こんにちは、ビールです。急成長を遂げた注目の海外取引所「バイナンス(BINANCE)」のCEOであるCZ氏にお話しをうかがうインタビューシリーズの第2回目です。
ビール(以下、ビ):バイナンスは昨年の夏にICOを実施してから一気に急成長して、さらにブロックチェーンの開発も視野にいれていらっしゃるのですね。他の取引所に比べてもすべてが驚くべきスピードで進んでいるのですが、バイナンスがここまで急速にに成長した理由は一体何なのでしょうか?
Zao氏(以下、CZ):正直言うと、自分自身でもこんな風になるとは想像しておらず、少なくとも2~3年は辛抱強く頑張らないといけないと思っていましたし、そのつもりでした。
ICO実施から一気に拡大した理由は
CZ: 一言で言うと、非常にラッキーだったと思います。私自身、これまで20年以上取引所運営関わってきていますし、CTOもモルガンスタンレー等の金融機関で経験を積んでおり、チームに非常に恵まれていました。プロダクトの面では最初からマッチングエンジンをもっていましたし、私やパートナーも業界の中で活動期間が長かったので、基本的な信頼はスタート時からあったと思います。
タイミングもよかったですね。ICOが非常に盛り上がっているタイミングで実施して、数か月遅かったら中国でICO禁止といった状況でしたので。中国の外で会社設立していたので、それもよかったです。
最初の頃はずっと目立たないようにしていたのですが、それでも中国での規制が実施された際にはダメージを受けました。
ただ、周りよりも浅いダメージで済んだのが幸いでした。バイナンスはすぐに立ち上がることができましたが、周りを見回すとみんなまだ地面に突っ伏しているような状態でした。
なので、ユーザーがたくさん来てくれたのです。最初は悪いニュースでしたが、長い目で見ると自分たちにとってもは少し有利な状況になったと思います。
あと、一つの国にフォーカスする取引所が多い中、私達はとても国際的です。
ビ:翻訳も早いですよね。
CZ:翻訳については正直改善が必要だと思っていますがね(苦笑)。私は中国、カナダ、アメリカ、香港にそれぞれ5年くらい住んだことがあります。この小さなオフィス(取材時は日本のオフィスを訪問)の中でもチームのメンバーが話せる言語を数えると全部で19か国語くらいあります。
うまくいくには様々な要素が絡み合っていますが、いろんな面で恵まれていました。
ビ:ちなみにバイナンスは日本人コミュニティの間でもかなり話題になっていますが、日本国内の規制などの観点からはどういった状況なのでしょうか?
CZ: Binance.comはまだ日本で業者登録ができていないので、日本円は取り扱いませんし、日本の銀行口座にも対応していません。Binance.jpを立ち上げて登録できるように準備をしているところです。
ビ:あと、バイナンスはアフィリエイトの報酬がすごく良いらしく、紹介プログラムでの利用も急速に広がっていますよね。
CZ:はい、バイナンスは取引量も多くなっており、スタートアップとしてはかなり利益が出ています。アフィリエイトの報酬は将来下げる可能性はありますが、現在は収益の50%がコミッションとして入る仕組みになっています。まだスタートアップの初期のステージなので多くのひとに使ってもらえるようにしたいと思います。
バイナンスのエンジェルとは?
ビ:あと、エンジェルと呼ばれる人たちがいるというのも聞いたのですが、彼らは何をする人たちなのでしょうか?
CZ:バイナンスでは取引所の手助けをしてくれるボランティアを募集し、このボランティアの人たちをエンジェルと呼んでいます。およそ100人のエンジェルがいて、お金を払ってはいませんが、重要な役割を任せています。
例えば英語のテレグラムには約2万人ものユーザーがいますが、3人のエンジェルがモデレーターとなっており、汚い言葉を使ったりすると彼らが注意したりします。Redditにもエンジェルがいますし、現地でのイベントを実施する際もエンジェルが協力してくれます。
ビ:ボランティアで取引所をサポートしてくれるなんてすごいですね。本当に無報酬なんですか?
CZ: 時々バイナンスロゴの入ったTシャツやマグカップなどをプレゼントすることはあります。ただ、エンジェルのほとんどが良いプロジェクトに関わりたいという気持ちで力を貸してくれていいます。中にはエンジェルとしてバイナンスに関わり始めた人に社員としてのポジションをオファーするケースもありました。
また、バイナンスのプラットフォーム上でICOをホストすることもあるので、その際はエンジェル用に一部ICOトークンの特別購入枠を設けています。
ビ:なるほど。エンジェルたちはバイナンスICOに参加した時に手に入れた「BNBトークン」の価値を上げたいというモチベーションがあるのかなと思ってたのですが、いろいろやりがいのある仕組みになってるんですね。
CZ:確かに、エンジェルはみんなBNBトークンホルダーです。ただ、必ずしもICOの時から持っていたわけではないです。
例えばコインマーケットキャップに取引所の取引量などが表示されていますが、もし私とあなたとの間で1BTCの取引があったらその取引量はバイナンスでは1BTCとカウントしています。ですが、取引所によっては2BTC(売り1+買い1)とカウントしているのでランキング上でもバイナンスは不利になっているのではないかと知らせてくれました。
結局バイナンスでは取引量のカウント方法は変えていないのですが、エンジェルたちは細かいところまでバイナンスのことを見てくれていて、重要な存在ですね。
(※この取材は2017年12月末に行われたものです)