ビットコイン(BTC)への今後の影響は?中国政府のマイニング取締と今までの歴史

どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。中国政府は2017年のPBoCショックから約4年という時間を開け、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)マイニングの本格的な取締に乗り出しました。ビットコインネットワークはこれらの影響を受けており、価格にも反映されている状態です。

本稿では今後中国のマイニング規制でビットコインにどのような影響を受けるのか、短期的な影響と長期的な影響について解説を行います。

ビットコイン(BTC)と中国の歴史

ビットコインと中国には深い関係性があります。中国では国民の資産が海外に流出しないように、国外からの入金や出金を年間約500万円に制限しており、日本や諸外国のように国際送金を使って自由に送金できない特徴があります。

このような背景からビットコインアドレスと海外仮想通貨取引所さえ介せば容易に国外送金できるビットコインは中国でまたたく間に地位を獲得しました。また中国は諸外国と比較して化石燃料による発電や、豊富な水資源による水力発電による電気代の安さという利点があり、中国マイナーは借金をしてまでマイニング環境を整え、マイニングが盛んな国となったという背景があります。

2017年に中国の中央銀行PBoCが仮想通貨取引所を取り締まるまで、中国ではOKCoin、BTCC、Huobiという三大取引所が世界のビットコインの大半を占め、中国相場やマイニングに依存していたのです。これらを指摘し「ビットコインは中国が実権を握っているようなものだ」と非難されてきたのです。

ビットコインネットワークへの影響

ビットコイン価格は2017~2018年の仮想通貨バブルの最高値を大幅に超え、今年に入って700万円を記録。この価格上昇に伴ってネットワークを安全に保ち、ブロック生成を行なうための計算力を示す「ハッシュレート」は過去最高の180EH/sを記録しました。

中国政府のマイニング取締に伴い、現在は半分以下の85EH/sまで下落しており現在のブロック生成に必要なハッシュレートを大幅に下回っていることから送金の遅延影響が出ています。

ビットコインハッシュレート

セキュリティの影響は?

この送金遅延は、2016ブロック(通常約2週間)が経過すると現在のネットワークの演算力に合わせて調整されるため、一時的な影響となるのです。また最高値からは半分以下まで下落していますが、現在は2019年9月と同水準となっているため、セキュリティ上の攻撃懸念は依然として無視できるレベルと言えるでしょう。

中国のような資源と土地というマイニングに適した環境以外で攻撃を行なう場合、電気代という非常に高い攻撃コストが必要となるため、実際に見える下落幅以上に影響は少ないです。

なぜ中国はこのタイミングでマイニング規制?

ではなぜ中国はこのタイミングでマイニング規制を行ったのでしょうか?それは中国の傾向で読み取れます。過去には大きな中国政府による介入は2013年、2017年と続き、今年が2021年となっており、4年周期で仮想通貨規制に乗り出しています。

大々的に仮想通貨取引所を閉鎖し、人民元とビットコインとの売買を禁止したのが2017年です。そして今回のマイニング規制がちょうど4年後の2021年です。この周期には理由があり、2017年10月には5年に一度の党大会が開催され、2021年7月には中国共産党創立100周年という大きなイベントが控えており、バイナンスやOKCoin、Huobiのような規制をかいくぐる表立ってグレーな部分をこの100周年前に一掃したかったと考えられるでしょう。

ビットコインチャート&イベント

長期的にはマイニング規制はプラス

このような中国政府の仮想通貨規制は、長期的に見ればビットコインにとってプラスとなっています。これは過去の傾向や上記チャートを見ても分かるように、中国に集中していたハッシュレートや仮想通貨取引所、ビットコイン現物が世界に分散しており結果として最高値の240万、2021年の700万円を記録しています。

中国が実質的にコントロールしていたハッシュレートやビットコイン保有数が2017年から世界的に分散し、過去に否定されていた「ビットコインは中国がコントロールしている」などのネガティブな印象のもとが一掃されたことで、むしろ米国におけるビットコインETFの承認や、株やコモディティなどの資産クラスの一つとして今後も生き残り続けていくことになるでしょう。

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