ロンドンに本社を構える調査会社テクナビオ(Technavio)は4月25日、2026年までのメタバースに関する市場予測レポートを発表した。同社は、このレポートの中でメタバースの市場価値が6,779億8,000万ドル(約86兆8,000億円)で成長すると予測している。
成長の38%は北米
今回のレポートでテクナビオは、メタバース市場をデバイス(VR・ARデバイス、コンピューティングデバイス)ごと、および地域(北米、欧州、アジア太平洋、南米、中東・アフリカ)ごとに分析を行っている。
同社の地域ごとの分析予測では、市場成長の38%は北米に起因するという。北米におけるメタバース市場の成長を促進する要因として、消費者の間で技術的に高度なアプリケーションの採用が進んでいることを挙げた。一方で、北米地域の市場成長は、欧州やアジア太平洋の市場成長よりも緩やかなものになるという見解を示している。
また同社は、デバイスごとの分析において、VR・ARデバイスによるメタバース市場のシェア拡大が顕著となると予測した。2021年の市場シェアは、VR・ARデバイスが最も高いシェアを占めている。これには、メタバースプラットフォーム上で対話するために使用されるさまざまなヘッドセット、スマートグラス、レンズが含まれている。
同社は、2026年までの予測期間におけるVR・ARデバイスの成長は緩やかなペースになると予想している。さらに、新製品の発売やメタバースなどの異なるアプリケーション分野におけるVR・ARの採用拡大などの要因が、同分野の成長を促進するとの予測を明らかにしている。
ウェアラブル技術も世界のメタバース市場におけるARの有用性を高めると予測
テクナビオは、ウェアラブル技術プラットフォームも、世界のメタバース市場におけるARの有用性を高めるだろうと予測した。メタバース上のARプログラムによって、ユーザーはオンライン仮想ショッピングなど新しい体験をすることができる。バーチャルフィッティングルームでは、適切なサイズを選択し返品を減らすことを手助けする。新車の色選びやアパートの新しい家具選びでも、ユーザーは同様のメリットを得ることが可能だ。同社は、このような事例から、教育と医療、小売、トレーニングなど、さまざまな分野におけるARおよびVR技術の適用領域の拡大が世界のメタバース市場の成長を後押しすることになるだろうと考えを示している。
一方で今後メタバース市場が成長するなかの懸念事項として、プライバシーとセキュリティーを挙げた。メタバースにより、ユーザーの個人データにアクセスすることができ、ユーザーのソーシャルネットワーキングアカウントから多くの情報を収集することができるためだ。
ハッカーがユーザーのデバイスにアクセスした場合にも、ユーザーのプライバシーが脅かされる可能性がある。またスマートグラスやVRヘッドセットなど、メタバースで使用されるスマートギアにもプライバシーに関わる懸念がある。これらのメガネは、ユーザーの環境を自動的に選別・処理するため、ユーザーや周囲の人のプライバシーを侵害するためだ。同社は、このような製品の開発が、今後のメタバース市場の成長を阻害する可能性があると指摘している。
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