Ocean Protocol(オーシャンプロトコル)のユースケース紹介「ROBONOMICS」

オーシャンプロトコル(Ocean Protcol)は、さまざまなデータセットをトークン化し、ブロックチェーン上で取り扱うことを可能とするプロジェクトです。オーシャンプロトコルでは、マーケットプレイスですでにデータの売買が行われている他、さまざまなプロジェクトとのパートナーシップを締結しています。

パートナープロジェクトとして、前回はカーボンオフセットの権利を売り買いする「DOVU」について紹介しました。

関連:Ocean Protocol(オーシャンプロトコル)のユースケース紹介「DOVU」

今回は「ROBONOMICS(ロボノミクス)」というプロジェクトについて、どのようなプロジェクトなのか、また、オーシャンプロトコルとの提携によりどのようなことができるようになるかについて、解説していきます。

関連:オーシャンプロトコル(Ocean Protocol)とは?ブロックチェーンを活用したデータマーケットプレイス

Robonomics(ロボノミクス)について

ロボノミクスは、人間と機械の間で技術的、経済的な情報を交換するためのWeb3技術をサポートし、開発者とエンジニアがIoTとすべてのROS(Robot Operating System)互換デバイスをデジタルエコノミーに接続できるようにするツールです。

オープンソースのプラットフォームであり、ロボットをエンドユーザー向けのサービスとして接続するために使用することができます。

ロボノミクスの目標は、「ロボットとIoTデバイスが、人間が行っている経済システムに参入することを可能とする」というものであり、このバックグラウンドは今回のオーシャンプロトコルとの提携に深く関わっているようです。

ロボノミクスについてより詳しく知りたい場合は、以下の公式サイトをご確認ください。

・参考:ROBONOMICS NETWORK公式サイト

オーシャンプロトコルとロボノミクスとのパートナーシップ

2021年1月、オーシャンプロトコルとロボノミクスはパートナーシップの締結を発表しました。

・参考:ROBONOMICS NETWORK X OCEAN PROTOCOL COLLABORATION P.1

さらに2021年7月には、より詳細な提携内容に関するアナウンスもされています。

次項では、このパートナーシップの内容について、概要を解説していきます。

パートナーシップの内容について

Robonomics Networkにおいて、ロボットは毎日大量のデータを生成しています。そのデータの中には価値の高いものも含まれており、ロボットの開発者(あるいはロボットそのもの)によって収益化される可能性を持っています。

このようなロボットやデバイスが生成したデータセットは、オーシャンプロトコルによってトークン化処理され、トークン化されたデータは、オーシャンプロトコルが有するプラットフォームの「オーシャンマーケット(Ocean Market)」で購入と販売、利用できるようになります。

つまりオーシャンプロトコルを使えば、価値あるデータを生成・取得するデバイスは、「資産」を生み出し、その所有者のパッシブインカムを与えるものとなり得るということです。

さらにロボノミクスは、ロボットとIoTの制御と通信のためのオープンで分散型のプラットフォームも開発しており、自動的にデータを相互に通信し、価値を交換することもできます。

これは、デバイスは資産を生み出すだけでなく、資産の購入者であり、データの利用者にもなり得るということを意味します。

今回の提携によって、「ロボットとIoTデバイスが、人間が行っている経済システムに参入することを可能とする」というロボノミクスの目標に近づくことができていると言ってもよさそうです。

ロボットデバイスによる生成データのトークン化適用例

ロボットデバイスによって生成されたデータのトークン化が適用されうる分野について、いくつか紹介します。

環境データ

まず第一の適用先として挙げられるのは「環境データのトークン化」です。環境データへの需要は、世界的に日々高まり続けています。

ロボノミクスを利用することで、ロボットやセンサーなどのデバイスが取得した温度、PH値、溶存酸素、導電率などのデータに対して、特定のデバイスが特定の場所で取得したことを保証し、高い信頼性を持たせることができます。

このデータをオーシャンプロトコルを使用してトークン化することで、データに価値を付加でき、これらデータの新しい市場を開くことができるのです。

マーケティングデータ

プロモーターのロボットや接客用のロボットなど、日常生活にロボットが取り入れられるのが一般化してきています。これらのロボットと人とのやりとりは、密接なレベルで行われることから、やりとりの記録はマーケティングデータとしての利用価値が高まっています。

例えば、特定のタスクを実行する過程で、顧客の視覚や聴覚、その他の情報を収集するロボットデバイス(例えば、ロボットウェイター)が考えられます。

この場合、機械学習ツールを使って、特定のタイプのサービスや製品に対する顧客の反応について、まったく新しいタイプのデータを作成することができます。

つまりロボットからの生データだけではなく、アルゴリズムによって解析されたデータも取得でき、これらをトークン化することで幅広い需要に応えることができます。

テクニカルログ

ロボットのアルゴリズムを改善するには、ロボットの動作データの分析が必要となり、同様の環境で動作するデバイス間で3次元マップを共有するなど、テクニカルログには一定の需要があります。

もちろん、これらのデータはより分野固有の限られたものになりますが、その独自性と希少性に価値があります。

例としては、ロボット掃除機によって生成されたデータをトークン化して、パフォーマンスを向上させる(障害物を回避する、アパートの環境をよりよく認識する)などがあります。

また、生産ラインのサービスデータを購入し、運用コストや生産コストを最適化するのにデータを活用するなども考えられます。

オーシャンプロトコルとロボノミクスの今後

このように、オーシャンプロトコルとロボノミクスの組み合わせは、技術プロセスの自動化が不十分であったり、データの安全な管理や取引が不可能であったりするために、これまで利用できなかった根本的に新しいタイプの資産を生み出すことができます。

このパートナーシップの目的は、「2021年にパイロットプロジェクトと製品をさらに開発するために、両方のテクノロジーのコラボレーションをテストするためのサンドボックス(安全な仮想環境)を作成すること」ともされており、今後どのように発展していくのか注目していきたいところです。

執筆:ねこまん(@kasoutuu

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