BITPoint(ビットポイント)の小田社長に聞いた、仮想通貨の現状とこれから

仮想通貨交換所のBITPoint(ビットポイント)代表取締役社長を務める小田玄紀氏に、仮想通貨の現状と今後について聞いた。

5時半に起床し毎朝続けるルーティンとは?

コインチョイス編集部(以下、編):まずは小田社長のことについてお聞きしたいと思います。東京大学を卒業されていますが、東大を目指すきっかけなどあったのでしょうか?
小田玄紀氏(以下、小田):嫌みに聞こえるかもしれませんが、特に深い理由もなく大学は東大しかないと思っていました(笑)。ただ実は1度受験に失敗して、大学に採点が間違っていますよとクレームを言いにいったこともあったんですよ。その時は、「ちゃんと採点しているので来年も頑張ってください」という返答をもらい、1年間浪人することになりました。

編:休日はどのように過ごされているのでしょうか?
小田:学生の時に起業したこともあり、はっきりとした平日と休日の区別がない感覚ですね。最近ですと、ビットポイントの関連も含めて1年の半分ぐらいを海外で過ごしています。休日がどうという感覚があまりありませんね。ただ子どもがいるので、家庭での時間も大切にしています。

編:どの国に行くことが多いですか?
小田:ビットポイントが韓国と香港、台湾、シンガポール、マレーシアで事業展開しているのでアジア圏が多かったです。ここ最近ですと、アメリカやヨーロッパが増えていますね。

編:日々のルーティンや意識してやっていることはありますか?
小田:朝5時半に起きて、ジムに寄ってから会社に行くようにしています。健康管理は一番大切だと考えていて、この習慣は徹底していて2年間ぐらい続けています。トレーニングメニューは毎朝バイクでのエクササイズを1時間ほど行っています。

あとアルコールは飲まないんですが、甘いものが好きで週に10個はケーキを食べますね。打ち合わせだと大体、みなさんコーヒーを飲むと思いますが、僕だけパフェを頼んだりするんですよ(笑)。

小田社長ポートレイト0

BITPoint(ビットポイント)の強みとは?

編:カスタマーサービスを行っている仮想通貨交換所はあまりないように思いますが、1日にどれほどの問い合わせがくるのでしょうか?
小田:100件以上、200件を超える日もあります。当社のサービスに関係する問い合わせが多いですが、なかには電話番号を公表していない同業他者も多いので、他社の電話番号を教えて欲しいといった電話もきたりします。そういったこともあり、仮想通貨交換所の総合フリーダイヤルになっているような気もします(笑)。

編:電話対応で他社のことを説明しなければいけないことはデメリットでもあると思うのですが、それでもやる理由はどのようなところにあるのでしょうか?
小田:お客様の具体的な要望を聞けるのが大きいと思います。例えば、画面をこういう風に変えて欲しいといったようなお客様の本音が大切だと思います。そういったお客様からの意見を毎週の経営会議で共有しているので、結果的にやってよかったと思っています。

編:利用者が気になる点としてセキュリティがあると思うのですが、ビットポイントではセキュリティにかなり力を入れていて、社員の7割がセキュリティ関係に関わっているというのをお聞きしたのですが。
小田:大半の社員が管理とセキュリティ関係で、残りはマーケティングや広報ですね。

編:利用者のなかには大口投資家もいれば初心者の方もいると思うのですが、両者に対するサービスのアピールポイントの違いはどういったところにあるのでしょうか?
小田:大口投資家については、相対取引(OTC)デスクを持っていて、まとまった大口の注文、例えば「1000BTCを買いたい」、「3000BTCを売りたい」といった大さまざまな注文を受けて、海外の交換所とかにOTCデスクをつなぐということもあります。

初心者については、サービスの操作方法や質問にお答えするカスタマーサービスや簡単に売り買いできるアプリのBITPoint Lite(ビットポイントライト)が初心者の方に喜ばれるサービスだと思っています。

BITPoint Lite イメージ

仮想通貨業界の今とこれから

編:小田社長が注目しているサービスはありますか?
小田:個人的にはステーブルコインに可能性があると思っています。当社でも取り扱いを検討している段階です。

編:海外の動向で気になることは?
小田:さまざまな国で出てくる仮想通貨に関連する法律については気にかけていますね。あとアメリカで来年中にはビットコインの位置付け、イーサリアムの位置付け、それ以外のトークンの位置付けも決まってくると思っていて注目しています。さまざまな国の仮想通貨関連の法律から日本の法規制も変わってくると思っています。

編:厳しすぎるという声もある日本の規制に対してはどうお考えでしょうか?
小田:流出騒動もあり、規制を強化するというのは仕方がないことだと思います。規制を一定以上強化して、実際に取り組んだ上で、はじめて健全な仮想通貨市場になるのではないかと思います。

編:他社の流出騒動のニュースを聞いた時はどういうことを考えるのでしょうか?
小田:やはり世間の目が厳しくなるなと思います。今回の70億円ハッキングの件では、仮想通貨市場はそこまで影響を受けなかったという印象でした。NEM流出騒動の時は、多くの方が大問題だと思ったのですが、今回は価格が一回下がってすぐに戻ってたので、利用者の方も冷静になっているんじゃないかなと思います。

小田社長ポートレイト1

編:一般利用者にとって現状の仮想通貨は普段の決済手段として使えるものではないと思います。今後変化していくのでしょうか?
小田:2020年ぐらいには変わってくるのではないかと思っています。さまざまなウォレットサービスも始まり、日本でもQRコード決済は普及しつつあると思います。このようなインフラの整備に便乗することで仮想通貨での決済も簡単になるので、それほど遠くない未来に決算手段として仮想通貨の流れがくると考えています。

編:証券(Security)トークンを発行することによって、資金を調達するSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)についてどのような点に期待していますか?
小田:個人的にはSTOの流れがくるのではないかと思っています。今年の3月ぐらいまでアメリカでは、セキュリティトークンの上場ができないから、ユーティリティトークンに寄せていたところがあったんですよね。

個人的にそれは間違いだと思っていて、セキュリティトークンが無理だから、無理やりユーティリティトークンにするとどうしても矛盾が出てきてしまいます。今はセキュリティトークンの方がいいという流れになっていていますが、仮想通貨にしても基本的には金融商品取引業者水準のセキュリティと管理態勢で管理を行い、上場していいトークンなのかを判断していくべきだと思います。

編:ICOやSTOに投資する際に注意することは?
小田:一概には言えませんが、地合いがあまりにも悪い場合は、投資はしない方がいいと思います。機関投資家や有識者でないとなかなか難しいのではないでしょうか。

編:ICO(イニシャル・コイン・オファリング)については?
小田:個人的にはICOについては日本でルールを作っていくべきだと思っています。現在は、日本の企業が海外にいってICOを行い、日本人が購入して価格が下がったら、金融庁にクレームがいくという状況になっています。日本でICOに関する明確なルールを作った上で、日本の企業も挑戦してみることが重要かなと思います。

またICOに関して、販売するトークンに問題がないか、発行体がしっかりしているかどうかといった管理や監督の責任を仮想通貨交換業者が負っていくべきだとも考えています。また仮想通貨交換業者がブロックチェーンを構築できることが重要だと思います。当社でも、自分たちで設計できるような体制を作っていて、交換所が裏側でサポートできないとダメだと考えています。仮想通貨交換業者はトークン設計もできることが重要だと思っています。

BITPoint(ビットポイント)の今後の展望とは?

編:仮想通貨に対してどういったお考えをお持ちですか?
小田:正直に言いますと仮想通貨にそこまで興味はないですね。今ある仮想通貨交換業者の代表の中で一番詳しくないと思っています。というのも仮想通貨に詳しくなってしまうと、どうしても思い入れというのが出てきてしまうと思います。例えば、とある通貨が嫌いだから扱わないとか、それぞれの派閥などがあるなど。

大切なのはユーザー目線で、買いたい人がいるかどうかだと思います。なので思い入れやこだわりは持たない方がいいという意味で仮想通貨に興味を持ってはいけないと考えています。

編:今後の展望をお聞かせください
小田:まずは、一刻も早く皆様の信頼回復へ向けて、業務改善命令に対しての計画をPDCAサイクルでしっかりと進めていく予定です。まずは、基盤固めに専心です。

今後はアルトコインを増やしていくことですかね。海外で扱っている主要なトークンの取り扱いも考えていきたいですね。

小田社長ポートレイト2

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