仮想通貨の記事やニュースでは「トランザクション」という言葉をよく見かけます。トランザクションとは、「取引」のことです。そして今回の記事のもう一つのテーマである「ハッシュ」は、トランザクションの仕組みの中で重要となる要素です。それでは、難しい仕組みをできるだけ、わかりやすく解説していきます。なお、今回はビットコイン(BTC)を代表例として考察します。
目次
仮想通貨におけるトランザクション(取引)とは?
トランザクション(取引)は、三つの要素から構成されます。
アウトプット
トランザクションの要素の一つである「アウトプット」は、ビットコインを特定のアドレスに任意の数、送る役割を持ちます。そのためには、以下二つの動きが必要になります。
- アウトプットするBTCが本人のものか確認
- 以前受け取ったビットコインを参照
具体例を考えてみましょう。
Aさんが、B・C・Dさんの三人から、それぞれ2BTC・1BTC・2.5BTCを受け取っていたとします。すると、合計の5.5(2 + 1 + 2.5)BTCがAさんが受け取ったトランザクションとして、ブロックチェーンに記録されます。
Aさんが、5.5BTCをEさんに送るときには、B・C・Dさんから受け取った5.5BTCはまとめられ、トランザクション・アウトプットになります。このときにまとめられたBTCをUTXO(未使用のトランザクション・アウトプット)といいます。
インプット
インプットの役割は、とてもシンプルです。UTXOの確認をするだけです。UTXOは、ロックされているので、そのロックを解除することによって、特定のアドレスにBTCを入金することができます。
メタデータ
メタデータは、「データのデータ」という意味です。仮想通貨のトランザクションでは、3つのメタデータが含まれています。
- データサイズ
- トランザクションID
- 作成日時
この中にある、トランザクションIDを使用することによって、特定のトランザクションが正常に処理されているのか確認することができます。
どのようにビットコインがブロックチェーンへ記録されるのか
ビットコインでは、どのようにトランザクションがブロックチェーンへ記録されるのでしょうか?大きく分けると、次のようになります。
- トランザクションを作成する
- トランザクションをネットワーク上に公開する(ブロードキャスト)
- トランザクションが未検証トランザクションの保管場所(トランザクション・プール)に保存される
- マイナー(採掘者)が、トランザクションを運び、ブロックに埋め込む
- マイニング(採掘)により正解となる「ハッシュ」を見つける
- ハッシュを見つけたマイナーにより、ブロックがチェーンにつながれる
- トランザクションが承認される
トランザクションが作成されてから承認されるまで、マイナー(採掘者)と呼ばれる人たちが重要な役割を果たしています。マイニングとは、正解となる「ハッシュ」を見つけるための計算競争です。では、この「ハッシュ」とは何かについて考えましょう
仮想通貨におけるハッシュとは?
「ハッシュ」は、暗号化されたデータです。ハッシュ演算は、「ある入力」に対して「ある出力」が得られる暗号計算です。例えば、「入力 = ABC」でハッシュ演算をして「出力 = 333」が算出されるなら、それは計算を永遠に繰り返しても同じです。ビットコインのマイニングでは、この正解となるハッシュを求める計算を超高速で行い、成功報酬であるBTCの獲得を目指します。
「ハッシュ」を話している時に紛らわしいのが、ハッシュ「パワー」とハッシュ「レート」です。まず、ハッシュパワーとはマイニングにおける「計算能力」を意味します。例えば「24TH/s」は、1秒ごとに24兆回ハッシュ計算ができるということです。次に、ハッシュレートとは、ハッシュを見つける「難易度」を表します。
ハッシュレート確認:Hash Rate
ビットコイン(BRC)の基本を理解
ビットコインのトランザクション、それからハッシュについて解説しました。使われている言葉が難しいので、「自分には理解できない」と考えがちですが、基本を押さえるだけなら十分理解することは可能です。今後もし、混乱するような時があれば、本記事に戻って来ていただけたらと思います。
(文・師田賢人)