仮想通貨詐欺で88万件超の電話番号を検証。なぜウォレットより先に「人」を狙う?
仮想通貨詐欺で88万件超の電話番号を検証。なぜウォレットより先に「人」を狙う?

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※本記事は、2026年8月20日時点で確認できたRapid7、FBI、Surfsharkなどの公開情報をもとに作成しています。

※セキュリティソフトなどを利用しても、すべての詐欺や不正アクセスを防げるわけではありません。暗号資産の送金やウォレット操作を行う際は、利用するサービスの公式情報を確認してください。

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仮想通貨を狙う詐欺では、取引所やウォレットを直接ハッキングするのではなく、まず「人」へ接触する手口があります。

サイバーセキュリティ企業Rapid7は2026年8月、「Operation ASTERIX」と呼ばれる暗号資産関連の詐欺活動について調査結果を公開しました。

Rapid7によると、その過程では88万件を超える規模の電話番号を検証する処理が確認されています。

 

なぜ、仮想通貨を狙う詐欺で大量の電話番号を調べる必要があるのでしょうか。

電話番号そのものから暗号資産を盗めるわけではありませんが、詐欺師にとっては利用者本人へ接触し、次の行動を促すための入口になり得ます。

実際、FBIも暗号資産交換業者の担当者などを装い、電話やメッセージで不安をあおったうえで、偽サイトへのアクセスやログイン情報の提供を求める詐欺に注意を呼びかけています。

この記事では、Operation ASTERIXで明らかになった仕組みを整理しながら、なぜ電話番号が狙われるのか、一般の仮想通貨ユーザーは何に注意すればよいのかを初心者向けに解説します。

 

また、利用者自身が詐欺を見抜く対策に加え、マルウェアなどに備える端末側のセキュリティ対策も重要です。

 

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Operation ASTERIXとは?Rapid7が仮想通貨詐欺の仕組みを分析

Operation ASTERIXは、Rapid7が分析した暗号資産関連の詐欺活動です。

Rapid7の調査では、大量の電話番号を検証する処理や、電話を利用するためのインフラなどが確認されています。

 

電話関連の仕組みには、「Asterisk」と呼ばれるオープンソースの通信システムも利用されていたとRapid7は報告しています。

AsteriskはIP電話やPBXなどを構築できる通信フレームワークで、本来は企業の電話システムなど幅広い用途で利用される正規の技術です。

正規の通信技術であっても、悪意のある利用者によって詐欺活動のインフラに組み込まれる可能性があります。

Operation ASTERIXで特に注目されるのは、個人へ無作為に一件ずつ電話をかけるだけではなく、大量の電話番号を処理する仕組みが存在していた点です。

88万件超の電話番号を検証、88万人が被害に遭ったわけではない

Rapid7の分析では、88万件を超える規模の電話番号を検証する処理が確認されています。

ただし、この「88万件超」という数字の意味には注意が必要です。

88万件を超える電話番号の持ち主全員が詐欺被害に遭ったわけでも、全員が仮想通貨を保有していたと確認されたわけでもありません。

あくまで、詐欺活動に関連するインフラの中で大量の電話番号が処理されていたという意味です。

 

重要なのは、その規模です。

一般的な営業活動を例にすると『大量の顧客候補』⇒『連絡先を整理する』⇒『連絡できる相手を絞る』⇒『電話などで接触する』という工程があります。

もちろん、Operation ASTERIXと通常の営業活動は目的がまったく異なります。

しかし、大量の候補を処理し、その後の接触につなげるという考え方には共通する部分があります。

今回の事例からは、仮想通貨詐欺が「偶然誰かに連絡して騙す」だけではなく、大量のデータを処理して効率的に対象へ接触する仕組みを持ち得ることが分かります。

【独自分析】ウォレットより先に「人」が狙われる?

仮想通貨のセキュリティというと「秘密鍵を守る」「ハードウェアウォレットを利用する」「二段階認証を設定する」など、技術的な対策が注目されがちです。

これらはいずれも重要です。

しかし、ソーシャルエンジニアリング型の詐欺では、ウォレットの暗号技術そのものを突破する必要がない場合があります。

 

FBIが注意を呼びかけている暗号資産交換業者のなりすまし詐欺では『電話やメッセージで利用者へ接触する』⇒『取引所の担当者などを装う』⇒『口座に問題がある」などと不安をあおる』⇒『リンクを開かせたり情報を入力させたりする』⇒『認証情報や暗号資産を狙う』という手口があります。

 

FBIによると、詐欺師は突然電話やメッセージで連絡し「口座に問題が発生している」「誰かがあなたの口座へ侵入しようとしている」といった内容を伝え、利用者を焦らせます。

そのうえで、ログイン情報を求めたり、リンクを開かせたり、本人確認情報の提供を求めたりします。

攻撃者にとって最初の突破口が、ウォレットの暗号技術ではなく「利用者本人を信用させること」になる場合があるのです。

Operation ASTERIXで大量の電話番号が処理されていた点も、こうした「人への接触」という観点から見ると重要な意味を持ちます。

「電話番号を知られた=仮想通貨を盗まれる」ではない

一方で、電話番号を知られただけで過度に心配する必要はありません。

電話番号を知られただけで、ウォレット内のBTCやETHなどを直接動かせるわけではありません。

電話番号と秘密鍵は別の情報です。

問題になるのは、電話番号などを使って利用者本人へ接触し、その後の行動を促されるケースです。

たとえば、

  • 偽の取引所サイトを開かせる
  • 不審なアプリやファイルをインストールさせる
  • ログインIDやパスワードを入力させる
  • ワンタイムパスワードを聞き出す
  • ウォレットのシードフレーズを聞き出す
  • 指定されたアドレスへ暗号資産を送金させる

といった手口があります。

 

電話番号は「金庫を直接開ける鍵」ではなく、「金庫の持ち主へ話しかけるための手段」と考えると分かりやすいでしょう。

そのため、見知らぬ番号から仮想通貨に関する電話やSMSが届いた場合は、相手が何者なのかを慎重に確認する必要があります。

取引所を名乗る電話が来ても、その場で対応しない

暗号資産関連のなりすまし詐欺では、利用者を焦らせる言葉が使われる場合があります。

たとえば「不正アクセスされています」「今すぐ対応してください」「本人確認が必要です」「口座に問題があります」といった内容です。

 

FBIは、このような暗号資産交換業者を装った電話やメッセージを受けても、その場で対応しないよう注意を呼びかけています。

相手から提示された電話番号を使うのではなく、自分で暗号資産交換業者の公式連絡先を確認して問い合わせることが重要です。

相手から送られてきたURLも利用せず、自分で取引所の公式サイトへアクセスすることが推奨されています。

また、ログイン情報を求められても渡さないようにしましょう。

電話だけでなくフィッシングサイトにも注意

電話を利用するソーシャルエンジニアリング型の詐欺では、電話だけで被害が完結するとは限りません。

電話やメッセージで利用者を信用させたあと『偽サイトへアクセスさせます。』⇒『ログイン情報などを入力させます。』というように、複数の手段が組み合わされる場合があります。

 

FBIも、暗号資産交換業者を装う詐欺でリンクを送り、利用者のログイン情報などを取得して暗号資産を盗む手口を警告しています。

そのため、「怪しいメールだけ開かなければ大丈夫」とは限りません。

電話・SMS・Webサイト・アプリを別々の問題として考えるのではなく、一連の詐欺シナリオとして警戒することが重要です。

セキュリティソフトで仮想通貨詐欺は防げる?

ここで気になるのが、「セキュリティソフトを入れておけば詐欺を防げるの?」という点です。

結論からいうと、セキュリティソフトだけですべての仮想通貨詐欺を防ぐことはできません。

たとえば、『詐欺師の電話を信用してしまう』『自分からシードフレーズを伝える』『自分の判断で暗号資産を送金する』『ワンタイムパスワードを他人へ教える』といった行動を、一般的なウイルス対策ソフトだけで完全に防ぐことはできません。

 

一方『ウイルスやマルウェア』『悪意のあるファイル』『悪意のあるWebサイト』『フィッシングサイト』など、端末やWeb上のリスクに備える手段の一つがセキュリティソフトです。

Surfshark Antivirusでは、ファイルなどをリアルタイムでスキャンし、ウイルスやマルウェアなどの脅威を検出する機能が提供されています。

また、Windows版では「Web Protection」が提供されており、悪意のあるWebサイトやフィッシングサイトへのアクセスを検知・ブロックする機能があります。

人を騙す「ソーシャルエンジニアリング対策」と、端末を守る「マルウェア対策」は別のものとして考える必要があります。

 



 

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【独自視点】「電話番号をどこに登録しているか」も意識する時代に?

Operation ASTERIXからもう一つ考えたいのが、仮想通貨ユーザーと個人情報の関係です。

暗号資産のセキュリティでは、秘密鍵やシードフレーズを他人へ教えないことが重要です。

これは今後も変わりません。

一方、ソーシャルエンジニアリング型の詐欺を考えると、電話番号やメールアドレスなど、自分へ直接連絡するための情報にも注意する必要があります。

 

たとえば何らかの情報流出によって、「この電話番号の持ち主は暗号資産関連サービスを利用している」という情報まで第三者に知られた場合、無差別に電話をかけるよりも対象を絞り込みやすくなる可能性があります。

ただし、Operation ASTERIXについて、特定の暗号資産企業から利用者の個人情報が流出したとRapid7が発表したという意味ではありません。

ここは区別する必要があります。

 

大量の電話番号を処理する仕組みが確認された今回の事例を踏まえると、「ウォレットを守る」だけではなく、自分の電話番号やメールアドレスをどのサービスへ登録しているのか意識することも、今後のセキュリティ対策の一つになると考えられます。

二段階認証はSMS以外の方法も確認

電話番号と仮想通貨を考えるうえでは、二段階認証も確認しておきたいポイントです。

暗号資産交換業者などでは、SMSを使った認証が採用されている場合があります。

SMS認証を利用しているだけで危険という意味ではありません。

一方、利用しているサービスが複数の認証方法を用意している場合には、『認証アプリ』『パスキー』『セキュリティキー』など、利用できる認証方法を確認しておくとよいでしょう。

 

どの認証方法を利用していても、電話やメッセージで連絡してきた相手へワンタイムパスワードなどの認証情報を教えないことが重要です。

取引所のサポート担当者を名乗っていても、その場で情報を渡さず、一度連絡を切って公式窓口から確認しましょう。

仮想通貨ユーザーが今確認したい5つの対策

Operation ASTERIXの事例やFBIの注意喚起を踏まえると、一般ユーザーが確認したいポイントは次の5つです。

  • 突然の電話・SMSで「口座が危険」と言われても、その場で対応しない
  • 相手から送られたURLではなく、自分で公式サイトや公式アプリを開く
  • 秘密鍵・シードフレーズ・パスワード・ワンタイムパスワードを他人に伝えない
  • 利用しているサービスが提供する認証方法を確認する
  • OS・ブラウザ・セキュリティソフトなどを最新の状態に保つ

 

特に「相手が自分の名前や電話番号を知っているから本物」と判断しないことが重要です。

相手が自分の個人情報の一部を知っていたとしても、本当に取引所などの担当者とは限りません。

セキュリティソフトは端末を守る対策の一つ

仮想通貨詐欺では、利用者自身が詐欺師へシードフレーズを伝えたり、指定された送金先へ暗号資産を送ったりした場合、一般的なセキュリティソフトだけで止めることは困難です。

怪しい連絡をその場で信用しないことが重要です。

公式サイトや公式アプリを自分で確認することが重要です。

秘密鍵やシードフレーズなどを他人へ渡さないことが重要です。

 

そのうえで、不審なファイルやマルウェアなど別の攻撃経路への備えとして、端末側のセキュリティ環境を見直す方法があります。

Surfshark Antivirusでは、リアルタイムでファイルなどをスキャンし、マルウェアなどの脅威を検出する機能が提供されています。

 

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まとめ:仮想通貨詐欺は「秘密鍵を盗む前」から始まることも

Rapid7が公開したOperation ASTERIXの分析では、88万件を超える規模の電話番号を検証する処理など、暗号資産関連の詐欺活動を支える仕組みが確認されています。

今回の事例で注目したいのは、仮想通貨を狙うために、必ずしも最初からウォレットそのものを攻撃する必要はないという点です。

 

『大量の電話番号を処理する』⇒『対象者へ接触する』⇒『取引所などを装って信用させる』⇒『偽サイトなどへ誘導する』⇒『認証情報や暗号資産を狙う』

というように、人を入口として暗号資産を狙う手口があります。

※上記はOperation ASTERIXで確認されたすべての工程をそのまま示したものではなく、Rapid7の分析とFBIが警告する暗号資産関連のなりすまし詐欺をもとに、一般的な流れを分かりやすく整理したものです。

 

つまり、仮想通貨セキュリティは「秘密鍵を守れば終わり」ではありません。

電話番号やメールアドレスなどの個人情報、フィッシングへの警戒、認証方法、端末のマルウェア対策なども含めて考える必要があります。

「知らない相手に秘密鍵を渡さない」だけでなく、「なぜこの相手は自分に連絡してきたのか」と考えることも、仮想通貨詐欺から資産を守るうえで重要です。

 

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出典・参考

  • Rapid7「Operation ASTERIX: Anatomy of a Crypto Fraud Pipeline」
  • FBI Internet Crime Complaint Center「FBI Warns of Scammers Impersonating Cryptocurrency Exchanges」2024年8月1日
  • Asterisk「Asterisk Communications Framework」
  • Surfshark「Surfshark Antivirus Features」「Real-time Protection」「Web Protection」

 

※本記事で紹介したセキュリティ対策を行っても、すべての詐欺、フィッシング、不正アクセス、マルウェア感染を防げるわけではありません。

※暗号資産交換業者やウォレット運営企業などを名乗る不審な電話・メッセージを受けた場合は、相手が提示したURLや連絡先を使わず、公式サイト・公式アプリなどから正規の問い合わせ窓口を確認してください。

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