仮想通貨の闇、多くの人が知らないエアドロの問題点

どうも仮想通貨専業8年目の墨汁うまい(@bokujyuumai)です。仮想通貨(暗号資産)は知っていても、最近になって「エアドロップ」をよく耳にするようになったのではないでしょうか?本稿では最近何かと話題となるエアドロップにおける闇とも言える多くの人が知らない問題点についてわかりやすく解説を行います。

関連記事:【墨汁速報】715億円調達のイーサリアムzkEVM「zkSync」今週中にエアドロップ発表か=リーク

そもそも仮想通貨のエアドロップとは?

そもそも仮想通貨(暗号資産)のエアドロップとは正確にはどのようなものでしょうか?エアドロップとはその名前の通り、不特定多数のユーザーや既存ユーザー、潜在的ユーザーに対して新規発行/既存の仮想通貨を付与することを指します。

このエアドロップは実は歴史が古く、ビットコインを活用したブロックチェーン上でトークン発行をし、そのトークンを保有しているユーザーに対してエアドロップをするというのが2016年前には小さなコミュニティで行われていたのです。その後イーサリアムが台頭しはじめて2017年頃には高額な仮想通貨資産を保有するユーザーを対象に広告のようにトークンをエアドロップしはじめ、2020年には新規トークンを発行する際の手段へと変動していったのです。そこから2023年には「エアドロップファーミング」と呼ばれるようになり、意図的に高額エアドロップを狙う行動が確立されていったのです。一方でエアドロップは2020年からは分散したガバナンス(プラットフォームの管理)を目的としたコミュニティ形成に使用されるようになり、裏側ではVC(ベンチャーキャピタル)における間接的なキャピタル・インジェクション(資本注入)としてより高度な投資及び投機方法になったと言えるでしょう。

関連記事:【墨汁速報】335億円の資金調達ワームホール 推定最大300万円のエアドロップへ

仮想通貨エアドロップの闇?

一見ノーリスクで新規発行仮想通貨を手に入れられるように聞こえますが、エアドロップで資金を稼ごうと広く手を出すと痛い目を見ることがあります。それは日本の仮想通貨税制及び確定申告です。

エアドロップを広く狙おうとした場合、分散金融として知られるDeFi上での売買やイーサリアム上に展開する新たなブロックチェーンのL2やzkEVMなど、多くのコントラクトを使用するようになります。今ではイーサリアムエコシステムは巨大に膨れ上がり、大小合わせて3000を超えるブロックチェーンが展開されているのです。

これはよく見ればそれだけエアドロップの機会に恵まれるとも言える一方、複数のアカウントで複数のチェーンを使用してスワップなどを大量にした場合、「確定申告をするために売買したレートを計算、利益の確定を全て把握する必要がある」ということを示します。

 

例:エアドロップを狙って1ETHをUSDCに売却。ETH価格が変動していなくても円安で1円で20円上昇していることから、7.5万円の利益確定となる

出典:Uniswap - イーサリアム上での仮想通貨売買

 

例えば2023年はzkEVMと呼ばれる新たなL2ネットワークの黎明期となりましたが、大手のチェーンでも10チェーン以上は存在しています。これら10チェーンを4アカウントでエアドロップを狙って運用した場合、40種類のアカウントの売買履歴や送金手数料を計算しなければいけないということになるのです。特に注意が必要なのは「一見別のチェーンに送金するブリッジに見えて、事実上の売買に該当して課税イベントが発生する」などの場合です。

さらにこれらの税金計算を複雑にさせるのが、売買する流動性を提供する俗にいう「流動性マイニング」です。これらの流動性マイニングではポジションが預け入れ時より必ず変化するため、次々にエアドロップを狙った場合、予期せぬ課税が発生している可能性が高いということです。現在は2023年末から続く上昇トレンドにさらに急激な円安が追い打ちとなっており、これらの仮想通貨ポジション変化で課税イベントが発生する場合が多く、あまり知られていない仮想通貨エアドロップの闇であると言えるでしょう。

事実上把握は不可能?

例えば墨汁うまいの例でいうと、戦略的に高額のエアドロップを狙うために4つのアカウントで複数のイーサリアムL2やzkEVM、さらにはそれらに展開されるDeFiを使用してきました。最終的に合計利用チェーン及びアカウントが150アカウントとなり、個別の利用した履歴(トランザクション)が1000~6000件となったため、合計で約45万件の取引を精査する必要が出てしまったのです。

幸いにも売買は数百~数千件で済んだこと、トランザクション履歴からルールを作成して自動で仕訳データを作成するツールを作成したことでこれだけの取引を申告の期間内に対応することができました。ですがこれらにはそもそものDeFi自体の理解、取引履歴自体から何をしてきたかを読み取る能力が必要であり、複数のアカウントやブロックチェーンの履歴データを入手することさえも難しい場合があり、仮想通貨の前提知識がなければ事実上把握は不可能であるといえるでしょう。

 

出典:墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界 - DeFi/NFT自動仕訳ツールα版

 

高い収益には裏がある

エアドロップは100万円単位や多い時では1000万円の収益が一夜にして降ってくることがあり、その華やかな収益の裏には誰もが語らないリスクがあるのです。巨額のエアドロップを受け取っているということはそれに見合うだけの資金を運用しているということであり、確定申告を正しく行う必要があるのです。

また個人の場合は利益の確定した事実がその年度の確定申告となりますが、法人の場合は期末で保有している仮想通貨を全て時価評価して課税の計上をしなければいけません。現在ではデバンク(DeBank)などの複数のチェーン上の仮想通貨保有状況を簡単に知ることができるツールがあることから、保有している資産を把握することは簡単となってきているものの、エアドロップを狙って毎日取引を行うと後に地獄を見ることもあるでしょう。まさに誰もが語りたがらない仮想通貨エアドロップの闇と言えます。

 

コラム:仮想通貨(暗号資産)のエアドロップは詐欺や悪?ICOと比較して評価してみた

 

▼仮想通貨(暗号資産)のエアドロップ対策、仕組みや技術、規制の市場影響を勉強するなら「墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界」!他では見ることができないより詳しい内容を投資家向けにわかりやすく解説

墨汁バナー

墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界

 

おすすめの記事
【墨汁速報】米司法省とSEC「1200億円の仮想通貨トラブル」のブローカレッジ「ジェネシス」とDCGの調査開始
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】米司法省とSEC「1200億円の仮想通貨トラブル」のブローカレッジ「ジェネシス」とDCGの調査開始
ウィンクルボス兄弟のジェミニ(Gemini)と1200億円のトラブルを抱える仮想通貨ブローカレッジ最大手のジェネシス・トレーディング(Genesis Trading)と親会社のデジタル・カレンシー・グループ(DCG)は、米司法省と米証券取引委員会(SEC)から両社の資金関係の送金について密かに調査が開始されたという。
【墨汁速報】米Bitwise6800億円規模の「優良NFT」へ投資する「NFTインデックスファンド」をローンチ
仮想通貨ニュース
【墨汁速報】米Bitwise6800億円規模の「優良NFT」へ投資する「NFTインデックスファンド」をローンチ
仮想通貨インデックスファンドマネージャーの"Bitwise"は、イーサリアムで人気を博しているCryptoPunksなどのNFTを運用するインデックスファンド"Blue-Chip NFT Index Fund"をローンチ。投資家はこのNFTインデックスファンドを介してNFTへの投資を行うことができる。