リップル(Ripple)社のクリス・ラーセン(Chris Larsen)エグゼクティブチェアマン兼共同創業者は4月22日、気候面への影響の観点からビットコイン(BTC)で使用されているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を別の検証方法に変更するべきだという個人見解を明かした。
PoWは気候災害を回避するのが難しいレベルに向かっている
ラーセン氏は、仮想通貨の普及を良いことだと同意しつつも、PoWは今日の世界では時代遅れになりつつある設計技術だと指摘した。
同氏によると、ビットコインのマイニングにより、年間で平均132テラワットアワー(TWh)を消費している。この数字はアメリカの約1,200万世帯分に相当するもので、CO2の排出量は推定で年間6,300万トンだ。このような数字から、PoWは気候変動による災害を回避するために世界が許容するのが難しいレベルに向かっていると警告している。
石油生産者がPoW産業を支配する可能性がある
ラーセン氏は、ビットコインをはじめとするPoWの仮想通貨自体を時代遅れだと言っているわけではないと前置きした上で、台帳を保護するために低エネルギー・低炭素の代替手段を採用する必要があるという意見を展開した。その上で、石油が不要になった世界では、石油生産者がPoW産業を支配する可能性があるとも指摘している。
今回の見解の中で同氏は、石油の生産コストと発電コストの計算も行っている。採掘、探査、その他の費用を含めたサウジアラビアの石油1バレルの生産コストが9ドル(約970円)未満であり、この数字から導き出される発電コストは、1kWhあたり1/2セント(約0.5円)に相当するという。このコストは、世界の太陽光発電、風力発電、原子力発電の将来予測コストを大幅に下回っている。
このような理由から同氏は、石油生産者がPoWマイニングを行う可能性があると示唆した。また同氏は、このようなアイディアを悪夢のようなシナリオと表現しており、化石燃料は、マイニング報酬のために使うのではなく、地中に留める必要があるとまとめている。
参考
・The Cryptocurrency Industry Needs to Reconsider Proof-of-Work
文:かにたま