アメリカの暗号資産(仮想通貨)マイニング大手のコア・サイエンティフィック(Core Scientific)社は、2022年12月21日に破産申請を行いましたが、現在復興を目指して事業再建に取り組んでいます。
再建型破綻手続きのプロセス
コア・サイエンティフィック社が米連邦破産法11条(チャプター11)を申請したことにより、同社は破綻保護を求めて再建手続きを進めることになりました。仮想通貨の冬が訪れ、業界全体が困難に立ち向かう中でのこの動きは、業界内の多くの企業に大きなインパクトを与えました。
コア・サイエンティフィック社は、破綻保護を求める決断を下したことにより、困難な市場の状況を切り抜けるために、包括的な事業再建計画を経営戦略に加えたことになります。さまざまな選択肢を検討し、株主との広範な話し合いの中で、再建支援契約(RSA)の実行を可能にするべく、同社は破綻保護の申請を選択したのです。
現在同社は、財政面での困難を円滑に処理することと、再建プロセスを経て早期の経営立て直しを図ることを目指しています。その意図を明確に示すため、南部テキサス地区破綻法廷において、破綻コードチャプター11の自発的申し立てを行いました。
同様の手段を検討中の仮想通貨関連企業は増えていますが、コア・サイエンティフィック社の決断は、仮想通貨の冬の時代で、財政面での状況打破を図る包括的な再建計画に対する、同社のなみなみならぬ決意を表すものです。
事業再建計画の詳細と現状
円滑な事業再建に向けてコア・サイエンティフィック社は、チャプター11のもとで組織再編を進めるために自発的申し立てを行いました。10億ドル(約1,420億円)から100億ドル(約1兆4,200億円)と見積もられる負債総額と、数多くの債権者を抱える中で、今後はスムーズな再建プロセスの実行を目指します。
チャプター11のプロセスにおいて、コア・サイエンティフィック社は揺るぎない態勢で、自社マイニングとホスティング事業を進めており、前向きなキャッシュフローをアピールしています。また再建プロセス進行中でも、継続的なホスティング・サービスとマイニング能力を提供するため、最先端のデータ・センターに注力する意思も示しています。
マイニング事業の今後>
2022年のコア・サイエンティフィック社による破産申請は、取引所FTXの破綻に端を発するものでした。ビットコインのマイナーは多大な損害を被り、セルシウス・マイニング(Celsius Mining)やコンピュート・ノース(Compute North)などを含む複数のマイニング企業が破綻に追い込まれました。しかし市場が回復し、ビットコイン価格が30,000ドルを超えるようになり、マイナーへの向かい風は弱まりつつあるようです。
価格が回復したことにより、コア・サイエンティフィック社はマイニング活動が高まったことを報告しています。それによって、負債問題の解決にも弾みがついているようです。同社の5月のマイニング量は前月比で16%上昇し、1,314BTCに達しました。
一方で同社の株式は、直近2年で多額の損失を出しています。2021年に上場した時には、株価は15ドル(約2,130円)の最高値を記録し、企業価値は40億ドル(約5,670億円)と見積もられていました。
しかし、現在の株価は0.4455ドル(約63円)、企業価値は7,000万ドル(約99億3,000万円)と見積もられるほどに縮小しています。
参考
・Bitcoin Miner Core Scientific Files for Chapter 11, Seeks Restructuring Amid Crypto Winter
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