Bitrue CEOが語るリップル(XRP)基軸・仮想通貨取引所のこれから

仮想通貨リップル(XRP)でさまざまな銘柄を買うことができる「XRP基軸」を導入している取引所ビットゥルー(Bitrue)。現在、約10カ所の海外取引所がXRP基軸を導入しているが、Bitrueは一定数のペアをそろえたXRP基軸取引所としては世界最大で、その存在感は増している。

しかし2018年7月の開設から約1年、取引所トークン上場のタイミングで、ハッキング事件に遭う逆風にもさらされた。ビットコインやイーサリアムが基軸通貨というのが「普通」という中、Bitrueの最高経営責任者(CEO)であるクリス・ウォン(Curis Wang)氏に、先駆者としてXRP基軸を導入した背景や、XRP基軸取引所のあり方、ハッキングを受けた今後の課題と対応について語ってもらった。

(聞き手:Tyado氏)

銀行サービスを一変させる「ゲームチェンジャー」への期待

――なぜXRP基軸を導入したのか。

「トレードの観点から、XRPはコスト、スピードなどの面でビットコインやイーサリアムに比べて多くのメリットがある。取引所にとってXRPを基軸通貨に採用することはとても意味のあることだ。

ただ、Bitrueは単なる取引所ではなく、より多くの人々がブロックチェーンや仮想通貨を使うための手助けができる存在になりたいと思っている。」

――それはなぜか。顧客のメリット以外の背景は。

「過去20年の間、テクノロジーの進化は目覚しい。ただ、モバイルインターネット、スマートフォン、AI、車の自動運転など注目されているが、銀行サービスはそれほど多くない。今、遠く離れた場所にいる人にインターネットを通じて写真を送ることができるが、『支払いのネットワーク』はまだ切断されている。銀行システムは改善が必要だ。

国際送金などの銀行取引はインターネットほど安くはなく、速くもない。XRPなどの仮想通貨はこうした状況を一変させる『ゲームチェンジャー』になるかもしれないと思っている。こうした背景が、XRPの価値を理解するカギであり、XRP基軸を採用した大きな理由である。そして有望なトークンを広めるために全力を尽くしたいと思う原動力だ。

私たちはより多くの人々にXRPの価値を知ってもらい、流動性を高めたいと考えている。国際送金など支払いのネットワークの改善が求められているのは明白だ。」

XRPペア上場の苦難と他取引所の追随

――XRP基軸採用に際して「壁」はあったか。

「2018年7月19日にBitrueを立ち上げた時のことをよく覚えている。初日から多くの人にXRP基軸は『冗談』だと言われた。おそらく私たちが『新しかった』からだろう。

なにより、XRPペアの流動性を高める(取引量を増やす)ことは、簡単なことではなかった。XRPペアのトレードをしてもらうために、多くのXRP関連のキャンペーンを実施し、多くのXRPホルダーを集め、その通貨ペアを見てもらうように努力してきた。」

――どのような取り組みをしてきたのか。

「色々あるが、まずXRP基軸を知ってもらうため、収入を犠牲にして取引手数料の50%を還元する紹介キャンペーンを行った。新しい取引所だったので人々の信頼を得ることは本当に容易なことではなかった。ただ、幸いなことに、XRPコミュニティから私達のために声を上げる方がだんだんと現れた。」

――XRPペアの上場について、どのように働きかけていったのか。

「絶え間なく多くの仕事をしたが、まず13のXRPペアを上場させるのに5ヶ月かかった。その後、さまざまなペアの上場に全力を尽くすことを決め、2018年12月の終わり頃に、コミュニティの人々へ一番欲しいXRPペアは何かと尋ねた上で、2週間以内に5ペア、そして別の週にさらに5ペアを上場させた。現在、既にBitrueは52のXRPペアがある。

上場させるには、そのトークンを研究して調べないといけないし、時にはプロジェクトに関わっている人を呼んで話を聞くことも必要だった。研究以外にも法務やエンジニアリング、マーケティングなどとにかく労力のいることだ。」

――今後XRP基軸を導入する取引所は増えるか。

「そう願っているし、起こりうることだと思う。実際、だんだんと私たちの方針に追随し、XRP基軸を導入する取引所が出てきた。こうした光景が見られるのはとてもすごいことだと感じている。

だから、私たちは『これが正しいあり方だ』と証明しないといけないと思っている。既にいくつかの取引所が、XRPを基軸通貨としてリストアップするという私たちの歩みに続き、それだけでなく、XRPとのペアを要望するトークンプロジェクトもますます増えている。

これはXRPコミュニティの力だ。どんどん人々はXRPコミュニティに参加したいと思ってきている。それはお互いが、強く結びついているからだ。私たちの活動はこの思いを加速させ、他の取引所に、XRP基軸を採用した私たちの歩みを追随させている。」

フィンテック企業や金融機関との提携

――Bitrueはレンディングが注目されているが、その方向性に向かった理由は。

「Bitrueは取引所として始まったが、それは最初のステップにすぎない。取引がベースだけれども、その上に金融サービスも構築していく。現在の銀行システムは完璧ではなく、かなり支配的といえる。つまり、銀行とブローカーが裕福な人々に対して、素晴らしい直接投資の取引を提供する。

資産を普通預金口座に預け入れても、銀行は非常に限られた配当しか与えない。彼らはそのお金を使って投資し、そこから利益の大部分を得る。銀行はますます強くなるが、決して改善することはない。だから利益を犠牲にしてでも、年率で7.3%から始まる報酬を利用者に渡すことのできるプログラムとして、パワーピギー(PowerPiggy)を企画した。」

――今後のヴィジョンについて、教えてほしい。

「より多くの人々に金融サービスへの平等なアクセスを提供することだ。ただ、このプラットフォームを構築することは本当に簡単ではなかった。すべてをゼロから作り上げ、すべてが自己開発で沢山の資金と努力を費やした。

コミュニティ主導のプラットフォームであれば、Bitrueはどんどん良くなると信じている。コミュニティは私たちに意見や提案を与えてくれる。私たちはそれに耳を傾け、改善する。さまざまな種類のキャンペーンを実施し、人々に私たちのプラットフォームを試してもらいたい。」

――通常のレンディングでは預け入れ期間や量によって金利が上がる一方、期間中は引き出せないデメリットを持つのが普通である。しかし、それを無くした思い切った取り組みだが、持続可能なのか。

「パワーピギーは日々の上限を設定してコストを管理し、すべてを確実に管理できるようにしている。ただ近い将来、この企画をさらに持続可能にするために金融サービスを開発し、私たちのコミュニティに提供する。ここ数ヶ月間、多くのフィンテック企業や金融機関と提携について話してきた。そして、間もなくBitrueは取引機能だけでなく貸出業務も提供する予定だ。

私たちは現在の銀行システムを一変させ、コミュニティにこの貸出事業からの収入を還元し、高い金利を提供し続ける。それはクレイジーに聞こえるかもしれないが、本気で取り組んでいる。」

ハッキング被害「いかにコミュニティとの絆を守るか」

――順調に成長する一方、ハッキング(※注)による約5億円の資金流出が起こったが、それについてはどのように思っているか。

「Bitrueにとってもコミュニティにとっても、厄介な出来事だった。セキュリティはBitrueの核だが、最初に頭にあったのは失った資産のことではなく、いかにコミュニティとの絆を守るかということだった。

それはつまり、二度と起こらないようにシステムをどう強固にするかということ。不眠の週となったが、あらゆる角度からチーム全体で見直しにかかった。目的は単純で、ユーザーをもう二度と不安な思いにさせたくないということだ。いつも言っていることだが、Bitrueに置いてくれる1ドル1ドルが顧客からの信頼を表していると思っている。」

※6月27日、Bitrueでは930万XRPと250万ADA(エイダコイン)が流出するという、当時のレートで日本円換算して約5億円のハッキング被害があった。大半の資産はコールドウォレット管理のため無事だったが、ホットウォレットが被害に遭っている。Bitrueでは1人あたり約1億円までの補償を掲げており、事件発覚すぐに顧客資産の全額補償が表明された。

――どのような対策をとっていくのか。

「システムを底から頭まで見直して、いくつかの安全性強化の提案も出てきた。例えば、パワーピギーで預けられている資産を、以前は70%のコールドウォレット保管であったのを、100%保管にするなどだ。加えて、各出金を調べるAIベースのリスク管理システム改善にも取り掛かっている。安全性は常に向上していっている。

他に、システムの定期的なハッキングシミュレーションをするために、いくつかの有名なセキュリティコンサルタント会社を使うことだ。システムは『完全』ではないからこそ、見直しと改善を続けるためにベストを尽くしていく。」

――逆風の中での取引所トークンであるビットゥルーコイン(BTR)の発行となった。

「BTRの発行は、コミュニティから私たちへの大きな信頼を示した。ハッキング後のシステム再開翌日にBTR取引を開始したが、初日には販売価格から約5倍の価格になった。ハッキングは起こったものの、築き上げてきたコミュニティは離れず、むしろ我々の対応への信頼を感じた。本当に名誉なことだ。

常に客のことを最優先に、というのは原則である。ただ誰かを信頼することはこの仮想通貨の世界では決して簡単なことではない。私たちが創っている『価値』をみんなが信じてくれることをとても嬉しく思う。」

――最後に日本のXRPコミュニティへメッセージをお願いしたい。

「日本のリップラー(XRPホルダー)の皆さんへ。私たちBitrueメンバーはXRPが大好きだ。それはBitrueの根幹であるというその『価値』のためだけでなく、愛のある素晴らしいXRPコミュニティがあるから。XRPコミュニティに、仮想通貨投資のあらゆる面で最高の経験を提供するために最善を尽くしていきたいと思っている。」

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