イーサリアム2.0初のハードフォーク「HF1」とは?利点と目的

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。次世代イーサリアムのイーサリアム2.0は2020年12月1日にローンチし、既に300万ETHがステーキングされています。一方でイーサリアム発明者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏により、Beacon Chainの初となる大型アップデート「HF1(仮)」が提案されました。本稿ではこのHF1の重要性と内容について詳しく解説を行います。

イーサリアム2.0ハードフォーク"HF1"とは?

HF1とは、Hard Fork1の略であり仮の題名となっています。ブテリン氏の提案によると、

  1. ライトクライアントのサポート
  2. Beacon Chain開始までに間に合わなかったバグの修正
  3. 軽度の変更でハードフォークをテスト

の3つとなっています。順を追って見てみましょう。

ライトクライアントのサポート

現在のイーサリアム2.0にステーキングして参加した場合、各自がネットワークに参加するために起動する「バリデータクライアント」と「Beacon Node」の2つを起動することができます。このBeacon NodeとはETH1におけるGethなどのノードと同様であり、イーサリアムバリデータは現状全てのスロット(ブロック)を同期する「フルノード」の状態です。

これはネットワークのセキュリティが上昇する一方、スロット数が増えるほどSSDの容量を圧迫します。そのためライトクライアントで軽量同期が可能になれば、このデバイス問題をクリアできるということです。ライトクライアントのサポートは当初の予定ではフェイズ3、つまり優先度が後になっていましたが、Beacon Chainが安定していることから提案されたと考えられるでしょう。

イーサリアム2.0バグの修正

2つ目は現存するバグの修正です。これはジェネシスローンチ、つまり2020年12月1日までにクライアント側で修正が間に合わなかったバグを修正するというものとなっています。この修正ではハードフォークが必要、つまりコンセンサスアルゴリズムの相違により後方互換のもたない変更である点であるということになります。

イーサリアム2.0ハードフォークのテスト

イーサリアム2.0のハードフォークは、現状のDeFi(分散型金融)などが稼働している「イーサリアムレガシーチェーン」とは異なりCasper FFGではバリデータに対してペナルティが設計されているため慎重に行う必要があります。

今後Beacon Chainやイーサリアム2.0の開発が進むにつれ、大規模なアップデートを行うことがあるでしょう。なのでHF1では小規模な変更を含むアップデートで一度ハードフォークをテストし、問題や課題点を見つけることで今後のスムーズなハードフォークを行うことを目的としているということです。

HF1の狙いと利点

Beacon Chainには現在Pyrmontテストネットがあるので、一度Pyrmontでハードフォークテストを行い、問題なくバリデータが移行できるかを確認することになります。その後全体にアナウンスを行い、クラーケン(Kraken)やバイナンス(Binance)、その他イーサリアム上のステーキングサービスコントラクトなど、個人バリデータとは別のサービスが存在するため、これらのテスト後にイーサリアム2.0参加者が問題なくノードをアップデートできるかも確認しておかなかればいけない項目であると言えます。

つまりHF1では、バリデータに恩恵がありセキュリティの強化をし、今後のより大きな変更をする前に一度経験とテストを含めた多くの狙いがあるということです。

▼墨汁サロンでは32ETHステーキングのやり方やDeFiの仕組み、テクニカル分析理論の他にイーサリアム2.0の仕組みや注意点などについても詳しく解説しています。

墨汁マガジンVol.509「イーサリアム2.0でBeacon Chainがフォークした場合の問題を図解で理解する」

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