
米国証券取引委員会(SEC)がイーサリアム(ETH)のステーキングや関連するライド(Lido)の流動性ステーキングサービス、仮想通貨取引所が提供するステーキングなどは「未登録の証券ではなく、投資契約に該当しない」と明示した文章を発表。これによりイーサリアムETF最大手のブラックロックやフィデリティなどがイーサリアムステーキングETFを提供する可能性が高まっている。
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米SEC「ステーキングは投資契約ではない」
米国証券取引委員会(SEC)は日本時間30日早朝、イーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)における一定のステーキング及びその報酬、関連サービスやプロトコルが1933年証券取引法において「未登録の証券」に該当しないことを明示した文章を発表した。
ステーキングは全ての参加者同意して従う「コンセンサスアルゴリズム」においてプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用している仮想通貨において、ETHなどのネィティブトークンをステーキングし、バリデータ報酬を直接得るか、委託またはスマートコントラクトなどを介して行うことを指す。
ETH超速報:米国証券取引委員会(SEC)はイーサリアムなどのステーキングと報酬、LidoなどのLST/ソラナなどのDPoSにハウィーテスト(Howey Test)を行ったところ、投資契約に該当せず、1933年証券法における未登録の証券にはならないと発表。… https://t.co/xHfbMf7cMh pic.twitter.com/dhnb8NZkro
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) May 29, 2025
ハウィーテストとステーキングの評価
SECは証券性を評価するいわゆる「ハウィーテスト(Howey Test)」からステーキングが「投資契約」に当たるかを評価したところ同規制当局に証券として登録する必要がないということを明示している。この理由としてステーキング報酬を得るという行為はネットワークに参加して自身が役割を果たすことへの対価が前提となっており、「他者の努力」に該当するためだ。
ここでは自己でノードを運用するソロステーキング、ライドに代表されるようなノードオペレーターを委託するサードパーティを活用したセルフカストディのステーキング、仮想通貨取引所などが提供しているステーキングサービスなどが該当し、全てのステーキングが対象となるわけではない。そのため大前提として企業などの許可が不要な「パーミッションレス(Permissionless)」でパブリックであり、コンセンサスの仕組みに参加できることが大前提となっている。
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ブラックロックのステーキングETFが実現目前か
イーサリアムETFの最大手ブラックロックは5月10日に米国証券取引委員会(SEC)の仮想通貨特別委員会と会談を行っており、イーサリアムのステーキングETFの実現の可能性を模索していた。
またナスダックに上場している米最大手仮想通貨取引所のコインベースはステーキング報酬を得られる流動性ステーキングトークンのcbETHをイーサリアム及び自社のベースチェーンにローンチしており、ステーキングにおける証券性の課題は仮想通貨全体に大きな影響を与えることがわかるだろう。
大きなリソースを確保しなければならないビットコインのマイニングのようなプルーフ・オブ・ワークはイーサリアムクラシックの攻撃などを経て衰退しており、新規ローンチされる仮想通貨の大半はステーキングをベースとしたコンセンサスを採用している。すなわち現在米国証券取引委員会(SEC)による審議待ちの仮想通貨ETFはどれもステーキングが前提となっており、これらの大きな承認課題をクリアしたとも言えるということだ。
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