利害が一致することが重要であり、マイナーへの手数料報酬が過剰な状態は、利用者の利益が損なわれているということだ。
2018年仮想通貨バブルの10倍の手数料
現在イーサリアムでは1日平均2万ETH、約33億円相当の手数料が支払われている。これらの手数料は2018年バブルと比較しても10倍以上となっており、Konstantopoulos氏は”PoWは常に過剰にセキュリティに手数料を支払いすぎている”と指摘している。
まとめ
現状マイナーは収益性の高さからネットワークハッシュレートが上昇してセキュリティが増加している一方、ハッシュレートに対して過剰な手数料であることは明白であり、イーサリアムユーザーの利益は目減りしていると言えるだろう。これらのことを考慮するとEIP-1559でマイナー収益は減少するが、将来的なデフレによる影響はマイナーの利益にもつながるため、これらのアンバランスな状態は修正されるべきであるといえるのではないだろうか