現在NFTの取引総額は、2022年1月の最高記録から97%も下落しています。ブロックチェーン・データ分析ツールのデューン・アナリティクス(Dune Analytics)によると、その総額は170億ドル(約2兆4,600億円)から4億6,600万ドル(約674億3,000万円)へと大幅に縮小したそうです。
投資対象から外れつつあるNFT市場
NFT市場の縮小は暗号資産(仮想通貨)市場全体の動きと連動しており、これは金融政策の引き締めが強まることにより、デジタル資産に対する投資家の信頼が失われているためです。その結果投資家は投機的資産への投資を控えるようになり、それが仮想通貨市場全体の下落傾向につながっています。2021年11月以降、仮想通貨業界の時価総額は2兆ドル(約289兆円)も減少しました。
フットプリント・アナリティクス(Footprint Analytics)のデータでは、2022年第一四半期に191億ドル(約2兆7,600億円)だったNFTの取引総額は、第二四半期には112億6,000万ドル(約1兆6,300億円)へと縮小しています。
世界最大のNFTマーケットプレイスであるオープンシー(OpenSea)も、日々深刻な取引量の減少に悩まされています。8月26日には、2021年7月以来最低となる1,005万ドル(約14億5,400万円)にまで取引総額が減少しました。6月のある調査によると、第二四半期にNFTを購入した人の半数以上が、単なる利益目的だったということです。この時期にNFT市場が縮小したことは、驚くに値しないことのようです。
データから読み取るビットコイン安値の原因
ビットコイン(BTC)は現状の価格帯から抜け出すことができません。現在の価格は1万9,000ドル前後の横ばい状態で、何とか前週と同程度を維持しています。
9月15日のイーサリアム(ETH)の大型アップグレード「マージ(Merge)」に先立つ数週間、ビットコインのチェーンが急激に活発化したことが報告されています。この動きはほかのネットワークにも波及しました。その後マージが完了すると、各ネットワークの活動は沈静化しましたが、これは本来のレベルに戻っただけのことと考えられます。
直近に行われたビットコインのマイニング難易度調整では、難易度が2.1%下げられました。結果的に1時間あたりのブロック生成数は5.94に減少し、その直後にハッシュレートは過去最高を記録しました。これは苦境にあえぐマイナーにとっては朗報であり、この週の1ブロックあたりの平均トランザクション数も1.55%ほど減少しました。マイニングのハッシュレートはマージ以前にまで上昇し、直前までの傾向に反発する兆候を見せています。マイナーにとっては、仮想通貨の将来にわずかな希望が見えている状況でしょう。
それでも縮小を続ける仮想通貨市場
回復傾向が見られない仮想通貨市場に対して、ビットコインのマイナーのいらだちは募っています。1日あたりのマイナーの収益は、ほぼ過去最低レベルの1,700万ドル(約24億6,000万円)程度にまで下がっており、ここ1週間だけでも4.04%減少しました。
ビットコイン価格も同じような下落傾向を見せており、直前の取引サイクルだった20,000ドルを回復できませんでした。強気市場のサポートレベルに突入したようです。
参考
・NFT Trading Volume Tumbles 97%; Bitcoin Sell Off Ongoing
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