
テザーがドイツを抜き米国債保有19位に
世界最大のステーブルコイン発行企業テザーが、米国債保有額において重要な節目を迎えました。2025年第1四半期の最新レポートによると、テザーの米国債保有額が1,200億ドル超に達し、ドイツの1,114億ドルを上回りました。これにより、テザーは世界で第19位の米国債保有主体となっています。
このニュースは仮想通貨業界に大きな意味を持ちます。テザーが発行するUSDTは、市場価値の裏付けとして米国債を主要資産としており、これがステーブルコインの信頼性向上に寄与しています。米国債は世界で最も安全かつ流動性の高い投資対象とされており、テザーがこれを大量に保有することは、同社の財務基盤の強さを示すものと言えるでしょう。
揺れる市場でも安定した収益を実現
2025年第1四半期は仮想通貨市場にとって変動の激しい期間でしたが、テザーは伝統的資産からの投資で安定した収益を確保しています。同社の報告によれば、米国債や金といった伝統的投資から10億ドル超の利益を計上しました。
特筆すべきは、金への投資が仮想通貨市場のボラティリティによる損失を相殺する役割を果たしたことです。これはテザーの資産ポートフォリオの多様化戦略が功を奏していることを示しています。世界経済の不確実性が高まる中、テザーのこうした保守的な資産管理は、USDTの価値安定に貢献していると考えられます。
今後予想される市場への影響
テザーの米国債保有拡大は、仮想通貨市場全体に対して様々な影響を及ぼす可能性があります。まず、USDTの信頼性向上により、ステーブルコイン市場の安定性が高まり、仮想通貨取引の流動性が一段と向上すると予想されます。これにより、特にビットコインやイーサリアムなどの主要仮想通貨の価格変動が緩和される可能性があります。
また、テザーの資産運用戦略が成功を収めることで、他のステーブルコイン発行企業も同様のアプローチを採用する動きが加速し、業界全体の健全化につながるでしょう。金融機関や機関投資家からの仮想通貨市場への参入障壁も低下し、2025年後半から2026年にかけて機関投資家による投資が増加する見通しです。
ステーブルコイン規制の行方とテザーの今後
米国では現在、ステーブルコイン規制に関する2つの重要な法案が審議されています。「STABLE法案」は下院金融サービス委員会で可決され本会議での審議・採決を待っている一方、「GENIUS法案」は民主党議員の支持を得られず、審議が停滞しています。
これらの法案の行方は、テザーをはじめとするステーブルコイン発行企業の将来に大きな影響を与えるでしょう。規制の明確化が進めば、テザーのドル建てステーブルコインへの投資はさらに加速し、その一部がさらなる米国債購入に充てられる可能性があります。
一方で、米国政治の複雑な力学も無視できません。民主党の一部議員はトランプ大統領の親族がデジタル資産ビジネスに関与していることを理由に規制緩和に反対しており、これが法案審議の遅延要因となっています。
ステーブルコインの未来展望と日本の投資家にとっての意味
テザーの米国債保有拡大は、単なる一企業の投資戦略にとどまらない意味を持ちます。仮想通貨とトラディショナルファイナンスの境界が徐々に曖昧になる中、ステーブルコインは両者をつなぐ重要な橋渡し役となっています。
今後の展開としては、GENIUS法案が求めるような担保管理の基準策定やマネーロンダリング対策の強化が進むことで、ステーブルコイン全体の信頼性向上につながる可能性があります。また、国際金融システムにおけるステーブルコインの役割がさらに拡大し、従来の金融機関を補完する存在として定着することも予想されます。
特に注目すべきは、テザーの米国債保有拡大が円安に悩む日本の投資家にとってドル建て資産への分散投資の重要性を示唆している点です。現在、日本の投資家はテザー(USDT)を直接購入することはできませんが、国内の認可された暗号資産取引所を通じてビットコインなどの主要仮想通貨に投資することで、成長する仮想通貨エコシステムに参加することが可能です。
仮想通貨投資を始めるなら、まずは信頼できる取引所での口座開設から
テザーの米国債保有額増加のニュースは、仮想通貨市場の成熟と主流化を示す重要な兆候です。日本の投資家がこの成長市場に参加するには、金融庁に認可された国内取引所での口座開設が第一歩となります。
bitbank(ビットバンク)では、ビットコインをはじめとする主要仮想通貨の取引が可能で、初心者にも使いやすい取引環境を提供しています。現在は新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円がプレゼントされるキャンペーンも実施中です。
2025年後半の仮想通貨市場予測
テザーの米国債保有拡大を背景に、2025年後半から2026年にかけての仮想通貨市場では、いくつかの重要な傾向が予想されます。まず、ステーブルコインの信頼性向上に伴い、仮想通貨市場全体の安定性が増し、機関投資家の参入を促進するでしょう。
また、米国でのステーブルコイン規制が明確化されれば、規制の枠組み内で運営される大手企業の競争力が高まり、市場シェアの集中が進む可能性があります。これは長期的には業界全体の標準化と信頼性向上につながる一方で、小規模なステーブルコイン発行企業にとっては厳しい環境となるかもしれません。
さらに、テザーによる米国債や金への積極的な投資は、仮想通貨とトラディショナル資産の融合を加速させ、両者の相関性が高まる可能性があります。これにより、従来の金融商品と仮想通貨を組み合わせた新たな投資商品の開発が進み、一般投資家の参入障壁がさらに低下することも予想されます。
日本における仮想通貨市場も、こうした国際的な動向に影響を受けながら、さらなる成長と制度化が進むと見られています。特に金融庁による認可取引所の厳格な監督体制は、日本の仮想通貨市場の信頼性を国際的に高める要素となっています。