世の中にはすでに多くのブロックチェーンステーブルコインが存在し、最近の分散型金融(DeFi)での需要が急増したと同時にまだまだ不便な面が多いことにも改めて気づかされました。
そんな中、今回はTerraUSDという複数のブロックチェーン上で流通する分散型ステーブルコインについて紹介します。先日ビットレックス・グローバル(Bittrex Global)がTerraUSD(UST)の取り扱いを発表し、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)をはじめとした主要なブロックチェーンにも流通させる計画が発表されています。
複数のチェーン上で流通するステーブルコイン
ステーブルコインは、分散型アプリケーションのための貴重な要素ですがイーサリアム以外のチェーンでステーブルコインを利用できるケースは非常に少ないです。そんな中で、DeFiのトレンドはイーサリアムのエコシステムの外にも広がっており、今後さまざまなブロックチェーン上で活発なアプリケーションが構築されることに期待が集まっています。
Terraは今後ブロックチェーン間のインターオペラビリティが実現していく中でさまざまなブロックチェーン上で使われるステーブルコインを提供したいという世界観を持っているプロジェクトで、今回のTerraUSDについては今後「ドロップシップ」というTerraのステーブルコインがTerraの独自ブロックチェーンから他のブロックチェーンに移行できるようにするための新しいブリッジングプロトコルが発表されます。そして、まずはTerraUSDをイーサリアムとソラナでも流通させ、人気のあるDeFiアプリやDEXに統合される構想があります。
Terraステーブルコインの実績
TerraUSDはまだまだこれからですが、韓国のウォン建て安定通貨であるTerraKRWはすでに韓国で積極的に利用されています。TerraのブログによるとTerraKRWを採用する決済ソリューションは取引手数料の低減(40~50%)と決済時間の短縮(アジア平均7日、Terraは6秒)を実現しています。
また、韓国やモンゴルでの決済利用の実績に加え、Terraのステーブルコインを使って利回りを得るDeFiプロダクト、アンカー(Anchor)も発表されています。
アンカーは、コスモス(Cosmos)とポルカドット(Polkadot)、Terraの3社が2020年7月に発表した新たなDeFiレンディングプロトコルで、利用者はPoSブロックチェーンのステーキング報酬を利用し、ステーブルコイン(Terra)預金の利回りを得ることができます。
このようにすでにアジアで実績があり、コスモスやポルカドットのような人気のプロジェクトとも連携しているTerraステーブルコインが、すでに広く活用されているイーサリアムや、低コストでスケーラビリティの高いソラナでも使えるようになることで、ユーザーにとてもアプリケーション開発者にとっても可能性が広がることが期待されます。