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【速報】金融庁、暗号資産の「金商法」移行を本格検討へ──2025年6月25日審議会総会で正式議題化
※本記事は2025年6月時点の情報に基づいて執筆されています。内容の正確性には万全を期していますが、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
出典:CoinDesk Japan
日本の暗号資産(仮想通貨)規制が歴史的な転換点を迎えています。2025年6月25日、金融庁は金融審議会総会において「暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討について」を正式な審議事項として提示し、現行の資金決済法から金融商品取引法(金商法)への移行を本格的に検討することを明らかにしました。
金融庁が示した暗号資産規制改革の全体像
現行制度の課題と改革の必要性
金融庁が2025年4月10日に公表した「ディスカッション・ペーパー」によると、日本の暗号資産市場は大きく変化しており、以下の状況が明らかになっています:
市場規模の拡大
- 国内暗号資産交換業者の口座開設数:延べ1,200万口座超
- 利用者預託金残高:5兆円以上
- 投資経験者の暗号資産保有割合:約7.3%(FX取引や社債よりも高い保有率)
投資対象化の進展
- 2019年の金商法改正時と比較して、暗号資産の投資対象化が顕著に進行
- 米国では、ビットコイン現物ETFに投資する機関投資家が1,200社を超える状況
深刻化する詐欺被害
- 金融庁への暗号資産関連の苦情相談:月平均300件以上
- 詐欺的な投資勧誘や無登録業者による違法行為が多発
2つの類型による新たな規制フレームワーク
金融庁は、暗号資産をその性質に応じて2つの類型に分けて規制する新しいフレームワークを提案しています。
類型①【資金調達・事業活動型】
対象となる暗号資産
- 資金調達の手段として発行されるトークン
- 調達資金がプロジェクトやコミュニティ活動に利用されるもの
規制内容
- 発行者に対する正確な情報開示・提供の義務付け
- 多数の利用者への勧誘が行われる場合に限定して適用
- トークンビジネスの発展に過度な制約とならないよう配
類型②【非資金調達・非事業活動型】
対象となる暗号資産
- 特定の発行者を観念できない暗号資産(ビットコインなど)
- 上記以外の一般的な暗号資産
規制内容
- 当該暗号資産を取り扱う交換業者に対する情報提供義務
- 取引の透明性確保と投資家保護の強化
金融審議会委員の反応:「親和性あり、妥当」の声
2025年6月25日の金融審議会総会では、委員から金商法移行を支持する意見が相次ぎました。
川口恭弘委員(同志社大学法学部教授)の発言 「暗号資産が抱える課題は伝統的に金商法で対処してきた問題と親和性があるとはその通りであり、金商法の枠組みでの対応は妥当」CoinDesk Japan
この発言は、学術的な観点からも金商法移行の妥当性が認められたことを示しており、今後の議論の方向性を大きく左右するものと考えられます。
期待される具体的な変化と影響
税制面での大幅な改善
金商法移行により、最も注目される変化が税制の見直しです:
現行制度
- 総合課税(雑所得)
- 最大税率:55%(所得税45%+住民税10%)
- 損失の繰越控除なし
移行後の予想される制度
- 申告分離課税
- 税率:約20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
- 株式等と同様の損失繰越控除が可能
暗号資産ETFの国内解禁
金商法移行により、現在は不可能な暗号資産ETF(上場投資信託)の国内での組成・販売が可能になる見込みです:
期待される効果
- 機関投資家の本格的な市場参入
- 市場流動性の大幅な向上
- 投資家にとっての利便性向上
- 日本の金融市場の国際競争力強化
実現に向けたタイムスケジュール
金融庁担当者は、以下のスケジュールを示しています:
2025年
- 11月末頃:金融審議会での報告書取りまとめ
- 12月:税制改正大綱への盛り込み
2026年
- 通常国会:関連法改正案の提出
- 年内:法案成立・施行準備
CoinDesk JAPANの取材に対し、金融庁担当者は「税制改正を視野に入れる場合、報告書自体は11月末ごろには固めて、12月の税制改正大綱に載せていくことが必要になる」との見通しを示しており、来年の通常国会での法改正が現実的なスケジュールとして浮上しています。Yahoo!ニュース
新たな規制で強化される投資家保護
業規制の厳格化
金商法移行により、以下の業規制が強化されます:
無登録業者対策
- より実効的かつ厳格な規制枠組みの導入
- 違法な勧誘行為への厳罰化
投資運用・助言業の規制対象化
- 暗号資産の投資運用行為も規制対象に
- 投資助言行為に対する適切な監督体制の構築
市場監視体制の強化
インサイダー取引規制
- 株式と同様のインサイダー取引規制の導入検討
- 欧州・韓国・米国型など様々な規制モデルを検討
不公正取引対策
- 当局・業界の市場監視体制向上
- 価格操作や不適切な取引行為への対応強化
投資家が知っておくべき重要ポイント
移行期間中の注意事項
現行制度の継続
- 法改正まで現行の資金決済法による規制が継続
- 税制も当面は現行の総合課税が維持
情報収集の重要性
- 制度変更の詳細は今後の審議会で決定
- 公式発表への継続的な注意が必要
投資戦略への影響
長期投資への追い風
- 分離課税導入により、長期保有のメリットが向上
- 損失繰越控除により、リスク管理が容易に
機関投資家の参入影響
- ETF解禁により、市場の機関化が進展
- 価格安定性の向上が期待される一方、個人投資家の優位性は低下の可能性
国際的な視点から見た日本の取り組み
世界的な規制動向との整合性
米国の動向
- ビットコイン現物ETFが既に承認・運用開始
- SECによる包括的な暗号資産規制の整備進行
欧州の取り組み
- MiCA(Markets in Crypto-Assets Regulation)の段階的施行
- 包括的な暗号資産規制フレームワークの完成
アジア各国の競争
- 韓国:2025年後半に現物ETF導入予定
- シンガポール:機関投資家向けサービスの拡充
日本の金商法移行は、これらの国際的な潮流に合致する動きであり、アジアの金融ハブとしての地位確立に向けた重要な一歩となります。
業界関係者の反応と今後の展望
業界団体の対応
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、金融庁のディスカッション・ペーパー公表を受けて「引き続き対応を進めてまいります」とのコメントを発表し、業界全体として制度変更への積極的な協力姿勢を示しています。
取引所各社の準備状況
国内主要取引所では、金商法移行に向けた準備を本格化させており、以下の対応が進行中です:
- コンプライアンス体制の強化
- 投資家保護機能の拡充
- 機関投資家向けサービスの準備
- 新たな開示規制への対応準備
まとめ:日本の暗号資産市場の新時代へ
金融庁による暗号資産の金商法移行検討は、日本の暗号資産市場にとって歴史的な転換点となります。この変化により期待される主な効果は以下の通りです:
投資家にとってのメリット
- 税負担の大幅軽減(最大55%→約20%)
- 損失繰越控除による柔軟な税務戦略
- ETF投資による分散投資機会の拡大
- より厳格な投資家保護制度
市場全体への影響
- 機関投資家の本格参入による市場の成熟化
- 流動性向上と価格安定性の改善
- 国際的な競争力の向上
- Web3・ブロックチェーン産業の健全な発展
ただし、制度変更には一定の時間を要し、詳細な設計は今後の審議会での議論に委ねられています。投資家の皆様には、公式発表への継続的な注意と、制度変更を見据えた長期的な投資戦略の検討をお勧めします。
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制度変更を見据えた暗号資産投資を検討される方は、金融庁に登録された信頼できる取引所での取引をお勧めします:
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各取引所では、今回の制度変更に向けた準備が進められており、将来の分離課税やETF投資にも対応予定です。ご自身の投資スタイルに最適なプラットフォームをお選びください。
※本記事は2025年6月時点の情報に基づいて執筆されています。暗号資産投資にはリスクが伴います。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。制度変更の詳細は今後の審議会での議論により決定されるため、最新の公式発表をご確認ください。