中国銀行協会と中国インターネット金融協会、中国証券協会という3つの金融業界団体は4月13日、NFT(代替不可能ト-クン)の潜在的なリスクに関して、投資家に注意喚起する共同声明を発表しました。
仮想通貨からさらに距離を置く中国規制当局
これら3つの団体は共同声明で、NFTによる投機と証券化を排除するよう規制当局を促しました。またこれら団体は、ブロックチェーンと仮想通貨業界の革新を促進する目的でも、今回のリスク警告を発信しました。
NFTによる金融リスクを抑えて、潜在的な技術面でのアドバンテージを活用するために、中国の金融業界団体はNFT分野における新たな基準を発表しました。それによると、NFTは基本的に債権や保険、有価証券、貴金属および他の金融資産を含むべきではない、さらに国内の投資家や開発者、トレーダーは、NFTトランザクションの値付けと決済にビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)を使うべきではないということです。
また各プラットフォームは実名での承認を行い、反マネーロンダリング基準に従うべきとしている。これらに適合しない組織や企業は、NFTでの投資やその他の金融サポートをするべきではないことも付け加えられています。
その他に提示された規約には、中央集権的なトランザクションを提供しないことと、トークンの代替不可能性を弱めることを回避しないというルールも含まれています。
さらに3組織は「我々は消費者に対して適切な消費コンセプトを確立し、自己防衛の意識を高め、意図的にNFT投機を拒絶し、非合法的なNFTの金融活動を注意深く見極め、かれらの資産を安全に保護することを訴える」との共同声明を発表しました。また「もしも非合法的な活動を見つけたら、迅速に管轄する省庁に報告すべきだ」とも付け加えています。
NFTのリスク警告への異なった反応
中国の規制当局は仮想通貨投資に関して警告を発し、関係機関に対してはデジタル資産に関わる現行の規制基準に従うことを求めています。
2017年には中国政府が、仮想通貨取引所に対してサービスの提供を禁止しています。しかし多くの消費者は、2021年に中国人民銀行が非合法的な仮想通貨取引を取り締まるまで、各地の銀行口座を使って仮想通貨取引をすることができました。
中国はすでにICO(新規仮想通貨公開)と仮想通貨取引、そしてマイニングを禁止しています。NFTが現実的な金融商品となる可能性があるため、中国は世界で進行しているWeb3の動きからさらに遠ざかっていくかもしれません。Web3は今や、仮想通貨トークンを基盤に分散型インターネットを構築するための重要な舞台になっています。
仮想通貨に対する嫌悪感を抱きつつも中国政府は、インターネット経済の発展にとってブロックチェーンこそが中心的な基盤だと考えています。中国証券監督管理委員会の役員も、将来的にはWeb3がインターネットの主役になることを認め、プライバシー保護のようなWeb2時代の問題は、Web3が解決するだろうとも述べています。
対応が分かれる中国のトップ企業
冒頭で紹介した3つの金融業界団体によると、NFTには経済を根本から不安定にするリスクを含んでいることから、NFTを使った投機とマネーロンダリング、その他の非合法的な金融取引に対しても警告を発しています。
しかし彼らもNFTのポテンシャルは認めており、中国のデジタルと創造的な経済を促進すると考えています。例えばWeb3が、アーティストに作品を仕上げる能力を提供できることなどです。
その反面、ウィーチャット(WeChat)などのソーシャルメディア・プラットフォームは、2022年になってNFT関連のプラットフォームを停止してしまいました。
ただし中国のすべてのトップ企業が、政府の指示に動揺しているわけではありません。アリババ(Alibaba)グループは、2021年8月にNFTのマーケットプレイスをローンチしました。さらにビリビリ(Bilibili)とテンセント(Tencent)も、クリエイターがコンテンツを作成から販売できる、許認可済みのブロックチェーン・システムを開発しています。
参考
・Chinese regulators target NFTs in the latest risk notice
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