ビットコインキャッシュ(BCH)の普及活動をする理由とは:宍戸健氏に独占インタビュー

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「ビットコインキャッシュ(BCH)について」宍戸健氏に独自取材

去る2018年2月25日、東京渋谷のnem barで「Bitcoin cash night」が開催されました。
【主催:雨弓氏(@rain_vc)】

当会では、2013年からビットコインの普及に尽力され、現在はビットコインキャッシュ(BCH)のエバンジェリストとして勢力的に活動されている、宍戸健(@kenshishido)氏による講演「ビットコインキャッシュについて」が催されました。

本稿では、後日実施した取材を元に、講演の内容を再構成してお届けします。

宍戸健氏 プロフィール

宍戸健氏のイメージ写真
東京ビットコイン会議オーガナイザー。ビットコインが誕生した思想的な背景に興味を持ち、初期の頃から保有。2016年に会社員としての人生に区切りをつけ、世界各国のビットコイン・コミュニティを訪ねて回り、国内外でのビットコイン普及活動に努める。現在はイスラエルと東京の2箇所を拠点に、ビットコインキャッシュのエバンジェリストとして精力的に活動中。3/23-25に東京で開催されるビットコインキャッシュの国際会議「Satoshi’s vision conference」のプロジェクト運営委員及びスピーカー。

ビットコイン普及活動時代

サトシナカモトが考案したビットコインは、銀行や政府などによる信用の担保を不要とし、国境を越えて誰もが気軽に送金出来るpeer-to-peerの暗号通貨です。銀行インフラが整っていない国の人々でも、インターネットがあれば気軽に利用出来たという点で非常に革命的です。このコンセプトに惹かれ、週に1回開催の東京ビットコイン会議のオーガナイザーや、世界中を旅してビットコインの普及活動に関わって来ました。

一般投資家向けのセミナーなどでは、分散型のシステムであるビットコインの仕組みを、子供でも楽しみながら分かりやすく理解出来るように、説明方法を工夫して来ました。例えば参加者全員に紙のノートを渡し、仮想の取引を行わせ、それらの記録を付箋(タックメモ)に書き、全員のノートに貼り付けることで、共通台帳であるビットコインの概念を体感出来るような取り組みを行いました。

参加者全員に紙のノート配布、仮想取引を行い記録を付箋でメモ

そして野原に生えているクローバーを探して貰い、最初に見つけた参加者に、マイニング報酬である25BTCのバッチをプレゼントしました。プルーフオブワークの原理を、遊びながら学べるようにしたわけです。この説明方法はテックビューロCEO朝山氏の2015年の【Techcrunch】の記事を参考に、分かりやすく改良した取り組みです。モスクワ工科大学の教授にこの話したところ、大学でも同じ方法で学生に教えてみたいと言われました。

【Techcrunch】http://jp.techcrunch.com/2015/03/31/bitcoin-essay/

野原に生えているクローバーを探すイベント

ビットコインキャッシュについて

現在は、ビットコインキャッシュ(BCH)の良さを広める活動を進めています。私がビットコインキャッシュ(BCH)を好きな理由は、その「送金の手軽さ」にあります。海外を旅していた際に、各地で知り合った人々に少量のビットコイン(BTC)を配っていました。しかし近年、ビットコインの手数料はスケーラビリティの問題で非常に高騰してしまい、気軽に送ることは出来なくなっています。

反面、ビットコインキャッシュは低い手数料で送金が可能です。またビットコインで導入されたRBF(Replace by Fee)は、0承認トランザクション(マイナーによる承認が終わっていなくても取引が承認されたとみなす考え方)を事実上不可能にします。利便性を重視する事業者などにとって不便な仕組みだと考えます。ビットコインキャッシュはこのRBFを外していることも、評価しています。

またビットコインのソフトウェアはBitcoin coreただ1つですが、ビットコインキャッシュの場合は、BITCOIN ABC、BITCOIN UNLIMITED、BITCOIN XTの3つに分散化され、それぞれのチームが独立に開発を行っています。

加えて最近では、スマートフォンのNFCを利用し、Suicaのようにビットコインキャッシュを気軽に送金出来る”Hand cash”や、SMSでの送金を目指している”CoinText “などの周辺アプリケーションの開発も進んでいると聞いています。

スケーラビリティ論争について

現時点ではビットコインのトランザクションが減り、手数料も下がっています。高騰した手数料などが原因で、ビットコインでの送金を行う人が減ってしまったためです。一度離れてしまった人は、なかなか市場に戻って来ないでしょう。非常に残念なことです。

ビットコインの認知度は高まり、以前のような「ギークだけの」ものでは無くなりつつあります。サトシナカモトが言っていたように、ビットコインは世界中の人々が気軽に送金出来るようになるべきです。

スケーラビリティ問題についてはとても複雑で、3年に渡りビットコインコミュニティで議論されて来ました。サトシはビットコインのブロックサイズは上げた方が良いと言っていましたし、私も賛成の立場です。

コミュニティの中でブロックサイズを上げるべきという議論が始まると、フォーラムに書き込んだ内容が削除されたり、シャドーコメント(掲示板に書き込んだコメントが、自身からは見えるが他者からは見えないという現象)になる、という検閲が始まりました。また一部の事業者がブロックサイズの拡張に言及すると、その事業者へのDDoSアタックが起こるなど、次々と不可解な現象が起こり、コミュニティがおかしくなって行きました。

こういった背景もあり、私はビットコインキャッシュを支持しています。
尚、ビットコインで開発が進んでいるレイヤー2やオフチェーンについては、否定をしている訳ではありません。オフチェーンとオンチェーンでそれぞれ開発が進み、ある時点でオフチェーンが評価される事もあるかもしれません。いずれ市場が決める事であって、自然な環境で競争が進むものと思います。

ビッグブロックは大規模事業者の中央集権化を招くという批判について

ブロックを大きくするというアプローチは回線の大容量化が前提にあるため、太い回線を用意出来る大規模事業者、例えばマイナーなどでないと、大容量のブロックを伝播できず、僻地などでは送金に支障を来すといった批判があります。

この点については、将来の心配事ですし、今考えても意味はそれほどない類の話だと考えます。私たちが普段使っているスマートフォンも、256MB等の大きな容量を気軽に持ち運ぶことが出来ます。以前では考えられなかった事です。

同じようにインターネットの回線容量の問題も、技術開発の進展に伴い、解決する可能性はあります。まだ来ていない将来の心配をするよりも、当座はユーザーを増やす事が先決であり、重要だと考えています。

一部のマイニングプールによる寡占化の問題について

中国を中心としたマイナー、特にBitmainにマイニングリソースが集約しているという批判があります。この問題については、ビットコインのブロックサイズが1MBでキャップが付けられていた事が要因の1つだと考えています。

どういう事かというと、ブロックサイズ1MBのままではASICのマーケットがスケールせず、Intelを初めとした大手の競合チップメーカーがマーケットに魅力を感じず、参入出来ないという構造的問題がありました。結果として十分な競争が起こらずBitmainの独占体制が続き、ASIC市場の8割を抑えるにまで成長しています。この収益がマイニングプールの維持にも貢献していることは想像に難くありません。

ビットコインキャッシュが誕生した事でブロックサイズが大きくなり、Samsungなどの大手メーカーがASIC市場に参入するようになりました。これによりASICの競争が起こり、高品質で安価がASICが市場に供給され、小規模なマイナーでもマイニング事業に参入出来る可能性が出て来ました。

太陽光や地熱などの自然エネルギーの利用や電気代が比較的安価な地域などで、小規模な形態でもマイニング事業で採算が取れる可能性が開けたのです。マイニングの分散化が期待出来ます。

ビットコインキャッシュ普及に向けて

1からやり直しになってしまいましたが、ビットコインキャッシュ(BCH)による支払いを受け入れてくれる店舗を、草の根的に少しずつ増やして、リストを作成して公開しています。

例えば、銀座にある寿司屋「銀座沼津漁港」さん。

銀座沼津港
銀座沼津港での決済画面

各スタッフへのビットコイン投げ銭システムを導入したり、ビットコインキャッシュでの支払いを受け付けるなど、暗号通貨の使用に積極的で、非常に興味深い試みを進められていました。(編集部注:記事掲載時点では、ビットコインとビットコインキャッシュでの支払いを一時停止しています)

このようなビットコインキャッシュ(BCH)が使える店舗をリスト化し、webに公開しているので、是非活用して欲しいと思います。使用出来る店舗が増えると、ペイメントシステムを提供する事業者側も無視できなくなり、ビットコインキャッシュ(BCH)を導入する可能性も出てきますから、実際に使用出来る場所を増やすことはとても大事なのです。

ビットコインキャッシュ受け入れ店舗リスト

SATOSHI’s VISION CONFERENCEの開催について

今年の3月23日(金)~25日(日)に、ビットコインキャッシュ(BCH)の国際会議であるSATOSHI’s VISION CONFERENCEが東京で開催されます。約450人規模の会議で、開発チームも含め世界中の関係者が集まります。

Roger ver氏やJihan wu氏を始め、著名な開発者も複数参加する予定です。BITCOIN ABC、BITCOIN UNLIMITED、BITCOIN XTの3つのリードデベロッパーが一同に介します。ビットコインキャッシュ(BCH)に興味がある方には、是非参加して、一緒に盛り上げて欲しいと思います。

Satoshi's vision conference出典:Satoshi’s vision conference

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