マティック・ネットワーク(Matic Network)に関する議論を行うフォーラムに6月18日、「EIP1559 on Polygon」というテーマについて投稿されました。EIP1559とはイーサリアム(Ethereum)の次のアップデートで行われる重要な変更の一つで、トランザクション手数料のモデルの変更を伴うものです。イーサリアムのエコシステムを拡張するポリゴンがどのようにこの変更に対応しようとしているのか、提案内容のレビューと共に解説します。
EIP1559の概要
これからロンドンハードフォークがイーサリアム上で行われますが、EIP-1559 はその中の主要な変更点の一つです。EIP-1559では、トランザクションの価格メカニズムを変更し、ブロックごとに一定の手数料をバーンするようにしようとしています。また、一時的な混雑に対処するために、ブロックサイズを動的に変更することも目的としています。
EIP-1559では、トランザクション料金はベースフィー(基本手数料)とプライオリティフィー(優先料金)に分かれています。ベースフィーは、直近のブロックに基づいて自動的に調整され、バーンされます。優先手数料やチップは採掘者に与えられます。イーサがバーンされると、残ったETHの価値は高まります。
ポリゴンは、イーサリアムのネットワークとツールに準拠するために、これらの変更に対応する予定です。
ポリゴン(Polygon)でのEIP1559に関する提案
ETHは発行量の上限が設定されておらず、一定量以上発行されたあとも少しずつ発行され続けます。
しかしMATICトークンは発行上限が決まっており、ETHと同じようにMATICをバーンするとなるといつかは流通量がゼロになってしまいます。そのため、すぐに手数料分をバーンしない(バーンするかどうかは後でDAOで決めることもできる)形でEIP1559を実装し、手数料の変動に対応することを目指します。
ベースフィーをバーンする代わりに、DAOによって管理される新しいコントラクトアカウントに移すことが提案されており、コントラクトアカウントに移された額をどうするかの使い道はコミュニティが決めることができます。
イーサリアムでバーンが受け入れられている理由は、基本的により多くの収益を得るために取引手数料を高くしたいマイナーの動機を排除できるからです。手数料がバーンされることで、マイナーが手数料価格をつり上げるインセンティブがなくなり、さらにバーンによって保有資産の価値を上げることができるので、トークン保有者は利益を確実に享受することができます。
一方、バーンではなく将来のマイナーに手数料を分配するパターンも考えられます。すべてのトークン保有者にとってトークンの価値を高めるものではありませんが、マイナー/バリデーターが取引手数料を人為的に上げるインセンティブを取り除きます。特に、この方法を取る場合次の点に効果が期待できます。
- 短期的な収益を重視するバリデーターは、キャパシティを最大限に使う
- 基本料金が需要よりも過度に低くならないという仮定のもとで、この戦略はユーザーにとって最適な戦略である
- ユーザーとバリデータ間のチェーン外での結託を防ぐ
コントラクトへの入金案は、DAOを通じて資金をネットワークの改善と維持に費やすことができ、すべてのバリデータにとってより良い長期的な利益をもたらすことができると提案では主張されています。
現時点ではあくまでも提案であり、フォーラムではバーンを推す声なども見受けられます、これから改善案や代替案があるかについては議論が進められていますが、どのような対応が取られるのか、特にMaticユーザーやホルダーにとっては重要なトピックとなりそうです。
参考
・EIP-1559 on Polygon