アメリカの内国歳入庁(IRS)は、暗号資産(仮想通貨)その他に対する未納税について、ペナルティを撤回する準備を進めています。2020年から2021年の申告分が対象で、2024年3月末までの時限措置です。
日本円で1,450億円という免税措置
2020年から2021年までの税が未納になっている数百万人のアメリカ人に対して、日本の国税庁にあたるIRS(Internal Revenue Service)は、課税免除措置を実行することになりました。この期間の仮想通貨取引を申告していない場合も、その恩恵に浴する可能性があります。
IRSの発表によると、該当期間分の納税が済んでいない約470万の個人や事業所については、本来なら納税期限を過ぎると延滞税のペナルティが加算されますが、今回の措置でこの延滞税が免除されるということです。IRSの試算では、その額は10億ドル(約1,450億円)と見積もられています。
該当期間に仮想通貨取引をしていた場合、もしもその利益をまだ申告していなくても、多額の延滞金を納めることなく、これから納税することができるわけです。
この免税措置の対象になる約470万人の個人は、そのほとんどが年収40万ドル(約5,800万円)未満ですが、すべての場合において免税対象は、課税額が10万ドル(約1,450万円)未満の納税者に限られます。
目的は新型コロナウイルス問題での課税不公平の解消
今回の免税プログラム対象者には、順次IRSからの通知が送付されます。ペナルティの撤回は自動的に実行され、該当期間の延滞税をすでに支払った納税者には、その全額が返金されます。
ただしこのプログラムは時限的な措置であり、2024年1月から3月末の期間限定で実行され、4月からはすべての納税者に対して、再び未納税分への延滞税が加算されます。
この免税措置はIRSによる納税者への慈善プログラムではありません。連邦徴税官の説明によると、新型コロナウイルスのパンデミックで、未納税の督促状送付がストップしていたものの、その間も延滞税の加算は継続されていたそうです。今回の免税は、こうした税制上の不公平を是正することが目的だということです。
米連邦準備制度理事会(FRB)の調査では、2021年までにアメリカ人の12%以上が仮想通貨を利用するか、もしくは取引を実行していたという結果が出ています。そのうちの半数以上は10万ドル未満という条件を満たしているため、免税措置というプレゼントを受け取ることになるでしょう。
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