シンガポールを拠点とする仮想通貨取引所「AscendEX(元BitMAX)」は12月11日、イーサリアム上のERC20トークンやBSC、Polygonのトークンがハッキングにより流出したと発表。被害額は推定約87.8億円にのぼるとされている。
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仮想通貨取引所「AscendEX」がハッキング被害
Ascend EXは2018年にBitMAXとしてシンガポールで設立され、2021年3月にAscend EXとしてリブランドしている仮想通貨取引所。
同社の発表によると、12月11日に即座に入出金に対応するためのホットウォレットからイーサリアム上のERC-20トークンとBSC、Polygonのトークンが不正に引き出されたという。
インターネットから物理的に切り離されているコールドウォレットからは引き出されておらず、これらの被害にあった額はすべてAscendEXが補償するとしている。
22:00 UTC 12/11, We have detected a number of ERC-20, BSC, and Polygon tokens transferred from our hot wallet. Cold Wallet is NOT affected. Investigation underway. If any user’s funds are affected by the incident, they will be covered completely by AscendEX.
— AscendEX (@AscendEX_Global) December 12, 2021
仮想通貨の被害は約87億円
PeckShieldによると、Ascend EXのハッキング被害総額は約87億円となっており、最も大きな被害はイーサリアム上のTARAというトークンで約1082万ドル(12.2億円相当)。その他には、約6億円のUSDTや約5億円のUSDC、BSCでは10億円、Polygonでは9億円相当だとされている。
なぜハッキングは価格下落影響が少ない?
2016年8月、当時USD最大の仮想通貨取引所「Bitfinex」がハッキングされ、約12万ビットコイン(BTC)が盗まれた際にはビットコイン価格は大きく下落した。それ以降バイナンス(Binance)を含む多くの大手仮想通貨がハッキング被害にあっているが、仮想通貨価格への影響は殆どないと言えるだろう。
この理由として、上記でみたUSDCやUSDTは「ブラックリスト機能」を実装しているため、ハッカーのアドレスを発行者のテザー社やCentreがブラックリスト化することで送金を無効にし、取り戻すことができる。
実際に中国系Poly Networkが約675億円のハッキング被害を受けた際、テザー社は即座に34億円相当のUSDTを凍結している。また仮想通貨取引所はハッキング経験を経て、ハッカーが盗んだトークンをデポジットしたりした際に即座に凍結するなどの対処を行っているため、例え売られたとしても一時的な下げとしかならないことが理由と言えるだろう。
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