仮想通貨最大手のバイナンス(Binance)とCEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)氏を提訴した米国証券取引委員会(SEC)は同社米法人の「バイナンスUS」の資産を凍結する一時的な保全命令の動議を申請した。SECはこの資産凍結はバイナンスUSの顧客の利益になると考えているという。
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SECがバイナンスUSの資産凍結へ
米国における仮想通貨の規制を行う米国証券取引委員会(SEC)は6日、仮想通貨取引所最大手のバイナンスとCEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)氏を証券取引法違反で提訴。次の動きとして実質的にチャンポン・ジャオ氏がコントロールしていたとされているバイナンスの米国法人、「BAM Trading Services Inc」と「BAM Management US Holdings Inc」が有する資産の一時凍結を求める動議を申請した。
SECによるとこのバイナンスUSの資産凍結を行うことで資産が米国における管轄外に散逸(消失)したり送金されたりすることを防ぐことを目的としており、顧客資産の安全性を確保することを目的としているという。このバイナンスUSの資産凍結を求める動議は裁判所に認可を受ける必要があり、現在は凍結を求めているという形となる。2023年6月7日5:46AM本記事を執筆時、バイナンスUS公式から仮想通貨の出金凍結などの発表はされていない。
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SECのバイナンスに対する思惑
またこの資産凍結が裁判所によって承認されれば被告(バイナンスUS及びCZ)が、関連記録の破棄や改ざん、隠蔽をすることも禁止されることになる。SECがバイナンス及びチャンポン・ジャオ氏を提訴する前段階のリークでバイナンスUSから使途不明金535億円を密かに同氏の100%保有するメリットピーク社に送金していたことがリーク報道されている。
バイナンスに対する訴状によるとチャンポン・ジャオ氏の有するバイナンスグループとの株式保有率が図式化されており、4つの法人を経て間接的にバイナンスUSが保有されていることが示されている。また訴状によると「実質的にチャンポン・ジャオ氏がバイナンスUSの経営を行っていた」としており、535億円が送金された当時のCEOはその送金の内容を把握しておらず、説明を受けなかったとされている。
大変興味深いバイナンスとCZの株式保有率がSEC訴状に掲載🤔バイナンスUSの535億円の使途不明金の送金先であったメリットピーク社も記載ありで、CPZ Holdings Limitedという法人をワンクッションおいてBAM Mangement→BAM Trading→Binance USという関係と#ビットコイン #仮想通貨 #Binance #BNB #BUSD pic.twitter.com/rUncLqBzll
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) June 5, 2023
このような使途不明金やチャンポン・ジャオ氏が実施的にバイナンスUSの経営を行っていたのかは送金記録によって精査することができるといえ、バイナンスUSユーザーの資産保護を行うと同時にバイナンス訴訟における大きな鍵となると考えられるだろう。
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バイナンスへの追求が加速
バイナンスは仮想通貨の「派生商品」、俗にいうデリバティブ取引提供を未登録で行ったとして米商品先物取引委員会(CFTC)により提訴されており、今回は疑わしかったバイナンスの度重なるリーク報道の裏付けを含む未登録の証券提供による米国証券取引委員会(SEC)の訴訟となっている。
証券及び先物の2大規制当局から訴訟されている一方、犯罪を主に取り締まる米司法省からの刑事訴訟はまだ行われていない。2022年にはバイナンスとチャンポン・ジャオ氏にマネーロンダリングの容疑がかかっているとする刑事告訴のリークがされていたものの、米司法省からのアクションはない状態となっている。だが今後SECとCFTCの追求が加速していく中で新たに証拠が出てきた場合、米司法省によるさらなる追求へとつながる可能性も高いだろう。
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