【墨汁速報】ビットコイン下落の背景にSECが仮想通貨最大手バイナンスとCZを証券取引法違反で提訴

仮想通貨取引所最大手のバイナンスとCEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)氏が米国証券取引委員会(SEC)に証券取引法違反で提訴された。バイナンスとCZ氏は2023年3月に既に米商品先物取引委員会(CFTC)によって「未登録の仮想通貨デリバティブ(派生商品)の提供」の疑いで提訴されていた。

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米国証券取引委員会(SEC)がバイナンスとCZを提訴

米国証券取引委員会(SEC)は日本時間6月5日深夜にバイナンスと同社のCEO、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)氏を「投資家と市場の保護を提供する連邦法を無視し、数十億ドルもの顧客資産を危険に晒した」として提訴。ビットコイン価格は約1%の下落を記録。

バイナンスに対する訴状によるとバイナンスグローバル(Binance.com)の法人であるバイナンス・ホールディングス社(Binance Holdings Limited)、米国法人である「バイナンスUS」のサービスを提供している「BAM Trading Services Inc」と「BAM Management US Holdings Inc」及びチャンポン・ジャオ氏を被告人としている。主な容疑としてはバイナンス及びバイナンスUSはチャンポン・ジャオ氏のリーダーシップ及びコントロールの下、取引所とブローカー・ディーラー及び清算機関という証券市場の機能を米国証券取引委員会(SEC)に未登録のまま提供したとしている。

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SECはBNBとBUSDを証券と定義

また米国証券取引委員会(SEC)はバイナンスがローンチした独自トークンであるBNB(バイナンスコイン)とBUSD(バイナンスUSD)を含む「仮想通貨を証券」と定義しており、レンディングにより金利を得ることができるバイナンスアーン(Binance Earn)やBNB金庫(BNB Vault)及びステーキングによる投資スキームをバイナンスUSBで未登録の証券として提供したとしている。

バイナンスは2018年から米国における証券登録を避け、さらにチャンポン・ジャオ氏のコントロールの下、米国方を回避するために複数のステッププランを講じたという。さらにバイナンスグローバルのCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)は「Binance.comが規制されることを臨んでいない」と認めたとされている。

CZがバイナンスの独立米法人を実質的支配か

バイナンスグローバル及びチャンポン・ジャオ氏が米国規制を逃れるために考えたプランの1つとして、バイナンスUSを独立した米法人として立ち上げることを計画、一方でチャンポン・ジャオ氏とバイナンスグローバルは2020年11月まで綿密にバイナンスUSの経営と仮想通貨サービス提供及び維持に関わっていたという。バイナンスUS(BAM Trading)の社員はチャンポン・ジャオ氏の支配を「足かせ」と読んでおり、社員が自由に動くことを制限させられたとしており当時のCEOは「チーム全体が操り人形のように感じた」と述べている。

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一方でバイナンスは「顧客資産を危険に晒したというのは間違いであり、実質的な支配だったということはない」と否定。一方でバイナンスUSからチャンポン・ジャオ氏が100%コントロールしていたメリットピーク社への535億円をバイナンスUSの当時のCEOが知らないところで送金していたというリーク報道があり、SECの訴状の社員への裏取りなどを考慮すると疑わしいと言える。バイナンスの主張では「SECの調査に積極的に協力してきたのに裏切られた」というようなニュアンスが含まれるが、規制当局が指摘している点は過去のサービス提供であり、なおかつ意図的に規制回避を目論でいたことを問題視しているため論点がずらされていると言えるだろう。

SECによるバイナンス提訴により、バイナンスコインの価格は約10%の下落となっている。

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