ロシアによるウクライナ侵攻が今後どのように展開するか見極める際、暗号資産(仮想通貨)の採用度は決定的な影響をもたらすかもしれません。市場調査会社チェイナリシス(Chainalysis)による2021年グローバル仮想通貨導入指数(GCAI)によると、ウクライナはベトナムとインド、パキスタンに次いでその指数が世界第4位と評価されています。
ブロックチェーン技術のソフトウエア開発者が十分育っている
ウクライナでは、ブロックチェーン技術分野に進出できるソフトウエア開発者が十分育っています。オランダのIT企業Daxxは、ウクライナを情報技術(IT)アウトソーシングの最も望ましい国の1つと評価しています。ニューヨークタイムズ紙の報道によると、ウクライナでは、仮想通貨の取引額が銀行間の法定通貨(UAH/フリヴニャ)のそれを上回っています。
同紙によると、ウクライナでは毎日、1億5000万ドル(約170億円)余りの仮想通貨が取引されており、毎年約80億ドル(約9400億円)相当の仮想通貨が出入りしています。ウクライナ議会は2月中旬、仮想通貨を合法化する法律を制定し、デジタル資産の流れを効果的に監督するための規制の枠組みを築きました。
一方ロシアは、犯罪行為を制限し、公式の監視下の下で仮想通貨に税金を課す新たな法案を導入するか、仮想通貨を通貨として規制するために既存の法律を変更するかについて議論を進めています。ロシアは米国やEU 諸国の制裁に当たっては、ビットコイン利用で苦しい立場に追い込まれる可能性があります。
ビットコイン価格はロシア侵攻日に8%、1週間に19%下落
ウクライナでは、現在の状況を反映して現地通貨のフリヴニャが下落し、一部のウクライナ人はステーブルコインのテザーやビットコインなどの仮想通貨に目を向けているようです。
ロシアの最初のミサイルが首都キエフに落下した協定世界時(UTC)24日午前9時30分、ビットコインの価格は3万5205ドルに急落しました。1日で8%、1週間で19%も下落しました。
ビットコイン価格はボラティリティが激しいことで知られています。しかし価格は下落するたびに、その都度反発し、世界で最も重要な仮想通貨としての地位を固めてきました。
特に新たな法律による仮想通貨の採用によって、当局者は仮想通貨市場へのより多くの国際的投資を引き付けるだろうと楽観視しています。市場は下落していますが、一部の投資家はデジタル通貨の価格低下はチャンスと見ています。
ビットコイン価格の下落は当面変わらないとしても、その価値が再度上昇に転じるのは時間の問題でしょう。投資家らは、急激下落後のまれな時期に、市場が反騰する機会をつかもうとしています。
参考
・Ukraine under attack: Crypto capital rocked by invasion
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