ソラナ(Solana)が進めるインターオペラビリティ戦略とは?

ソラナ(Solana)は、2020年にローンチしたブロックチェーンで、秒間5万トランザクションを実行できる点で期待されています。ソラナについて基礎的な情報はこちらの「ソラナ(Solana)とは?秒間5万トランザクションを処理できるブロックチェーン」で紹介しています。

ソラナとArweave(アーウィーブ)との提携

ソラナは8月にアーウィーブ(Arweave)との提携を発表しました。公式発表によるとソラナとArweaveは2つのブロックチェーンを繋ぐブリッジの開発者を、暗号通貨関連のクラウドソーシングが可能なプラットフォームGitcoin上で募集しました。15,000DAIの報酬が提示されたこのプロジェクトはユーザーID「theloneronin」によって完了されました。

Arweaveとの提携について、ソラナはブロックチェーンネットワークの運営において負担となり得るストレージの問題を挙げています。ブロックチェーンは最初のブロック(ジェネシスブロック)から始まり、すべてのデータが時系列で処理・検証される必要があるため、現在のブロックチェーンの状態(ステート)の正当性を検証するためには最初のブロックから最新のブロックまでのデータを保存し、いつでも過去のデータを照会できる状態にしておく必要があります。ブロックチェーンデータはブロックが生成されるごとに増大していくため、ソラナに限らずビットコインやイーサリアムでもいかに安価で分散性のあるストレージを確保し、ブロックチェーンネットワークの堅牢性を保つかは大きな課題となっています。

solanaとarweaveネットワーク

Arweaveはスケーラブルなデータストレージを提供するプロダクトで、Arweaveネットワークは持続可能で分散的な方法でストレージ機能を提供しており、a16zやコインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)、ユニオンスクエアベンチャーズ(Union Square Ventures)等から合計約22億円の資金調達を実施しています。

Gitcoinの要件では、「ソラナのストレージデータをArweaveで保存することを可能にすること」、「ソラナのjson RPCメソッドが利用できること」、「ストレージ利用のコストはAR建てで最小にする工夫がなされていること」等が挙げられており、納品物はGitHubのページから確認できます。

ソラナはCertus Oneと共にWarmholeというイーサリアムとのブリッジ機能も発表しており、このブリッジによってERC20トークンやSPLトークンの相互乗り入れが可能となりますが、ソラナは現在のメインストリームであるイーサリアム以外のブロックチェーンとのブリッジ機能も構築していく姿勢を見せています。

ソラナにとってのインターオペラビリティ戦略

ソラナのように高速で安価なブロックチェーンにとってインターオペラビリティは重要な意味を持ちます。これはFTX主導で開発されている分散型取引所DEX「セラム(Serum)」でトップの取引高がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)によってもたらされているように、ユーザーの需要はネイティブブロックチェーンでは遅くて高い動作をソラナのようなブロックチェーンで実行することに潜在的な需要があるためです。

処理速度に強みを持つ多くのブロックチェーンはまず最大のスマートコントラクトブロックチェーンであるイーサリアムとの互換性を持たせた上でイーサリアム上の資産を自前のブロックチェーンで流用できるようにしますが、ソラナはそこから一歩進んでイーサリアム以外のブロックチェーンとのインターオペラビリティを確保していくことで、周辺のブロックチェーンとの互恵関係を築き、自身のブロックチェーンをユーザーや開発者にとって魅力的なものにしていく構えを見せています。

イーサリアムはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行のほか、ブロックチェーン空間を分割するシャーディングの実装やレイヤー2での高速処理を計画しています。しかし、DeFi(分散型金融)のように多数のコントラクトが互いに通信し合うことで金融機能を実現しているプロダクトにおいては、空間が分割されることで相互通信が難しくなることが懸念されています。

ソラナであればシャーディングやレイヤー2を必要とせずに、一つの空間での高速処理が可能であるため、DeFiインフラとしての潜在的な需要を取り込む狙いもあると考えられます。

インターオペラビリティを確保した上で同様のエコシステムを築いている例としては他にCosmos SDKを使ったブロックチェーン群が挙げられます。COSMOS、Binance Chain、Kava Chain、IRIS Networkは共通の規格に基づいて構築されているためにインターオペラビリティが確保されています。バイナンス(Binance)のBNBをBinance ChainからKava Chainに送ったり、規格に沿うようにラップされたBTCBやXRPBのようなトークンをこれらのブロックチェーンで扱ったりすることが可能です。インターオペラビリティによって広く繋がり拡大していくブロックチェーンのエコシステムに今後も注目が集まります。

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