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- 1 金融庁、2026年夏に「暗号資産・ステーブルコイン課」新設へ──8年ぶり大規模組織再編の全容
金融庁、2026年夏に「暗号資産・ステーブルコイン課」新設へ──8年ぶり大規模組織再編の全容
参事官から課長へ昇格、専門部署として体制強化
金融庁は2026年1月26日、広報誌「アクセスFSA」において2026年夏に実施する組織再編の概要を公表した。この再編計画では、暗号資産およびステーブルコインを所管する専門部署「暗号資産・ステーブルコイン課」の新設が明記されている。
具体的には、2025年7月に新設された「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官」(課長級)を「課長」へと名称変更する形式で、正式な「課」として昇格させる。これにより資金決済課などと並び、暗号資産分野を専門的に所管する体制が整備される。
8年ぶりの大規模再編「ダブル監督局」体制へ
今回の組織再編は、2018年の検査局廃止以来8年ぶりの大規模再編となる。
新体制の概要
| 現行 | 再編後 |
|---|---|
| 総合政策局 | 資産運用・保険監督局(新設) |
| 監督局 | 銀行・証券監督局(改称) |
資産運用・保険監督局には、以下の機能が集約される:
- 暗号資産交換業・ステーブルコイン(電子決済手段)取引業の監督
- 資産運用業の監督・高度化
- 保険会社の監督(監督局から移管)
- フィンテック・イノベーション推進
銀行・証券監督局は、従来の監督局を再編し、銀行と証券の両業態を一体的に監督する。大手金融グループでは傘下の銀行・信託・証券会社の結びつきが強まっており、グループベースでの監督高度化を図る狙いがある。
官房機能の独立
総合政策局に属していた官房担当部門(総務課・秘書課・総合政策課)は独立し、金融庁直轄となる。統括ポストとして新設される「次長」は、他省庁でいう官房長に相当する局長級ポストとなる。
課名に「ステーブルコイン」を明記した意図
金融庁は2025年8月の機構定員要求の段階では「暗号資産・イノベーション課」の新設を要求していた。しかし今回の発表では、課名に「ステーブルコイン」が明記された。
この変更は、より具体的な所管領域を反映する形で調整が進んだものとみられる。
ステーブルコイン重視の背景
3メガバンクの共同発行支援
金融庁は2025年11月、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行によるステーブルコイン共同発行の実証実験を支援すると発表した。この動きは、組織体制の専門化を裏付けるものだ。
法整備の進展
2025年6月には改正資金決済法が成立。ステーブルコイン(電子決済手段)の仲介業創設など、規制の本格整備が進んでいる。2026年内の施行を予定しており、専門部署による監督体制の整備は急務だった。
国際的な動向
米国ではステーブルコイン規制法案(GENIUS法)が成立。EUのMiCA(暗号資産市場規制)も施行されており、日本も国際的な規制整備の流れに対応する必要がある。
初代課長には今泉宣親氏が有力
現在「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官」を務める今泉宣親氏が、新設される「暗号資産・ステーブルコイン課」の初代課長に就任する可能性が高いとみられている。
今泉氏の経歴
今泉氏は2003年に金融庁入庁。市場企画室長、資産運用改革室長などを歴任し、資産運用立国の取り組みを通じた金融行政改革の中核を担ってきた人物だ。2025年7月、新設された「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官」に初代参事官として就任した。
今泉氏が語るミッション
今泉氏は就任時のインタビューで、自らの役割について以下のように語っている。
「暗号資産交換業者やステーブルコインの取り扱い業者などの監督・検査と、デジタル技術を活用したイノベーションの推進という、二つを兼ねています」
「特に暗号資産については米国でも制度面の議論が進んでおり、日本では資金決済法をベースにしていた監督のあり方を、市場規制の観点も含めて見直す動きがあります。こうした制度が動いていくフェーズにおいて、利用者の保護の確保とイノベーション推進をどのように両立させていくのかという課題に対応することが、私の大事なミッションと認識しています」
再編の背景:監督対象の急増
監督対象は激増している
金融庁発足後、監督対象は急増している。
- 資金移動業者
- 暗号資産交換業者(2017年登録制開始)
- 電子決済手段等取引業者(ステーブルコイン、2023年施行)
- 電子決済等代行業者
- 流通・携帯キャリア系銀行
- ネット銀行
現在、監督局と総合政策局の監督部門には約700人の職員がおり、霞が関の省庁でも屈指の大所帯となっている。
伊藤長官の説明
金融庁の伊藤豊長官は、組織再編の狙いについて以下のように説明している。
「局長があまりに多忙となり、(意思決定の)スピードに支障が出てはいけないので、二つに分けるということだ」
5つの「室」が「課」に昇格
今回の再編では、「暗号資産・ステーブルコイン課」を含む5つの室が課に昇格する。
内閣人事局からは「前例がない」と称された異例の体制強化となる。霞が関では通常、新しい組織を増やす場合は既存の組織を取り壊す「スクラップ・アンド・ビルド」が原則だが、今回はそれを覆す形となった。
昇格する部署
| 現行(室) | 再編後(課) |
|---|---|
| 暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官 | 暗号資産・ステーブルコイン課 |
| (その他4部署) | (課へ昇格) |
暗号資産規制改革の全体像
今回の組織再編は、日本の暗号資産規制改革の一環として位置づけられる。
制度改革のタイムライン
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年7月 | 暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官 新設 |
| 2025年8月 | 金融庁、組織再編を政府に要求 |
| 2025年11月 | 3メガバンクのステーブルコイン共同発行支援を発表 |
| 2025年12月 | 2026年度税制改正大綱で暗号資産の分離課税方針明記 |
| 2026年夏 | 「暗号資産・ステーブルコイン課」新設、組織再編実施 |
| 2027年〜 | 金商法改正施行、分離課税適用開始 |
| 2028年1月 | 暗号資産の申告分離課税(約20%)適用開始 |
金商法への移行
金融庁は現在、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法(金商法)の対象に移行する検討を進めている。金商法に移行すれば、以下の変化が期待される:
- 税制:総合課税(最大55%)→ 申告分離課税(約20%)
- ETF:ビットコインETFの組成が可能に
- 規制:インサイダー取引規制、情報開示義務の明確化
今泉参事官はこの変化について、「機関投資家や個人の資産運用のポートフォリオの一部に、暗号資産がオルタナティブ投資の一環として組み入れられるケースが出てくることも考えられる」と述べている。
業界の反応
Web3改革への「本気度」
専門ポストの新設、さらに課への昇格は、政府のWeb3改革に向けた「本気度」を示すものとして業界から歓迎されている。
日本ブロックチェーン協会(JBA)代表理事の加納裕三氏(bitFlyer CEO)は、制度改革について「ETFに20%の分離課税が導入される一方で、現物取引が総合課税のままであれば、市場に歪みが生じ、現物資産の流動性に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘しており、包括的な制度整備を求めている。
自民党議連の支援
2025年8月、自民党の資産運用立国議員連盟(岸田文雄会長)は、金融庁の組織改編を支援する姿勢を示した。与党からの後押しも、今回の再編実現を後押しした要因とみられる。
今後の注目ポイント
課名の最終確定
今回発表された「暗号資産・ステーブルコイン課」という名称は、今後予定されている関係政令の改正を経て最終的に確定する。名称が変更される可能性もある。
人事
初代課長に今泉氏が就任するかどうかは、2026年夏の人事異動で明らかになる。
金商法改正の進展
2026年通常国会での金商法改正案の審議状況も注目される。法改正が実現すれば、新設される「暗号資産・ステーブルコイン課」が中心となって制度運用を担うことになる。
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まとめ
金融庁が2026年夏に「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設することは、日本の暗号資産行政にとって大きな転換点となる。
本記事のポイント:
- 2026年夏に「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設
- 現在の参事官(課長級)を課長に昇格する形式
- 8年ぶりの大規模再編で「ダブル監督局」体制へ
- 総合政策局 → 資産運用・保険監督局、監督局 → 銀行・証券監督局
- 課名に「ステーブルコイン」を明記(当初要求は「イノベーション課」)
- 初代課長には今泉宣親氏が有力
- 5つの室が課に昇格する「前例のない」体制強化
暗号資産の金商法移行、分離課税の導入、ビットコインETFの組成など、日本の暗号資産規制は大きな変革期を迎えている。専門部署の設置は、これらの改革を推進するための体制整備として重要な意味を持つ。
関連情報
金融庁組織再編スケジュール
- 2026年7月:新組織体制の始動予定
- 「資産運用・保険監督局」「銀行・証券監督局」の2局体制へ
- 「暗号資産・ステーブルコイン課」新設
暗号資産規制関連の主要法改正
| 法律 | 施行時期 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 改正資金決済法 | 2026年内 | 仲介業創設、国内保有命令 |
| 改正金商法 | 2027年予定 | 暗号資産の金商法移行 |
| 税制改正 | 2028年1月 | 分離課税(約20%)適用開始 |
※本記事は2026年1月27日時点の情報に基づいています。組織名称は政令改正を経て最終確定します。
