どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアム上の金融、通称「DeFi」は2018年頃のスタートからより一層白熱しており、運用に対する利回りが年利100%を超えるものがあり、イーサリアムネットワークは最大300倍に混雑するほど使用されています。
本稿では初心者向けに今イーサリアム上で何が起きているのか、異常な利回りやDeFiのこれまでの歴史について詳しく解説を行います。
イーサリアム上の金融"DeFi"の歴史
イーサリアム上の金融を非中央集権金融(Decentralised Finance)を略してDeFiと呼びます。このDeFiは2018年に始まり、イーサリアム上で1ドルをトークン化して発行されているステーブルコイン(USDCやDAIなど)が複数ローンチしたことで、DeFiの歴史は大きく変わることになりました。
その後2019年にはETHを担保にドルを発行したり、また他のトークンを借り入れしたりするレンディング(CompoundやMaker DAO)により、ETHまたはイーサリアム上のトークンで金利収入を得ることができるようになりました。また2020年にはこれらのDeFiプロジェクトの方式を投票できめる「ガバナンストークン」により、金利や運用とは別に収益を得ることができ、これらを「イールドファーミング」と呼び年利100%を超えるものも複数あります。
出典:墨汁マガジンVol.469「最近のイーサリアムDeFiの動向を理解する DeFiの歴史と事件から学ぶリスク」
DeFiの担保とレンディング
DeFiを大きく変えたのは、イーサリアム上で署名すると自動で執行してくれるプロジェクト「スマートコントラクト」でETHやイーサリアム上の資産を担保にしてドルの発行や借入ができることになった点でしょう。
この担保や借入により、ETHを保有したままさらにその資産を運用できることになり、よりハイレベルな投資戦略が可能となったのです。また借入たものをさらに担保にしてレバレッジをかけたりすることで、銀行などが行う既存金融がイーサリアム上に実現したということです。
また貸し付ける投資家には本来金利のない仮想通貨に金利が付き、投資するインセンティブが上昇したということになります。2019年7月にはETHなどを担保に発行するDAIを貸付て得られる金利は13%を超えていました。
出典:Compound
流動性マイニング(Liquidity Mining)
流動性マイニングとは、UniswapというDeFiプロジェクトが提供する流動性プールにETHとUSDCなどのペアを入金し、それらをトレーダーが取引する時に払う手数料を収益として得る方法のことです。
これは簡単に言えば各プールごとに仮想通貨取引所の上場する取引ペアと同等であり、ETHの価格と片方のペア価格が1:1になるように入金したプール内の資産を取引するというものです。原理としてはETHとUSDCをかけてKとなるように、プール内の資産は常に仮想通貨マーケット価格に収束するというインセンティブをベースに、プールにETHとUSDCを売買できるほどの流動性を提供する「流動性マイナー(提供者)」と、割安に買えたり割高に売れるトレーダーが払う手数料を収入として得られるというものです。
例えばETHが高騰した時にペアとなるUSDCをプールに入れて、ETHを引出すという形でプール内の資産が変動していきます。Uniswapでは0.3%の手数料が流動性マイナーに支払われるので、需要と供給で成り立ち、流動性が高い=手数料収益が高いという状態となるためその分取引もしやすくなります。
流動性を超える大きな取引、例えば1,000億円などの売りや買いは下記チャートのように価格が高くなったり安くなったりすることをプロトコル上で自動で計算、調整しています。
年利100%超え”イールドファーミング(Yield Farming)”
そしてDeFiが今白熱している理由に、「イールドファーミング」があります。これは流動性マイニングと混同されがちですが厳密には異なり、「ETHなどの資産をロックすることで得られる収益」を指します。
このイールドファーミングは上記で解説したレンディングのCompoundが独自トークンの$COMPを借り手と貸し手に配布し始めたことがはじまりです。COMPは金利とは別に収益として受け取ることができ、利回りがさらに高騰しました。
その後Curve FinanceというUniswapを元にした流動性プールやBalancerなどのプロジェクトなど(大小含めると大量に存在)がCOMPと同様のガバナンストークン配布を開始したことで、最大で年利100%を超える利回りが現在も続いています。
2020年8月30日現在、開始から2週間が経過したCurve Financeでは最低48.61%から最大で219%の年間利回りとなっています。
高い手数料を差し引いても高い利回り
これらの高い利回りにより、イーサリアムの手数料は高騰。混雑していなかった2019年末と比較し、通常時で100倍、混雑時には300倍にもコントラクトを動かす際の基準となるガス代が高騰しています。
それでも100%を超える利回りによりこれらの手数料を入れても高い利回りが得られるため、イーサリアムのDeFi上にロックされる資産は90億ドル、日本円にして約9,420億円にも上っています。驚くべきことは、3ヶ月前は10億ドルに到達したばかりであったという点でしょう。
毎日高い手数料を支払っても十分な利回りを得られる現在のイーサリアムDeFiは、まさに仮想通貨での資産運用を変えたといえるでしょう。
出典:DeFi Pulse