
仮想通貨(暗号資産)の世界で今、最も注目されている法案の一つが「CLARITY法」です。2025年7月17日、この法案は米国下院を可決し、仮想通貨規制の歴史的転換点を迎えました。本記事では、最新の状況と投資家への影響について詳しく解説します。

CLARITY法により仮想通貨規制の明確化が期待されています
目次
CLARITY法とは何か?【最新情報】
CLARITY法(正式名称:Digital Asset Market Clarity Act of 2025)は、H.R.3633として米国議会に提出された包括的なデジタル資産市場ルール整備法です。2025年7月17日に米国下院を294対134の超党派多数で可決し、業界に大きなインパクトを与えました(上院審議に送付済み)。
法案の正式名称と目的
正式名称は「Digital Asset Market Clarity Act of 2025(デジタル資産市場明確化法 2025)」で、デジタル商品(Digital Commodities)とデジタル資産証券(Digital Asset Securities)を軸に、SECとCFTCの所管を明確化し、登録・開示・市場インフラの枠組みを整えることを目的としています。あわせて反CBDC(中央銀行デジタル通貨)条項も併載されています。
2025年の最新状況
下院可決の詳細
- 可決日:2025年7月17日
- 投票結果:294対134(超党派支持)
- 現状:上院に送付済み(2025年9月18日に上院へ回付、継続審議)
下院金融サービス委員会(Financial Services Committee)も、可決の事実と超党派支持を公表しています。
上院での動向
2025年7月22日、上院銀行委員会のティム・スコット委員長、シンシア・ルミス議員らが、CLARITY法を基礎にした「市場構造(Market Structure)」の議論草案とRFI(意見募集)を発表。銀行委員会所管領域の論点(保管、決済、ステーブルコイン、上場基準等)を補強するためのドラフトで、民間・業界から広くフィードバックを収集しています。
CLARITY法の主な内容【詳細解説】
1. 規制権限の明確な分割

米国議会での仮想通貨規制法案の審議が進んでいます
| 規制機関 | 管轄範囲(骨子) | 対象資産のイメージ |
|---|---|---|
| CFTC(商品先物取引委員会) | 「デジタル商品」に対する監督(市場インフラ・取引所・不公正取引等) | 十分に分散化し、ブロックチェーン利用が価値源泉となる資産(例:成熟チェーンのネイティブ資産 等) |
| SEC(証券取引委員会) | 「デジタル資産証券」や投資契約に該当する取引の監督(登録・開示・ブローカーディーラー等) | 証券性のあるトークン、資金調達型トークン、中央集権的管理の強い資産 等 |
2. 「デジタル商品」の新定義
法案は「デジタル商品」を、ブロックチェーン依存性・価値源泉のブロックチェーン由来・分散化(単一主体非支配)といった観点で定義。これに該当する資産について、CFTC所管のもとで商品的な枠組みを整えます。
3. 段階的分散化システム
革新的な点は「成熟したブロックチェーンシステム」概念の導入です。プロジェクトが分散化を進め、情報開示・ガバナンス・ネットワーク支配の低下などの基準を満たすにつれ、SEC→CFTCへ監督の重心が移る「段階的移行」を設計しています。
分散化の判定基準(例示)
✓ ガバナンス分散化:意思決定の分散度/投票権集中の有無
✓ ネットワーク分散化:ノードの地理的・技術的分散/停止耐性
✓ 開発分散化:コア開発への単一主体依存の度合い
✓ 制御権分散化:鍵・管理権限・トークン配布の偏在度
2024–2025年の仮想通貨業界の変化
ビットコインETFの承認効果
2024年1月10日、米SECは現物ビットコインETFを承認。機関投資家の参入が進み、ETF市場という受け皿が整備されました(複数銘柄が同時承認)。
規制環境の変化
2025年1月21日、SECが「Crypto Task Force(暗号資産タスクフォース)」を創設(委員ヘスター・パースがリード)。登録経路・開示・カストディ等の制度設計の作業部会を立ち上げ、8月には「Project Crypto」として包括的な制度モダナイゼーションのロードマップを公表。さらに9月にはSEC-CFTC共同声明により、現物クリプト資産の取引枠組みやDeFiに関する調整方針が示されました。
投資家への具体的影響
1. 市場の安定化効果
法的確実性の向上により、機関投資家の本格参入、価格ボラティリティの平準化、長期マネーの定着が期待されます。登録経路・開示の標準化は、上場・流動性・価格発見にも中期的にプラスです。
2. DeFi(分散型金融)の発展促進
開発者・ウォレット提供者・UI提供者等の非保管型(non-custodial)活動と、自律的スマートコントラクトを巡る扱いが整理される見込みです。これにより、開発・運用の法的予見可能性が高まり、実装・監査・保険など周辺エコシステムの拡充も期待されます。
3. 税制面の展望(日本)
日本国内では、個人課税の見直し(分離課税化・損益通算等)に関する議論が継続しています。現時点で確定的な制度改正は公表されていないため、与党税制改正大綱・金融庁/財務省の審議を適宜フォローしてください。
日本の投資家が知るべき最新情報
金融庁の規制見直し動向
2025年7月31日、金融審議会「暗号資産制度ワーキンググループ」第1回会合が開催され、制度見直しの俎上に上りました。アジェンダ・資料は英語ニュースレター等にも概略が掲載されています(原文は日本語資料)。
主要取引所の比較とチェック観点(2025年時点)
| 比較観点 | 確認ポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 売買手数料 | 現物/取引所/販売所の区分、メーカー/テイカー体系の有無 | 公式手数料ページで最新値を確認(キャンペーン除外時の定常レート) |
| 入出金・送金 | 即時入金の可否/銀行手数料/オンチェーン送金料 | ネット銀行連携・手数料上限の有無に留意 |
| セキュリティ | コールド/ホット比率、マルチシグ、保険/補償の有無 | 監査報告・SOCレポート等の開示を確認 |
| 上場銘柄 | 取扱数/上場基準/新規上場の頻度 | 国内ルール(JVCEA)との整合性 |
| ステーキング等 | 貸暗号資産/ステーキング/オプション等の提供状況 | リスク説明・途中解約条件の明確性 |
※手数料等の数値は頻繁に更新されるため、必ず各社の公式ページで直近の条件を確認してください。
リスクと注意点
投資リスクの継続
CLARITY法の進展があっても、以下のリスクは残存します:
⚠️ 価格変動リスク(高ボラティリティ)
⚠️ 技術的リスク(ハッキング/バグ/オラクル不正等)
⚠️ 規制変更リスク(二次立法・ガイダンスでの条件追加)
⚠️ 流動性リスク(市況悪化時の板薄化/約定遅延)
投資判断時の考慮事項
✅ 長期視点:規制明確化は中長期のプラス要因
✅ 分散投資:特定銘柄の集中回避
✅ 情報収集:立法・規制動向/ガイダンスの定期確認
✅ リスク管理:ドローダウン許容度・資金管理ルールの明確化
今後の展望とアクションプラン
短期的な展望(2025年内)
- 上院での審議進展:銀行委員会ドラフトの成案化と並行審議
- ガイダンス整備:SEC/CFTCの共同作業(定義・登録・取引ルール)
- 業界の実務準備:取引所・カストディ・発行体の適合対応
中長期的な影響(2026年以降)
- グローバル規制の標準化:米国基準が各国設計へ波及
- 機関投資家の本格参入:資産クラスとしての定着
- イノベーション加速:明確なルール下での技術実装/金融商品化
投資家の行動指針
📈 情報収集の継続(議会・規制当局・上場市場の一次情報)
📈 リスク管理の徹底(証拠金/レバレッジ/損切り規律)
📈 長期視点の維持(短期ノイズに振られない方針の明文化)
📈 専門家の活用(税務/法務/コンプライアンス)
日本の主要仮想通貨取引所
BitTrade(ビットトレード)
特徴
- 豊富な暗号資産銘柄を取り扱い(29銘柄)
- 高度なセキュリティシステム
- 初心者から上級者まで対応のUI/UX
主要手数料
- 売買手数料:販売所スプレッド、取引所0.05~0.2%
- 入金手数料:銀行振込無料
- 出金手数料:330円
- 送金手数料:銘柄により異なる
最小購入額:販売所500円、取引所0.001BTC 積立サービス:対応 スマホアプリ:高機能アプリあり セキュリティ:コールドウォレット、2段階認証 向いているユーザー:多様な銘柄への分散投資を検討している方
SBI VCトレード
特徴
- SBIグループの信頼性と実績
- 業界最低水準の手数料体系
- 充実したレンディングサービス
主要手数料
- 売買手数料:無料
- 入出金手数料:無料
- 送金手数料:無料(業界最高水準)
取扱銘柄:23銘柄 最小購入額:500円 積立サービス:毎月500円から レンディング:年率最大8% セキュリティ:金融庁認可業者の高度なセキュリティ 向いているユーザー:手数料を最小限に抑えたい初心者から中級者
Coincheck(コインチェック)
特徴
- 国内最大級の暗号資産取引所
- 初心者にも分かりやすいシンプルな操作性
- NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」運営
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所無料
- 入金手数料:銀行振込無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料:407円
- 送金手数料(BTC):0.0005BTC
取扱銘柄:29銘柄 最小購入額:500円 積立サービス:月1万円から(14銘柄対応) 特別サービス:Coincheck NFT、IEO実施経験 向いているユーザー:暗号資産初心者、NFTに興味がある方
bitbank(ビットバンク)
特徴
- 全暗号資産取引量国内No.1の実績
- 高度な取引ツールとチャート機能
- Maker手数料マイナス(報酬システム)
主要手数料
- 売買手数料:Maker -0.02%、Taker 0.12%
- 入金手数料:無料
- 出金手数料:550円/770円(3万円以上)
- 送金手数料(BTC):0.0006BTC
取扱銘柄:38銘柄(国内最多クラス) 最小購入額:0.0001BTC 積立サービス:なし(現在) セキュリティ:コールドウォレット、マルチシグ対応 特殊機能:リアルタイム入金、高度な注文機能 向いているユーザー:取引量の多いアクティブトレーダー、上級者
OKJ(オーケージェー)
特徴
- 世界大手OK Groupの日本法人による運営
- 業界トップクラスの狭いスプレッド
- 高利回りFlash Dealsやステーキングサービス
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所Maker -0.01%/Taker 0.02%~(キャンペーン時)
- 入金手数料:無料(振込手数料は利用者負担)
- 出金手数料:400円
- 送金手数料:銘柄により異なる(IOSTは格安)
取扱銘柄:47銘柄 最小購入額:500円 積立サービス:対応 スマホアプリ:高機能アプリあり セキュリティ:コールドウォレット、2段階認証 独自サービス:Flash Deals(年率最大100%超の実績)、マルチチェーン対応 向いているユーザー:スプレッドを重視する方、多様な銘柄に分散投資したい方、レンディングに興味がある方
bitFlyer(ビットフライヤー)
特徴
- ビットコイン取引量9年連続国内No.1
- 創業以来ハッキング被害ゼロの高度なセキュリティ
- 1円から取引可能な初心者に優しい設計
主要手数料
- 売買手数料:販売所無料、取引所0.01~0.15%(取引量により変動)
- 入金手数料:住信SBIネット銀行無料、その他銀行330円
- 出金手数料:三井住友銀行220円/440円、その他550円/770円
- 送金手数料(BTC):0.0004BTC(XRP、MONA、XLMは無料)
取扱銘柄:38銘柄 最小購入額:1円 積立サービス:対応 レバレッジ取引:bitFlyer Lightningで最大2倍(BTC、ETH対応) セキュリティ:マルチシグ、コールドウォレット、2段階認証 特別サービス:bitFlyer クレカ(利用額の0.5~1.0%がBTCで還元)、ビットコインをもらう、IEO実績 向いているユーザー:少額から始めたい初心者、取引量の多いアクティブトレーダー、レバレッジ取引に興味がある方
まとめ:新時代の仮想通貨投資
CLARITY法の下院可決は、仮想通貨業界にとって歴史的な転換点です。SEC/CFTCの役割分担と段階的分散化の概念は、デジタル資産の予見可能性を高め、市場の成熟と投資家保護を両立させる土台となります。一方で、最終的な法文は上院審議・共同規則制定で変動し得るため、最新情報の継続フォローが不可欠です。
本記事の情報は2025年11月12日時点のものです。仮想通貨投資にはリスクが伴います。投資判断は自己責任で行ってください。